• 北野まち子

    「50」
  • 夫婦すごろく

    夫婦すごろく

    この坂この川 越えたっていつも苦労が 先まわり愛を積み荷の 荷車で夫婦すごろく これからもねぇあんた… ねぇあんた…明日も二人 歩きたい転んで起きても いばら道冬の木枯らし 吹き荒れるそうね人生 時の波夫婦すごろく これからもねぇあんた… ねぇあんた…忘れず生きて 暮らしたいふたりの命を 重ねあい泣いて夢みた 日もあっ...
  • 人生・つまようじ

    人生・つまようじ

    こんな俺(おい)らの 身の上をあの娘(こ)大事に してくれたほんの短い 倖せさ使い捨てられ ボロボロであってないよな 運命(さだめ)でもなげいてばかりじゃ いられないつまようじ つまようじ俺(おい)らの人生 つまようじ星の数ほど いる中で恋も実らず 終るやら夢をみながら 仕事して認められない じれったさ思い通りに なら...
  • おんな一代 浅草の花

    おんな一代 浅草の花

    女を甘く 見るんじゃないと啖呵(たんか)を切った 裏で泣くやさしさだけじゃ 生きられなくて観音様に 手を合わすここは浅草 ここは浅草 おんな一代浮世小路の 情け花咲くも一代 散るも一代ただそれだけでございます時代の風が 風鈴ゆらし流行りに街も 変わるけど昔のままの 下町気質(かたぎ)仲見世通り 旦那衆ここは浅草 ここは...
  • かあさんは心のお守り

    かあさんは心のお守り

    かあさん かあさん 空から見てる私の事を見守っている歩いて歩いて また歩く雨のちハレルヤ 貴方の光ああ 私には夢があるかあさん 心のお守り きっとつかむよかあさん かあさん 愛しています貴方の事を忘れはしないいくつもいくつも 越えてきた貴方の人生 貴方の姿ああ 貴方の温かさかあさん 心のお守り きっとつかむよかあさん ...
  • 夫婦風ごよみ

    夫婦風ごよみ

    かじかむ指で 暦(こよみ)をめくりゃ師走の風を あなたがかばう苦労七坂 ふたり連れ今日まで来ました 泣き笑い齢(とし)を重ねる そのたびに夫婦(めおと) 二文字(ふたもじ) 重なってあなたはわたしね わたしはあなた黙っていても あなたがわかる布団の中で かくした涙上手い世渡り しなくてもいいのと背中に 頬(ほほ)寄せた...
  • 雪ごもり

    雪ごもり

    小雪が肩まで 降りかかるやさしく ああ 払って くれた人それが最後の 恋でした冬の駅あの日ふるさと 捨てられずいまも 純な心で 雪ごもりいつかは帰って くれますかさみしく ああ 列車が 連れてった春が来ないの あの日からいつまでも花が咲いても 笑えずにいまも 消えぬ面影 雪ごもり雪解けせせらぎ 水の音あなたの ああ 耳...
  • 高瀬川慕情

    高瀬川慕情

    鴨川(かも)の流れと 高瀬の桜ふたりで歩いた 木屋町で行き交う人に あなたを重ねひとりたたずむ 古都の町今日も静かに 夜(よ)が更ける心さみしい 高瀬川涙あふれて 流れる川もいつかは本流(もと)へと もどるのにもどるあてない 運命(さだめ)の悲恋(こい)か逢瀬重ねた 古都の町想いつのらせ 夜が更けるひとりぼっちの 高瀬...
  • ひぐらし晩歌

    ひぐらし晩歌

    幾星霜(いくせいそう)の 命を継(つな)ぎ今年もこの花 咲いている生まれ故郷の 小さな露地に誰が植えたか 秋桜が今も咲いてて くれるでしょうか今日もどこかで またひぐらしが故郷(ふるさと)恋しと ああ哭(な)いている浮き世の冷たい 仕打ちに負けて何度(いくたび)心が 泣いたやら故郷(こきょう)の空に 似たよな星に祈るさ...
  • 面影の花

    面影の花

    今日はきれいに 薔薇が咲いている空の彼方に ある日突然 君は行ってしまった面影が赤く赤く 薔薇に宿るから何も知らない少女のような 君の笑顔思い出す薔薇よ薔薇よ 明日もきれいに 咲いておくれ薔薇よ薔薇よ 心をなぐさめ 咲いておくれ涙流せば 百合がうなずくよ空の彼方で 僕を今でも 君はきっと見てるね面影が白く白く 百合に香...
  • ほほえみ坂

    ほほえみ坂

    いつも笑顔が うれしいとあなたの言葉に ほほえみ返すつまさき立ちの おんな坂雨の日風の日 幾年(いくとせ)か涙があるから 笑うのよ笑顔をあなたに あげたくて齢(とし)を重ねる 人生は幸せだけでは 越えられなくてよどんだ川も 月明かり水面に冴(さ)え冴(ざ)え 化粧する涙をかくして 紅の筆笑顔がまぶしく 見えますか桜吹雪...
  • 浮き世橋

