• 小町雪乃

    「6」
  • 心の花

    心の花

    やっと出逢えた あなたと私ひとりぼっちは もういやよ心の花は 愛の花かたい絆を むすぶ花むすぶ花人の目を引き 足さえ止める桜ばかりが 花じゃない心の花は 人知れずいのち赤々 燃える花燃える花同じ口癖 あなたと私今日も倖せ ありがとう心の花は 明日も又生きる力を くれる花くれる花...
  • お別れ携帯電話

    お別れ携帯電話

    「卒業します あなたから」メールでお別れ 五年の暮らし子猫みたいに 愛されたやさしいぬくもり ここち良く明日が見えなくなりました淋しいけれど つらいけど女の人生 一度きり今日からひとりで 歩いてゆきます「やりなおそう」と あなたから留守電無視して ひとりの旅路強く抱かれた あの宿で手酌で飲む酒 冷たくてなきむし人形みた...
  • すがり酒

    すがり酒

    女がひとり 呑む酒なんて味も素っ気も ありゃしないそうね男は こりごりなのに甘いことばに また惚れて涙ほろりと すがり酒手酌の冷酒(ひや)が じんじん染みてお猪口持つ手も ふるえますそうね男は 移り気きまま花に戯(たわむ)れ 舞う蜂ね胸にチクリと すがり酒私の肩を やさしく抱いて恋に酔わせて もう一度そうね男は おんな...
  • みちのく雨情

    みちのく雨情

    風のうわさを 訪ねてひとりきのう喜多方 きょう最上川一生一度の いのちの恋と遠く離れて 知りましたひと目逢いたい あの人にここは みちのく なみだの雨が降る湯もや流れる 花巻小路はるか松島 染めゆく紅葉陽だまりみたいな 優しい胸が今も恋しい 抱かれたい泣けばこころも 冬化粧ここはみちのく あの日も雨でした明日は捨てよか...
  • 京の雪

    京の雪

    京の加茂川 ちらちら小雪濡れたこころは淋しんぼついて行きたい…行けない人の恋に沈んだ いのちの花は…咲いてはかない 寒椿風の嵐山 はらはら涙夢もこごえて 淋しんぼ瞼とじれば… 瞼の裏で燃えて消えない おもいで幾つあなた忘れて よう生きん冬の清水 ほろほろ小鳩鐘の音さえ 淋しんぼ今も逢いたい…逢えない人の面影が揺れている...
  • 海峡おんな舟

    海峡おんな舟

    あなたのやさしさ 心の広さこの人だけはと 愛した私千里海原 星も見えない せつなさつらさたとえ 嵐に遭おうともあなたの港へ 海峡おんな舟漕いでも漕いでも あなたは遠い逢えない月日が いとしさつのる夜毎しみじみ 心細さに 人恋しさにいいえ 涙はふりすてて明日を信じる 海峡おんな舟夢見る赤い灯 島影あたりかすかにともるは ...