• 岡千秋

    「1195」
  • よされ女節

    よされ女節

    津軽 生まれのヨ じょっぱり気質(かたぎ)一度惚れたらヨ 死ぬまで尽くす背中(せな)に背負(しょ)ってる 雀が跳ねりゃ燃える黒石 夏の宵よされよされとヨ 踊ろうじゃないか便り途絶えて もう二年よされよされとヨ 待ってる男(ひと)がいる津軽 黒石ヨ 稲穂も揺れる揃い浴衣でヨ 下駄かき鳴らす意地を張っても 東京暮らしすき間...
  • 桜吹雪

    桜吹雪

    桜吹雪はこの世を変える居座る冬を追い払うまだまだ夜風は冷たいでしょうそれでも心は華になるさくらさくら夢ざくら叶わぬ時は何(どう)すれば 天神様に詣(まい)りますチョイと教えてくだしゃんせ桜さくら満願ざくら…咲かせます桜吹雪がながれに散ればひととき川は花化粧いえいえ最期(さいご)の輝きでしょう命のはかなさ想いますさくらさ...
  • 流氷酒場

    流氷酒場

    風が暖簾(のれん)を たたくたび蟹を焼く手が 止まりますみれんなんです 三ヶ月(みつき)もたっていまも待ってる あのひとを北の最果て 流氷酒場カモメお前も さみしいか店(ここ)のお客は みなおなじつらい過去(むかし)を 捨てに来るそんななかでも あのひとだけがなぜか気になる ひとでした窓の向こうは 流氷原野海が夜通し ...
  • 匠

    時代おくれと 云われても歩み止めるな 一歩ずつ…一歩ずつ人は誰でも 転んで学び夢を拾って 起きあがる風雪耐えた 松のよにがまん辛抱 匠のこころ技に走るな 亀になれ急(せ)くな焦るな 前をみろ…前をみろバカは馬鹿なり 師匠(おやじ)の術(すべ)を盗む気概で 影を踏め言葉じゃ言えぬ 侘(わ)び寂(さ)びを知ればおのずと 我...
  • 母ちゃん待ってる終列車

    母ちゃん待ってる終列車

    ふるさとは ふるさとは 何年ぶりか数えてみたら もう五年遠い 遠い なぜ遠い見上げる夜空(そら)には 天の川銀河鉄道 みたいにさ走れよ 走れ…母ちゃん待ってろ もう少し母ちゃん待ってる 終列車十八才(じゅうはち)に 十八才(じゅうはち)に 旅立つ俺を涙で送る 母がいた今も 今も 忘れない足踏みしたって 途中駅闇夜(よる...
  • 有明の月

    有明の月

    あなたに十日も 逢えなくて痩せて行きます この胸が人目に隠れる つらい恋あなたにとって 遊びでしょうか来ないあなたを 待つ私西へ西へ傾く 有明の月ため息つくたび 淋しくてひとり口紅 引き直す噂に脅える つらい恋今夜の私 綺麗でしょうか別れられない 今はまだ滲む滲む涙の 有明の月手を取り二人で 逃げましょか夢と知りつつ ...
  • 二人の巡り逢い

    二人の巡り逢い

    ひとりぼっちの 淋しさに泣いた夜さえ 懐かしく 懐かしくこんな私が もう一度幸せ夢見て いいですか回り道した 巡り逢い生きて行きます あなたと二人女心の 裏側にそっと隠した 恋の傷 恋の傷つらい過去(むかし)は 忘れます幸せ夢見て いいですか縁が嬉しい 巡り逢い泣くも笑うも あなたと二人つらい時には この胸を貸してあげ...
  • 赫い棘

    赫い棘

    砕け散った心 バッグに詰めて出てゆく私を ひきとめないでこのドアを開けて 過去に戻れるのなら愛を知らない女に 帰りたい私の涙が 赫い棘(あかいとげ)のように愛をあなたに 刻みこむの悲しむあなたも 嘘じゃないけど裏切るあなたも 本当のあなたタイをはずしながら 繕(つくろ)う言葉不実なあなたに 疲れ果てたわあの甘い時間(と...
  • たそがれ挽歌

    窓の向うは さびれた港波打つ海原 想い出酒場ひとり注ぐ酒 ほろほろと酔うほど心に 沁みてくる馬鹿だね 馬鹿だよ 忘れたはずのあいつの名前 なぞる指あの頃は 還らぬ遠い日夕陽の彼方 たそがれ挽歌沖のかもめと 男と出船追うほど逃げてく さよなら港風の哭き笛 ひゅるひゅると硝子戸たたいて 呼ぶ過去(むかし)逢いたい 逢えない...
  • 瀧の恋歌

    瀧の恋歌

    悲恋伝説 あるのでしょうかしぶき舞い散る 雄瀧(おたき)と雌瀧(めだき)…浮き雲 木漏れ日 晩夏の別れもう二度と 戻れない遠い 遠い その胸にたった一言 倖せになれそれが最後の 優しい言葉…風笛 吊り橋 黙った背中命なら あげたのに遠く 遠く 消えた人ふいに涙が こぼれる秋はひとり旧道(うらみち) 尋ねてみるの…瀧音 ...
  • 備前だより

