• 筒美京平

    「1382」
  • ∞

    二度も裏切られたから少し臆病すぎるかしら愛はゆりかごの言葉聞いたときからゆれる青空…限りなく…風には…道もない…Baby. Give me true LoveIt's unlimited心は∞(無限大)あなたが朝をくれたから私 お返しに夜あげた動きはじめた心は誰も止められないの季節は…絶えまなく…人には…罪も無い…Ba...
  • エアポート'78

    エアポート'78

    南の島から帰る飛行機は雲間の切れ目の青い海を飛ぶ陽灼けた素顔が かげりがちなのは翼をたためば終わる恋だから「これ以上近寄れば傷つくよ」「傷つかない恋なんてありますか」トランク片手に立ち去る影に手を上げ近寄る絹のブラウスアテンション・プリーズあの娘があなたのフィアンセかしら心が破ける エアポート'78あの日は岬に二人腰か...
  • 暗くなるまで待って

    暗くなるまで待って

    コトコト響くサイホンに珈琲が揺れる夕陽はもう斜めの色あゝあなたから誘ったくせ待たせてかわすの心の綾 知ってる人暗くなるまで待ってるわこの淋しさを夜が隠すまで夕映え浮かべて滑る涙が一粒 あゝ待ったかいって呼ぶ声に駆け寄りたいのに押さえてただまわすスプーン軽い気持の襞(ひだ)さえも もう見透されて私をそう操る人暗くなるまで...
  • クリスタル・ムーン

    クリスタル・ムーン

    銀の波が寄せる入江青白い椰子があなたの影ひくオープンカー きしむカーブラジオから旧い“Moon River”Sea wind 心の舟がゆらゆら夢の帆を掲げてるわチラリチラリまどうまなざし肩にふれるゆびの綾とりクリスタル・ムーン 水晶の夜仄かな月の灯りで心を見せて青い渚ふたりぼっち夢ウフフ十字星が照らすあなた断崖に車止め...
  • 元気?

    元気?

    彼女はビールを右手にかざしここ空いてる?と小首かしげるあなたはテラスの椅子をひきずりひざのえくぼに眼を走らせるねえ しばらく! 元気? 元気よ私 虚ろにくちびるのはし きゅっとかんでるセンチメンタルパーティー 尖る椰子 白い月瞳のすみで二人を見てたセンチメンタルパーティー 淋しさのつまはじきからかい半分ねどういうつもり...
  • Summer End Samba

    Summer End Samba

    それは夏 光の粒子砂のうねりは絹の襞海鳴りを背に走る坊やはカニとサンゴを手にかざすそれは風 髪を束ねる菫の水着似合うひと赤銅色の背がふるえてて笑うあなたがわかったわSummer End Samba 絵に描いたような八月私の心の風と雨Summer End Samba 絵に描いたような幸福砂丘の影から見ていたのそれは波 ハ...
  • 自然に愛して

    自然に愛して

    ほろ苦い汗を夏に飛ばし涼しげに駆けて来る彼ただもの憂げな秋をたたえた瞳(め)で本を読むあなたの肩あー 光と影の間で揺れてそうよ心が二つに裂けそうなのあー 愛をはかりにかけるのはいやいっそ気ままな旅に消えよう心ゆらり ゆらり 揺れて日向の匂いのする両手でこの胸をふるわせる彼ただポツポツ言葉を交わす夜で淋しさを包むあなた何...
  • 心象風景

    心象風景

    ぽっかりと心の虚ろに草花が咲き乱れる小枝踏む音に振り向けば走り去るあなたの影がふるえてたディ・ライト・ドリーム追いかけたいのに手や足が陽射しに縫われて動けないそんな白日夢を見るのは愛見失ったせいです夏風の水彩絵の具が描き出すあなたの顔立ちすくむ二人の間にひとすじの小川の水の境界線ディ・ライト・ドリーム小鳥が飛び立つざわ...
  • スカーレットの毛布

    スカーレットの毛布

    もう起きてたの うす瞳を開けていつから寝顔のぞいていたのブラインドからさした夜明けがあなたを包む ねえ 縞模様Good morning sun shine何かいい夢見たかしらGood morning sun shine睫毛をふせて照れかくし冬より寒い朝だけどやさしさなんか欲しくないスカーレットの毛布一枚今は 今は あな...
  • スワン

    スワン

    ねえほんと? ほんきさ冗談じゃなく? まじめさ一緒に暮そうって言ったんだよ朝焼けがレースを透かしてバラ色にベッドを染めるの友だちを作るのが下手な私にもはじめての朝ねスワン 昨日までみにくいアヒルの子スワン あなたの両手で白鳥に変わるスワン 子供の時から今日を夢見た私を連れ去る中世の騎士(ナイト)好きよ 愛してる そんな...
  • 太陽写真

