• 北山たけし

    「80」
  • 月うるる

    月うるる

    しまい忘れた 風鈴ちりりひと息呑みほす コップ酒今宵のこの月 おまえとふたり寄り添いあって 見たかったいつもとおんなじ 夜が冴えるうるる うるる 月うるる 月うるる月が笑えば おまえも笑うこころに棲みつく 片えくぼ別れたそのわけ 探して今も想い出めくる 夜いくつ泣いてもいいだろ 今夜だけうるる うるる 月うるる 月うる...
  • 夢追い鶴

    夢追い鶴

    別れ手紙の 折り鶴を窓辺に 残して 消えた奴あきらめ きれない 夢追ってお前は 今頃 遠い空たった 一度の 人生さ羽ばたいて 行くがいい 夢追い鶴よ泥を掴んで 立ち上がるお前の 強さを 見て来たよこの胸 濡らして 泣きじゃくるお前の 弱さも 知っている例え 離れて いようとも心だけ 傍にいる 夢追い鶴よ息を吹きかけ 折...
  • あなたへ

    あなたへ

    涙も見せず戦うあなたへかける言葉がいつも同じでごめんよ懐かしい海を見て あなたの声を感じて思い出の場所に花が咲く またあなたと一緒に見よう戦うあなたへこの歌を戦うあなたへありがとう夢でもいいと笑顔のあなたへ伝えきれない想いは心の中に流れゆく街並みに あなたの面影を探して忘れないずっといつまでも あの日の言葉は今でも愛す...
  • 夏の終わりが来る前に

    夏の終わりが来る前に

    男らしくお前らしく愚痴も言わずこの道を歩いてゆけ名も知らない路傍の花踏まれても咲いてみせようだから男同士で 飲み明かせば言葉は何もいらない夢も語らず 理由も問わず響き合う旋律(メロディー)時と共に流れてゆく歌のように人生は儚いもの会いたい人 会えない人もう一度“SABI”が聞きたいだから今夜は二人 飲み明かそう昔話を肴...
  • さすらいの街

    さすらいの街

    お前を探して さすらえば冷たい風が 胸を刺す別れたあの日と 同じよに粉雪舞い散る 北の街どこにいるのか 愛しいお前もう一度 もう一度逢いたい もう一度ままごとみたいな 暮らしでも幸せだった 遠い日々愚かな男の わがままを黙って許して くれた女(ひと)どうか詫びたい いまさらだけどもう一度 もう一度逢いたい もう一度噂を...
  • 春は来るだろう

    春は来るだろう

    思わずこぼれた ため息も白く凍える 冬の街それでも夜の 向こうにはまだ見ぬ朝が 待っている我慢の糸で 時間(とき)を紡(つむ)げばいつか希望の 春は来るだろう名前も知らない 花さえも今日を健気(けなげ)に 生きている上だけ見てちゃ 気づかない幸せだって そこにある運命(さだめ)の糸で 明日(あす)を手繰(たぐ)ればいつ...
  • 博多ぶるーす

    博多ぶるーす

    咲かずじまいの 終わった夢を乗せて流れる ネオン川中洲 那珂川 なみだ顔真一途(まこといちず)に 尽くしてくれたなんで なんでなんで渡れぬ 恋の橋風に吹かれて 天神通り一人歩けば せせらぎが夜の 川端 屋台酒呑めばグラスに 浮かんで消えるなぜか なぜかなぜか今宵は 星も泣く好いて好かれて 男と女たぐる細糸 であい橋祇園...
  • やん衆挽歌

    やん衆挽歌

    海の碧(あお)さに 惚れ込みながらさびれ番屋で 風を待つ吼(ほ)える山背の うねりも消えて沖は朝焼け ゴメが舞う酒も男も 清め酒北の船唄 やん衆挽歌口紅(べに)も引かずに 働く女房もんぺ姿で 網を刺す腕の古傷(いたみ)を こらえて耐えてせめていい夢 見せたいものと右へ左へ 舵をとる北の船唄 やん衆挽歌潮で揉(も)まれた...
  • 夢色吹雪

    夢色吹雪

    舞い上がれ さあ舞い上がれひらひら ひらひらと夢色吹雪 虹の欠片よさあ 解き放て泥だらけになって 生きてみるのも悪くない悔しさから力は 漲(みなぎ)るのさ涙見せない事だけが 強いわけじゃない流す涙に虹が出て 遥か遥か空に羽ばたけ舞い上がれ さあ舞い上がれひらひら ひらひらと夢色吹雪 この背に受けてさあ 立ち向かえ向かい...
  • 風物語

    風物語

    男はよー 夜明け篝火(かがりび) 船漕ぎ出して女はよー 浜で飯炊き 帰りを祈る男はよー 板子(いたご)一枚 命をけずり女はよー 銀の鱗(うろこ)の 持(も)っ籠(こ)を担ぐ百年の 風吹きわたり鰊(にしん)消えても 情けは燃えろ北の漁師は 真っ赤に 真っ赤に 血がたぎる男はよー 時化(しけ)た夜には 無口で酒を女はよー ...
  • 桜島哀歌

