• 木村徹二

    「30」
  • 舟唄

    舟唄

    お酒はぬるめの 燗がいい肴はあぶった イカでいい女は無口な ひとがいい灯りはぼんやり 灯りゃいいしみじみ飲めば しみじみと想い出だけが 行き過ぎる涙がポロリと こぼれたら歌いだすのさ 舟唄を沖の鴎に深酒させてヨいとしあの娘とヨ 朝寝するダンチョネ店には飾りが ないがいい窓から港が 見えりゃいいはやりの歌など なくていい...
  • みだれ髪

    みだれ髪

    髪のみだれに 手をやれば赤い蹴出(けだ)しが 風に舞う憎や 恋しや 塩屋の岬投げて届かぬ 想いの糸が胸にからんで 涙をしぼるすてたお方の しあわせを祈る女の 性(さが)かなし辛(つ)らや 重たや わが恋ながら沖の瀬をゆく 底曳(そこび)き網(あみ)の舟にのせたい この片情(かたなさ)け春は二重(ふたえ)に 巻いた帯三重...
  • 矢切の渡し

    矢切の渡し

    「つれて逃げてよ…」「ついておいでよ…」夕ぐれの雨が降る 矢切の渡し親のこころに そむいてまでも恋に生きたい 二人です「見すてないでね…」「捨てはしないよ…」北風が泣いて吹く 矢切の渡し噂かなしい 柴又すてて舟にまかせる さだめです「どこへ行くのよ…」「知らぬ土地だよ…」揺れながら艪が咽ぶ 矢切の渡し息を殺して 身を寄...
  • 柳ケ瀬ブルース

    柳ケ瀬ブルース

    雨の降る夜は 心もぬれるまして一人じゃ なお淋し憎い仕打ちと うらんでみても戻っちゃこない あの人はああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている二度と逢えない 人なのになぜか心が 又いたむ忘れたいのに あの夢を想い出させる この酒がああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている青い灯影に つぐ酒はほろり落した エメラルドもだえ身を焼く 火の鳥が雨に...
  • 夢芝居

    夢芝居

    恋のからくり 夢芝居台詞(せりふ)ひとつ 忘れもしない誰のすじがき 花舞台行く先の影は見えない男と女 あやつりつられ細い絆の 糸引き ひかれけいこ不足を幕は待たない恋はいつでも初舞台恋は怪しい 夢芝居たぎる思い おさえられない化粧衣装の花舞台かい間見る 素顔可愛い男と女 あやつりつられ心の鏡 のぞき のぞかれこなしきれ...
  • 夢の花道

    夢の花道

    何もしないで 終わったらこの世に生まれた かいがないまだまだこれから 明日があるさ弱音吐いてる 暇はない転んだら また立ち上がり憧れを まっすぐ見据えて夢の花道 駆け抜ける風に揺れてる 野辺の花浮かべるあの娘の 面影よまだまだこれから いろいろあるさ恋の苦さも 噛みしめて思い出を また道連れに青春は この先にも咲く夢の...
  • よこはま・たそがれ

    よこはま・たそがれ

    よこはま たそがれホテルの小部屋くちづけ 残り香(が) 煙草のけむりブルース 口笛 女の涙あの人は 行って行ってしまったあの人は 行って行ってしまったもう帰らない裏町 スナック酔えないお酒ゆきずり 嘘つき 気まぐれ男あてない 恋唄 流しのギターあの人は 行って行ってしまったあの人は 行って行ってしまったもうよその人木枯...
  • 与作

    与作

    与作は木を切るヘイヘイホー ヘイヘイホーこだまは かえるよヘイヘイホー ヘイヘイホー女房ははたを織るトントントン トントントン気だてのいい嫁(こ)だよトントントン トントントン与作 与作 もう日が暮れる与作 与作 女房が呼んでいるホーホー ホーホー藁(わら)ぶき屋根にはヘイヘイホー ヘイヘイホー星くずが 降るよヘイヘイ...
  • つむじ風

    つむじ風

    男心に 渦を巻く熱い思いの つむじ風風よ吹け吹け 吹き荒れろ夢も半端じゃ 終われない意地張って 胸張って 頑張って俺の人生 生きてやる惚れた女を 泣かせない決めて見上げる 夜の空風よ吹け吹け 吹き荒れろそばに寄り添う 花ひとつ恥かいて べそかいて 汗かいて俺の人生 生きてやる夢が遠くに 見える日は酒を喰らって ひと休み...
  • 二代目

    二代目

    男一代 築いた技術(わざ)を盗む気概で 食らいつく言葉少なに 黙々とそんな姿を 刻む日々俺は二代目 継いだ心意気命を削って 腕を磨くのさいつか師匠(おやじ)を超えてやる「家族を大事に できない奴に褒めた仕事が 出来るものか」そんな師匠の 口癖が今も心に 鳴り響く俺は二代目 咲いた夢の花誰かの笑顔が 糧になるものさいつも...