    太陽写真

    眠たい朝陽のプール・サイドは花片(びら)浮かべて時が漂うあなたが飛び込むスロー・モーション光のしぶきが心に散るわ「綺麗だね今日の君は人魚のようだ」「上手だわあなたって嘘を塗るのが」ブレーキ忘れた恋の中私は時々 笑顔になれる静かな真昼のプール・サイドは波打つ気持も静まりかえる陽炎ゆらめいたサングラスあなたの瞳を探して泣い...
  • トライアングル・ラブ

    トライアングル・ラブ

    プリズムの赤や青が陽ざしへと光るブラインド越しに透ける街はもう真夏瞳外らすのは隠し事してる証拠ね誰ともう海で灼けたのか聞かないわプリズムを弾く指に三角の玻璃(ガラス)その人と私たちの関係のように席を立つあなた電話する長い空白爪のマニキュアに夕焼けがとまったわプリズムに片目あててごまかしたあなた真っ直ぐに投げた愛が手を外...
  • ドール

    ドール

    プイと横向いて出て行ったきりあなたは夜明けまで帰らなかった窓の人形を話相手に一生結婚はしないと誓う大きくなったら何になる? 花嫁よ葉っぱのお皿 木の実のお椀ままごと遊びの日は帰らない横浜生まれのセルロイド心が無いからセルロイド名字も変えずに暮した部屋で涙で瞳が青く染まったDoll Doll Doll よこはま・どーるあ...
  • ナイーブ

    ナイーブ

    あなたはTVの映画を見てもほろりと泣くほど感じやすいの男のくせにとひやかすけれど涙は生きてる証拠だよって許してあなた かくしてる事があるのその人は前の彼 荒々しい人だった今でも時々想い出すのよあなたと比べて罪深いわねだけどナイーブ あなたナイーブ傷つきやすい人だから 言っちゃいけない昔の恋あの人なんだかたよりないねとあ...
  • 夏風通信

    夏風通信

    眠たげな波の気配に描(えが)き込む人影も無い太陽は雲を透かして鈍(にび)色に私を包む朝な夕なに想っていますシルキー・サマー、シルキー・シャドウ晴れた日はひな菊の波に心を踊らせくもり空 髪を梳(す)く風に便りは届かず通り雨 一文字でいいと海鳴り見つめてあー待ちくたびれてますカーブする湾内道路に犬連れたあなたが浮かぶ心なし...
  • Nenne

    Nenne

    「だから Nenne おこらないで聞いてくれNenne ぼくは片想いしてるのさだから Nenne ずっと大人の女さNenne 泣いて やいているのかい」ああ 哀しみに頬杖ついて彼が言う猫でもいじめて笑う そんな瞳でNenne Nenne お前は Nenne純粋な気持だけをもてあそぶ彼さよなら好きな人 彼はやさしいやさし...
  • 女優

    女優

    たそがれのCafeで椅子を引いて座るねえ 知ってる あの人は昔の女優なんですって少し老けたわ別れを背負い 女を演じ艶かに銀幕を横切るひとフラッシュとライトを浴びて微笑(わら)う人生今 孤独な夕焼けに 心重ねる顔が淋しすぎるわあの人が泣くたびもらい泣きの場面子供の頃 グラビアを切り取り壁へと貼った憧がれてたの白亜の館 華...
  • ピッツア・ハウス22時

    ピッツア・ハウス22時

    サラミとオニオンそれとアンチョビキャンティのワインとグラスをふたつ紙ナプキンをひざに広げてまっすぐぼくの眼を見るんだね二年前ならバラの破片(カケラ)を頬に散らして爪見てたのに変わったな そう言いかけてやめたのはスプーンに映るぼくも歪んで見えたからこの店も何故かさびれてしまったねLonely Nightピッツア・ハウス2...
  • 冬の蜂

    冬の蜂

    あれは中禅寺の山影の赤や黄色も褪せる頃水藻絡むオールふと止めてボート岸に寄せたあなた細い糸を張ったまなざしをたてに切るような葉の雨こんな小さな葉も死ぬ前は炎えて美しくなるのね指先にとまる冬の蜂弱弱しく薄い羽が小刻みに震えた翡翠の色した雨雲背に置いてくちびる翳らせ あなたはポツリ言う飛び交う蜂すら刺せなくなるのなら心が刺...
  • 街の雪

    街の雪

    冬の雨が 雪の粉に変わったのは少しやせた君を空が哀れんだから掌へと溶ける雪をぼくに見せてこれが雪の涙なのと淋しく笑うしん・かん・しん・かん 雪が降る ビルの谷間にしん・かん・しん・かん 天使が描いた水玉模様「あなたに逢えない毎日なんて想像もつかない」とだだっ子みたいにしゃがみこむ君は昨日より無口だね角のカフェで 湯気を...