    浮き世橋

    明日(あす)のことさえ 手探(てさぐ)りでひとりため息 ついた夜この世に流れる 苦労の川を越えて行きます ひとつずつせめて人並み 幸せを夢見て渡る 女の浮き世橋泣いて別れた あの人はどこで今頃 どうしてる心に流れる 思い出川に揺れてせつない 恋ひとつ遠い面影 この胸に浮かべて渡る 女の運命(さだめ)橋他人(ひと)の優し...
  • 林檎の里

    林檎の里

    根雪が溶けて 林檎の花が咲いて嬉しい 北の町今日の苦労も いつの日かきっと花咲く 時が来る浮かぶ綿雲 ゆらゆらと巡る季節の 春霞 春霞木洩れ日揺れる 林檎の畑どんとそびえる 岩木山何があろうと くじけずに明日を信じて 一歩ずつ波も遙(はる)かな 日本海巡る季節の 夏の空 夏の空たわわに実る 真っ赤な林檎鳥の囀(さえず)...
  • 風待みなと

    風待みなと

    一夜(いちや)泊りの あの人も波が静まりゃ 船を出すここは下田の 赤い灯がつく 風待(かぜまち)みなと帰って来てよと 言い出せなくてせめて笑顔を 餞(はなむけ)に石廊崎(いろうざき)から 来たという海の男は 甘えんぼ飲んで騒いで つらさ忘れて 風待みなと入船出船は 馴れっこなのと涙見せずに 紅をさす一期一会の 人だから...
  • 恋々津軽

    恋々津軽

    お岩木山の 列車の窓に林檎(りんご)の花が 出迎える 出迎える心に根雪 積もったら帰っておいで この家に恋々津軽(れんれんつがる)は 春もようまつりの山車(だし)が まぶたに浮かびふるさとなまり 口に出る 口に出るやさしい母の 真似をして踊った夜は いつの日か恋々津軽の 紺がすりじょんから三味の 音色が響くはじけて強く...
  • こころの灯り

    こころの灯り

    かならず春は 来るからと涙をすくい 肩抱き寄せたないないづくしの 浮き世の川にあなたがともした 小さな灯り今では遠い 人だけどこころの 道しるべ苦労の昔 数えれば両手にあまる 山坂ばかり一度の幸せ それさえあれば泣かずに女は また踏み出せるせつない夜は ぬくもりを夢みて 想い出す止(や)まない雨は ないからとふたりでい...
  • 能美の里から

    能美の里から

    一の滝から 七ツ滝下れば涙が こぼれます未練抱きしめ 辰口(たつのくち) 辰口(たつのくち)心ゆらゆら 湯の香り緑やすらぐ 能美の里加賀の裾野に 昔から五色(ごしき)を彩(いろど)る 九谷焼夫婦茶碗が まぶしくて まぶしくて風にゆらゆら ハマナスがどこか愛しい 能美の里空はたそがれ 蛍火が手招きするよに またたくの瀬音...
  • おんなの暦

    おんなの暦

    流した涙を 振り向けばおんなの暦 にじんで浮かぶよどんだ川も 苦労の坂も越えてきました 幾年(いくとせ)過ぎたか細い肩を 抱き寄せたあなたのぬくもり ああ 消えぬまま明日(あした)はどこです 見えなくておんなの暦 風舞うばかり夢だけかかえ 田舎の駅をあとにしました 桜の頃にお酒が欲しい こんな夜は夢でもふるさと ああ ...
  • 冬酒場

    冬酒場

    そりゃあね 誰だって幸せに なりたいよあんたひとりが つらいんじゃない慰め言葉は かけませんぐっとこらえる 男の影がみぞれを誘い 灯りが揺れる 冬酒場だからね 聞かないで閉じ込めた 胸の傷口に出せない いろんなことが女もあるのよ わかってよお酒注ぎます 熱燗徳利かじかむ夜は 手酌じゃ寒い 冬酒場今度ね 生まれてもやっぱ...
  • 風笛の町

    風笛の町

    野面(のづら)を渡る 風の笛ヒュルヒュル 心が 昔に戻ります愛していながら あの人となぜに別れた あきらめた何もかも 何もかも遠い夢です 北の町日暮れて点(とも)る 町灯りユラユラ せつなく 溜息こぼれますすべてを断ち切り あの時に追えば良かった 夜の駅目を閉じて 目を閉じて涙こらえる 北の町誰呼ぶ声か 風の笛ヒュルヒ...
  • そのうち一度帰ります

    そのうち一度帰ります

    たった四時間 電車に乗れば帰れるはずの ふるさとよ林檎畑の あの丘に今頃星が 降る頃か…三年前の お盆から帰らぬままの ご無沙汰ばかり小川のせせらぎ 田んぼ道そのうち一度 帰ります親のことなら 任せたきりで面倒みてる 兄夫婦電話ひとつも しないまま心配ばかり かけてきた…写真を見れば なおさらに後悔だけが 心に積もる流...