• 越川ゆう子

    「4」
  • じょんから未練

    じょんから未練

    恋もしました 夢も見た涙にまみれた 明日(あす)への扉津軽中里 故郷(ふるさと) 離れじょんから節よ じょんから未練うしろ髪引く さとごころ同じ月見て 父さんは熱燗(あつかん)一杯 やってる頃か耳に聞こえる しわがれ声のじょんから節よ じょんから未練ぎゅっと唇(くちびる) かみしめる春はいつ来る この胸に忘れた笑顔を ...
  • 望郷ひとり言

    望郷ひとり言

    寄る辺(べ)なくした 都会の隅でぽっかり穴が 空(あ)いた胸諦(あきら)め切れない 夢抱いて小さな夜空を 見上げる私帰りたい 帰れない…あゝ帰ろかな今夜も望郷 望郷ひとり言人の情けが 行き交(か)う町は故郷(ふるさと)遠い 城下町悩みも苦労も 知らないで笑顔で歩いた 夕焼け坂よ帰りたい 帰れない…あゝ帰ろかなつぶやく望...
  • おけさ恋しや

    おけさ恋しや

    街の夕陽が 後れ毛染めりゃ雲がちぎれて 北へ飛ぶ佐渡の荒磯 岩ゆりの花に誓った 夢ひとつおけさ恋しや ふるさと恋し路地に吹く風 赤ちょうちんが揺れてせつない 里ごころ今だ返せぬ 親の恩詫びて今夜も 手酌酒おけさ恋しや ふるさと恋し世捨(よす)て小路(こうじ)を 抜けたらそこはかもめ舞い飛ぶ 日本海どんと花火の 夏が逝き...
  • 未練の出船

    未練の出船

    あの日契った 約束がかじかむ指先 こぼれて落ちる追いかけて 追いかけて出て行く連絡船(ふね)に… 飛び乗れば鴎が 後(あと)追う 未練の出船港灯りが 遠ざかり凍える飛沫(しぶき)が この胸叩く逢いたくて 逢いたくて叫んでみても… 春遠く霧笛が 背を押す 未練の出船捨てるつもりの 面影を捨てきれないのが 女のつらさ追いか...