• 田川寿美

    「72」
  • 悲しいめぐり逢い

    悲しいめぐり逢い

    雨の冷たい夜に あなたに逢ったあれから何年 経ったのかしら歌って踊って飲んだ あの日の夜に今の二人は 今の二人は 戻れないさみしい夜に さみしい二人悲しいめぐり逢い男と女 月日が流れ悲しいめぐり逢い思い出だけが 過ぎて行くだけ後ろ姿の人が きれいに見えたあの日を今でも 忘れはしない黄色い落ち葉が舞って 蝶々のように夜の...
  • 下田の椿

    下田の椿

    いっそこのまま 死にたいとそっと思った 夜でした雨がしとしと 下田の道に赤い椿が 雨ん中お帰(かえ)りやんせ 帰(かえ)りゃんせさみしい女が 呼んでます胸で小鈴が 鳴りましたひとつチリンと 恋でした船が出て行く 下田の港乙女椿は 船を見るお帰(かえ)りやんせ 帰(かえ)りゃんせ夢でもいいから 会いにきてきっと帰って 来...
  • 白秋

    白秋

    誰かが会わせて くれました雨が冷たい 秋でした寒い心を 二人静かに温めた優しい恋ですか 甘えていいですか何も言わず 抱きしめてあぁ恋にそっと 落ちてゆくさみしい心が 落ちてゆくあなたと私 どこか 似ているわひとり遊ぶ 迷子の子供一人が好きだと 言いながら秋の風吹く 街の角落ち葉一枚 遠い目をして見つめてた楽しい恋ですか...
  • ふたりの花

    ふたりの花

    あなたの背中に 花が散る桜の花は 私です甘い香りの 春の風今日も女は 夢を見るふたりの花は どこで咲く遠い 遠いところで咲くのでしょうかあなたの心に 言いました花火のように 咲きたいと人に言えない 恋だからそっと近くで 生きるだけふたりの花は どこで咲く遠い 遠いところで咲くのでしょうかあなたと隠れた 冬の宿舞い散る雪...
  • 雨あがり

    雨あがり

    涙に七色(なないろ) あるのならうれし涙は きっと幸せ恋の色結び直した 絆(きずな)のような虹は 虹は天使の 贈りものあいあい傘で夢もほほえむ 雨あがり青葉が艶(つや)めく 並木路(みち)そこが坂でも ずっと離れず従(つ)いて行(ゆ)く明日(あす)に向かって 歌っているわそんな そんな気がする 小鳥たち心も晴れて希望き...
  • ふたりの縁

    ふたりの縁

    この世で会いたい 人が居るだから私は ねぇ…生まれてきたの紅(あか)い縁(えにし)の 糸(いと)引(ひ)かれ恋の相手に めぐりあうあなたが好きよ 大好きよいのち預けて 従(つ)いてゆくぬくもり分け合う 人が居るだから氷雨(ひさめ)も ねぇ…冷たくないわ生きて来た道 振り向けば泣いた日もある 傷もあるあなたが好きよ 大好...
  • 後ろ雨

    後ろ雨

    あなたがくれた 幸せが心の中に 沁みてますわたし わたしの夢ばかり探していたの ばかでした雨が降る降る 後ろから女の背中 女の背中 ぬらしますふたりにくれた 思い出が今夜も町に 揺れてますいいの いいのよ泣かないわきれいなままに しておくわ雨が降る降る 後ろから女の髪を 女の髪を ぬらしますわたしにくれた やさしさに甘...
  • 楓

    誰が会わせた 引き寄せたそして渡った あぁ…恋の橋戻れなかった あのときは甘えてみたい 夜でした忘れないで 忘れないから川に楓の 紅い帯どこで終わりに できますか未練悲しい あぁ…女旅あの日抱かれた 腕の中うれしい涙 知りました忘れないで 忘れないから傘に楓の 雨が降る夢を見たのが なぜ悪い私ばかりを あぁ…責めないで...
  • おんなの東京

    おんなの東京

    別れてほしいと 言ったのは冷たい雨降る 夜でしたコートの衿を 少し立てあなたはそっと うなずいたおしまいね おしまいね何もかも―雨が降ります 雨が降ります おんなの東京愛していたのよ いつだって嘘ではないのよ それだけは会えない夜の 淋しさをあなたはきっと 知らないわおしまいね おしまいねもうふたり―夢が濡れます 夢が...
  • 恋はひといろ

    恋はひといろ

    愛しても 愛しても あなたいじわる罪な人男と女は しょうがないものねひとり淋しい こんな夜はあなたに 会いたいぽろり ぽろり 涙が出ちゃう恋はひといろ 涙を染めるつくしても つくしても あなた離れて行った人一途な女は つらくなるものね街の灯りが きれいだわあなたの 面影きらり きらり 灯りが揺れる恋はひといろ 想い出染...
  • 東京ワルツ