    朝日に映(は)える 瀬戸の海島影はるか 船が行(ゆ)く 船が行くかわす笑顔と 潮風が訪ねる旅人(ひと)に 夢を呼ぶ…ふれあう心 あたたかく四季美(うる)わしき 備前市よ炎の赤は 情熱を木立ちの緑 やすらぎを やすらぎを空と波間の その青はいのちを癒す おくりもの…世代を越えて 若人へ歴史をつなぐ 備前市よ八塔寺(はっと...
  • 瀬戸の舟宿

    はばたく翼を 持ちながら誰を待つのか 浜千鳥帰るあてない 人恋しそうよ私も 波まくら…やさしく抱きよせて 夢でもいいの瀬戸の舟宿 女がひとり心でどんなに 憎んでも憎むそばから 燃える肌酒のしずくで 濡れた指そっと噛みしめ 涙ぐむ…小窓の三日月(みかづき)も みれんに痩せて瀬戸の舟宿 くちびる淋し他人になりたい 忘れたい...
  • 女の坂道

    女の坂道

    春には散りゆく 夜桜に秋には時雨(しぐれ)に 来ぬ人を心に張りつく 過去(きのう)を剥(はが)しわたしは今を 生きてきた昇(のぼ)り降(くだ)りの 女の坂道名もない草でも 咲くように小石は拾って あげましょうつまずき転んで 泣きたい時もわたしは明日(ゆめ)に 生きてきた少し振り向く 女の坂道夏には日傘で 顔隠し冬には小...
  • おんなの青空

    おんなの青空

    過去を捨てたい 男がいれば明日につまずく 女もいるよ酒場という名の 人生港酔いどれカモメと 迷子のカモメそんなに誰かが 恋しいならば最後の青空 探せばいいさ 探せばいいさ夢を見捨てた 男がいれば愛に溺れた 女もいるよ酒場という名の 人生波止場切ないカモメと 愛しいカモメそんなに何処かに 行きたいならばもう一度青空 飛ん...
  • 三日月と赤い橋

    三日月と赤い橋

    赤い橋 川面に映るここは嬉野 三日月はあなた橋は私 せつないよ…ゆらゆらと くらくらと恋は水の幻影(かげ)朝に消えてく ふたりなら嗚呼 あなたといのち乱れたい赤い橋 夜更けに渡る待って一夜(ひとよ)の 三日月はあなた橋は私 淋(さみ)しいよ…この髪を この肌を通り過ぎる男(ひと)月の光で 刺せるなら嗚呼 私の胸を突き刺...
  • ギンザ・サニーサイド・ストリート

    ギンザ・サニーサイド・ストリート

    この花を あげましょしょんぼりした あなたへハッピーが てんこもりウキウキ エヴリデイ笑って歩けば 神様笑うにぎわう街の 柳は緑歌いましょ 踊りましょ銀座でスウィングダダダ ドゥビ・ドゥビ・ドゥビ・ドゥビ・ドゥダーンダバダ ドゥビドゥ ドゥビ ドゥビドゥ ドゥビ ドゥビ・ドゥダーンシャバダ ダバダ・ドゥビドゥ ダバダ・...
  • 忘れられない ぬくもりが…

    泣いて別れた 愛しきひとよいつもそばに 居てくれたこの胸に… ただひとり…なぜかあなたの ぬくもりが忘れられない せつなさよまぶた閉じれば やさしい笑顔いつもそばに 居てくれた淋しさに… 泣けてくる…そんなあなたの ぬくもりが忘れられない この想い遠い思い出 帰らぬ夢よいつもそばに 居てくれた誰よりも… 好きだった…そ...
  • そばの花

    あなたと訪ねた 常陸(ひたち)の郷は秋の陽やさしい そばの路小さな花びら 身を寄せながら揺れる姿の 愛らしさ届かぬ恋の 夢を見たまた来る季節に ときめく心秋風揺らして そばの花あなたのお傍に 居る幸せにほほのほてりを 感じても言葉に出ない もどかしさもも色 夕映え 私の胸に葉づれ音 風唄 そばの路小さな花びら 抱きしめ...
  • 不知火情話

    不知火情話

    不知火(しらぬい)ともしに 帰らんね死んでもよかよ 今でもあんた生まれ火の国 女は熱か心は他人(だれ)にも 許してないの「あんた 逢いたか…」乳房(むね)の芯まで 乳房(むね)の芯までああ…逢いたかね不知火(しらぬい)ゆらして 飲みたかね嘘でもよかよ もう一度あんた惚れてこぼした 女の涙球磨(かわ)川に流して あしたに...
  • 恋問海岸

    恋問海岸

    嘲笑(わら)われたって かまわない未練な愚かな 私です戻らぬ人だと わかっていますそれでもこの愛 命のかぎり恋問(こいとい)海岸 寄せ来る片瀬波ハマナス咲いて 誰を待つこの唇も この肌もあなたのものです これからもこの恋断ち切り 出直せたなら誰かと幸せ つかめるものを恋問(こいとい)海岸 散らばる貝殻は叶わぬ恋の 抜け...