    桜島哀歌

    錦江湾に 沈む陽(ひ)が男のこころ 映し出す傷は癒えずに 血を流し燃え尽きるまで 燃えたがる何度も火を吐く 桜島まるで男の 叫びのように生きてることは 哀しいと男はみんな 思ってる負けて挫けて 倒れても終わりじゃないと 信じてる今夜は眠れよ 桜島夢で泣くなら 赦(ゆる)せるだろう錦江湾に 昇る陽(ひ)が男の背中 照らし...
  • 龍神海峡

    龍神海峡

    潮のかおりを 吸い込めば胸が胸が 胸が高鳴る鼓動が 突き破る…男の中の男とは 挑(いど)み続ける気持ちだろ北の海はよ 逆巻く波が 龍になる龍神海峡 おとこ船負けて泣くより 勝って泣けいつもいつも 背中押された男は 強くなれ…女の中の女とは おれを育てた お袋よ北の海はよ 絆がそうさ 命綱龍神海峡 木の葉船死ぬか生きるか...
  • 手紙

    手紙

    いつも心配ばかり かけてごめんよこれでも何とか やってるよ男だったら くよくよせずにまっすぐ自分の道を 行きなとあなたの言葉に はげまされてどうにかここまで 歩いてきたおふくろ 元気ですか ふるさとは白い冬時々 からだを いたわっていつか子供の頃に 手をひかれ歩いたあの日の夕陽が なつかしい男だったら めそめそせずに涙...
  • 津軽哀歌

    津軽哀歌

    雪がしんしん 降り積もるうわさ尋ねて 津軽路は風も切ない 竜飛崎(たっぴざき)岬廻りの 舟がゆく倖せだったら それでいいなんであの時 意地を張り遥か見上げる 駒ヶ岳(こまがだけ)酔ってこぼした ひと言が今はこんなに 辛すぎるすまぬ思いと 詫びながら一人ぽっちの 淋しさは未練心と 恋しさか戻れないから 五所川原北の海峡 ...
  • 津軽おとこ節

    津軽おとこ節

    故郷(くに)を出る時 お岩木山の吹雪く鳴き笛 背中で聞いた恋も未練も 津軽の郷(さと)へ埋めて来たのさ 太棹(ふとざお)抱いて津軽じょんから おとこ節 おとこ節雪の津軽に 別れを告げて夢に漕ぎ出す 都会の海で耐えることなら 馴れてはいるさ負けてなるかと 太棹(ふとざお)抱いて津軽じょんから よされ節 よされ節三味が唸れ...
  • アカシアの街で

    アカシアの街で

    想い出の札幌 訪ねてみればお前の好きだった あの日の白い花冷たい別れを 身勝手を詫(わ)びたら昔に 戻れるだろうかアカシアの 薫る街も一度逢いたい粉雪の空港 理由(わけ)さえ告げずその手を振りきって 飛び立つジェット便ごめんよ今頃 気がついた離しちゃいけない 大事な女(ひと)とアカシアに 浮かぶ笑顔(かお)こんなに愛し...
  • 神戸で逢えたら…

    神戸で逢えたら…

    小雨に霞んだ 港の夜景別れちゃいやだと おまえは泣いた思わずこの手で 抱き寄せた肩の震えよ ぬくもりよふたり出逢った 恋の街ミナト神戸で 神戸で逢えたら…あれから三年 季節は流れ忘れたことなど 一度もないさ寂しい横顔 細い眉ひとり暮らして いると云うあの日別れた なみだ街ミナト神戸で 神戸で逢えたら…元町あたりの カク...
  • 野菊の君だから

    野菊の君だから

    路地にひっそり 咲いてる花にどこか似てると うつむく仕草生きてりゃ涙も あるけれど汚(よご)れちゃいないさ そのこころふたりでなろうよ 幸せに野菊 野菊 野菊の君だから年齢(とし)の頃なら 三十路(みそじ)のてまえ北の訛(なま)りが かすかに残る男の心に やすらぎと愛しいぬくもり くれた女(ひと)離しはしないさ これか...
  • 霧笛の酒場

    霧笛の酒場

    夜霧にうるむ 港のあかり窓からひとり みる俺さこんな夜には そばに来てそっとお酌を してくれた何処(どこ)にいるのか 霧笛の酒場おんなの夢を 叶えてやれず悔やんでいるよ 今だって波止場通りを 訪ねても知らぬ他人の うしろ影ひと目逢いたい 霧笛の酒場時計が過去に 戻せるならばおまえを二度と 離さない古い北向き アパートに...
  • 梓川

    梓川

    瀬音さやけき さえずる小鳥浮き雲ゆれる男は哀しい 旅人かあ…時は移れど 悠々(ゆうゆう)と流れも清(すが)しい 梓川白い野の花 面影浮かぶあの人今も倖せだろうか 気にかかるあ…時は移れど 永々(えいえい)と流れも優しい 梓川たどる小道に そよ風わたる過ぎ行く季節想い出心に 抱きながらあ…時は移れど 堂々(どうどう)と流...