• 筒美京平

    「1384」
  • 陽のあたる場所

    陽のあたる場所

    愛にそむかれた あの日からなのよ哀しみの影を まとって生きてる人波さけて 裏通りゆくの枯葉が散る中 どこまで歩くあなたの暖かい 胸が恋しいどこに行ったとて 二度と帰らない陽のあたる場所は あなたと消えたの街のウインドの 前にたたずめばやせてはかなげな 私が映るの涙も涸(か)れた さびしげな瞳明日は南の 花咲く町ヘ一人で...
  • 窓

    悲しい女もいるわ 明るい女もいるわ裏街の中で いろいろな女が暮してる花を飾った窓は 恋をしている人が住んでいる 部屋なのかしら誰もが今日また生きる 明日にのぞみをつなぎ裏街の中で いろいろな女が 生きている南を向いてる窓も 北がわ向いてる窓もこの街で生きる いろいろなさだめを語るのよ今日も閉ざした窓は 恋を失くした人が...
  • 燃える瞳

    燃える瞳

    燃えるあなたの 瞳がいとしい強く結ばれた 遥かななぎさ今は愛 愛は白い波にきえ夏は私の心で 泣いている思い出かわす口づけ いつわりの姿今は愛 愛は白い波にきえ夏は私の心で 泣いている思い出かわす口づけ いつわりの姿………...
  • ある事情

    ある事情

    ある事情があって突然あなたを訪ねて来たのです来る途中 何度も迷って知らない駅にも降りてみました“小さな遊びの結果”だというあの人の言葉それがショックでした……そして いまでは生きる勇気を失くしてるのですある事情があって他には相談する人 なかったのです故郷(ふるさと)の母にも言えずに女であること うらんでました確かに自分...
  • 初恋のメロディー

    初恋のメロディー

    これが最後の接吻なのにあなたは何をためらうのかしらこれがお別れ ドライブなのに二人で何をためらうのかしらすてられたのは くやしいけれどせめて今だけ この胸をあたためてこれが最後のドライブなのに私のお家はすぐそこなのに白い波止場に車を止めて暗くなるまでそばにいてほしい貴男のタバコに火をつけましょう愛の終わりを待つあいだだ...
  • (青春は)まるで映画のように

    (青春は)まるで映画のように

    エレベーターの扉のしまる音がして顔をあげた女の子 唇かめばホテルの窓に 消えてゆく車のライトまるで映画のような最後じゃないか無理はよせよ 化粧おとし 駆けてみろそうさ胸の中で 雨がふるばかり待っておくれ 声をかける あなただけれど雨の音に消されてゆくの朝もやの中 スポーツ・カーで男は旅に美しい思い出を 忘れるために見知...
  • 100粒の涙

    100粒の涙

    星空に身体浮かべて動かずにじっとそのままねえ誰か刺を抜いてよチクチクと心が痛い忘れよう あなたと生きた季節ごと空白にして最初から逢わなかったと思いこむ それがいいのね心に刺がささった夜は傷口に涙100粒ぬりこんで想い出という包帯巻いてあんな人嫌い 大っ嫌いって100回唱えて眠りますからっぽのポストにコトリ舞い落ちた白い...
  • 東京ららばい

    東京ららばい

    午前三時の 東京湾(ベイ)は港の店の ライトでゆれる誘うあなたは 奥のカウンターまるで人生 飲み干すようににがい瞳(め)をして ブランデーあけた名前は? そう 仇名(あだな)ならあるわ生まれは? もう とうに忘れたのねんねんころり ねころんで眠りましょうか東京ららばい 地下があるビルがある 星に手が届くけど東京ららばい...
  • さらば恋人

    さらば恋人

    さよならと書いた手紙テーブルの上に置いたよあなたの眠る顔みて黙って外へ飛びだしたいつも 幸せすぎたのに気づかない 二人だった冷たい風にふかれて夜明けの町を 一人行く悪いのは 僕のほうさ君じゃないゆれてる汽車の窓から小さく家が見えたとき思わず胸にさけんだ必ず帰って来るよといつも 幸せすぎたのに気づかない 二人だったふるさ...
  • ダンシング・セブンティーン

    ダンシング・セブンティーン

    おしゃれなぼく サイケな恋君が好きさ 踊りに行こう言葉はノー リズムはゴー君は夢 踊って下さいダンシング・セブンティーン オ……ダンシング・セブンティーン オ……踊り明かそうダンシング・セブンティーン オ……ダンシング・セブンティーン オ……恋をしようよおしゃれな君 サイケなぼく恋がほしい 最高なんだかわいいウソ メガ...
  • オレンジの口紅