    東京ワルツ

    ひとりになって ひとりで泣いて大事な人がわかったのあなた今夜は どこにいる空を飛べ飛べ この思い横顔 つぶやき 左きき思い出ゆれる 悲しみゆれる 東京ワルツ淋しくなって 恋しくなって楽しい夜を追いかけるあなたその声 聞かせてよ空を飛べ飛べ この思い木枯らし マフラー ふたり巻き幸せにじむ 心ににじむ 東京ワルツあなた会...
  • 春よ来い

    春よ来い

    涙をかかえて 生きるより微笑(わら)って恋する 女です好いて好かれて ふられて泣いてもっと明日は いい人がみつかりますか 愛されますか春よ来い来い 早く来い懲りないやつだと 言われても夢見る心は かくせないなにもないけど 気持ちをあげる浮気できない いい人がどこかにいます かならずいます春よ来い来い 早く来い神様お願い...
  • 心化粧

    心化粧

    ひとりで生きては 行けないくせにひとりで生きてる 私はばかね髪を 揺らす 夜の風甘えたくなる 春の風夢色 花色 女色淋しい心に 紅を指し女は夢見て 歩いて行くわ隠しておきたい 古傷だって言えない分だけ 私もあるわ白い 花が 似合うよなそんな女じゃ ないけれど夢色 花色 女色何度も心に 紅を指し女は幸せ さがして生きる恋...
  • 港の迷い雪

    港の迷い雪

    別れ言葉も 残さずに夜明け出船で 消えた人面影桟橋 佇めば涙の花びら 雪になる風にひとひら ちぎれて飛んでわたし港の 迷い雪かもめみたいな あなたでも貸してあげたい 膝枕ふたりで過ごした 想い出を夢だと海には 流せない暗い波間に 舞い散る雪よどうか知らせて 迷い雪未練心と 知りながら離れられない 港町西陽の淋しい 浜辺...
  • 哀愁酒場

    哀愁酒場

    さいはての さいはての岬北にかくれたあの人の 哀愁酒場おんな徳利に 酔いしれて縁切り酒だと あきらめましょうかそれでもあなたが恋しくて恋しくて泣けるひとり言 ひとり言いって夢をたずねて追ってきた 哀愁酒場きっと来るよと ひとは言うなぐさめ言葉に ホロリと酔えばあなたが来たよな声がした声がしたようなひとしずく ひとしずく...
  • 火の舞

    火の舞

    空は闇夜の 神無月(かんなづき)こらえる恋情(おもい)が 火にかわる抜き差しならない この恋の最後の旅が 終わります女は愛してゆくほどに愛がなおさら 欲しくなる燃えて 燃えて 燃えて 燃えて身も世も捨てて 迷い咲きあかあかあかと ぬりつぶす心乱れて おんな舞い…ふたり愛して 愛されて過ごした月日は 夢のごとどんなに切な...
  • 倖せさがし

    倖せさがし

    水が流れる 涙が流れる夢も流れる 夕暮れ忍び川今日も二人は 飛べないすずめ空を見上げて 泣き笑い涙 涙の倖せさがし生きてゆきます あなたがいるから冬のぬくもり お酒のぬくもり夜のぬくもり あなたと知りました命温め 恋するつばめ春を見つけに 飛んでゆく明日も 一緒に倖せさがし越えてゆきます あなたとこの坂花が咲きます 今...
  • 鈴虫

    鈴虫

    月がきれいな 夜でした少しお酒も 呑みましたあの日をそっと思い出す窓の鈴虫 誰を呼ぶあなたに会いたいあなたに会いたい ひとり宿添えぬ人だと 知りながら恋をしました 泣きましたおんなの未練切なくて窓の鈴虫 私ですあなたを呼びますあなたを呼びます ひとり宿山が紅葉で 染まります風が冷たく なりましたひとりの冬がまた来ます窓...
  • 女の舟唄

    女の舟唄

    うねる荒波 身をあずけ北へ北へと 木の葉舟すてに来ました この恋をあなた一筋 燃やした命ああ 風が泣くつらい恋しい 忘れたい女の舟唄 うたいます海よお願い あの人に胸の痛みを 届けてよどうか許して わがままを何も言わずに 身を引くあなたああ からみつく髪にうなじに 面影が女の舟唄 きこえますどこへ向かうの この舟ははる...
  • 花冷えのとき

    花冷えのとき

    幸せな 素振りをしても淋しさが どこかにあるのあなた 信じているのに涙が出るの愛は壊れもの 夢よ行かないでいとしい人を 夜明けに送る窓辺のわたし 花冷えのとき抱きしめて 誰より強く哀しさを 粉々にしてあなた 失う夢見ておびえているの愛は壊れもの 灯り消さないで華やぐはずの 恋してるのに心の奥の 花冷えのとき泣き濡れる ...