    オレンジの口紅

    去年の季節のかわり目に私が借りてたサマーセーターどうすればこの海で返せるのひと目だけでも逢えませんか淋しい口実でしょうか冷や汗かいてたコカコーラ二人で半分ずつ飲んだあの夏の光あの頃あなたが泳ぐたび「サメよ!」と指さし驚かした青い波 青春がきらめいたもう一度だけ乗りませんかおなじ湘南電車に岩場でキスした想い出も心に悲しく...
  • ビューティフル・ヨコハマ

    ビューティフル・ヨコハマ

    ヨコハマ ヨコハマ 素敵な男がヨコハマ ヨコハマ いっぱいいるわ遊び上手な ミツオにサダオ話し上手な ジローにジョージ私の好きな あの人はひとりで海を 見ているわラララ……ビューティフルな お話しねヨコハマ ヨコハマ 明日は雨がヨコハマ ヨコハマ 降ったらいいわ踊り上手な ハルオにゼンタとも子の彼も スイングしてるわた...
  • 究極キュート

    究極キュート

    指で作った双眼鏡で君の泣き顔いつも探したガードレールにつま先立ってねえ危ないよ 海に落ちそう波が怒ってるみたい生きているだけで痛いよね究極キュート じゃっまたね冬の渚をスキップしてた究極キュート 可愛く笑う君の瞳が怖かった缶のビールを回しのみしてその空き缶を蹴って歩いた怪獣ごっこして遊んだね君は悲劇の美女の真似して紺の...
  • 絶望グッドバイ

    絶望グッドバイ

    粉雪がタンゴ踊ってるねえ素敵ねと君は言う駅員さんが背を向けた 隙にキスした100年の孤独だけ 抱きしめて真冬のホームでぼくたち影絵のよう距離が離れたら 愛も壊れる自分の生き方を変えない君が好きだよこの世の終わりまで一緒に生きたいけれど無理に笑っても瞳だけ泣いてるね絶望 雪の汽車が旅立つ最後にマイクを持つ真似でデッキで何...
  • 雨の音が聞こえる

    雨の音が聞こえる

    心配させてごめんね もう大丈夫見えない愛がこわくて 素直になれなかったの耳もとでささやかないで くすぐったくていつかふたりでいった 海の話をしてよ雨の音が聞こえるあなたとわたし雨の音が聞こえる指がふれるたび静かね こんな静かな夜ははじめて心から好きといえる恋人たちのしぐさは 似ているのね通りのベンチでさえも ひとりでい...
  • 恋人たちの100の偽り

    恋人たちの100の偽り

    ゼラニュウム香ばしい坂道の朝花の茎折りながらあなたが聞いたもしぼくがいなくても生きてゆけるね平気よとくちびるとがらせたっけ嘘つくの下手ね 私って ほんとは愛してるのに見破るの下手ね あなたって 笑顔の裏には涙があるわああ恋人たちの偽りは 100もあるけど好きよって囁きだけは 真実でしたゼラニュウム色変えて水色の丘くちづ...
  • よろしく哀愁

    よろしく哀愁

    もっと素直に僕の愛を信じて欲しい一緒に住みたいよできるものならば誰か君にやきもちそして疑うなんて君だけに本当の心みせてきた会えない時間が愛育てるのさ目をつぶれば君がいる友達と恋人の境を決めた以上もう泣くのも平気よろしく哀愁いちいち君が泣くと他人が見ているじゃないふたりのアパートがあればいいのにおたがいのやさしさをもっと...
  • 木綿のハンカチーフ

    木綿のハンカチーフ

    恋人よ ぼくは旅立つ東へと向かう列車ではなやいだ街で 君への贈りもの探す 探すつもりだいいえ あなた 私は欲しいものはないのよただ 都会の絵の具に染まらないで帰って染まらないで帰って恋人よ 半年が過ぎ逢えないが泣かないでくれ都会で流行りの 指輪を送るよ君に 君に似合うはずだいいえ 星のダイヤも海に眠る真珠もきっと あな...
  • 卒業

    卒業

    制服の胸のボタンを下級生たちにねだられ頭かきながら 逃げるのねほんとは嬉しいくせして人気ない午後の教室で机にイニシャル 彫るあなたやめて 思い出を刻むのは心だけにしてとつぶやいた離れても電話するよと小指差し出して 言うけど守れそうにない約束はしない方がいい ごめんねセーラーの薄いスカーフで止まった時間を結びたいだけど東...
  • 愛の花咲く頃

    愛の花咲く頃

    たそがれの空に 浮かぶ翼が私の愛を あなたにはこぶあなたにはこぶ昨日届いた 見知らぬ国の花の香りに あなたをしのぶあなたをしのぶ忘れないでね 一人ぼっちの私霧にしずんだ 涙のエアーポートあふれるほどの 祈りをこめて空の彼方の あなたに愛を愛をささげる忘れないでね 一人ぼっちの私霧にしずんだ 涙のエアーポートあふれるほど...