• 野口五郎

    「86」
  • 少し抱かれて

    少し抱かれて

    胸に住みつく悲しみ 別れてあげればいい恋は泣くことじゃなくて 同じ夢の中へ少し抱かれて恋しく 切なさの賭けひきで心と身体半分 わけることが出来るきき訳のない愛よりも今だけをもっと眩しく約束のない恋よりも愛し合えるはずあゝ 心のまま いのちが綺麗に燃えればいいよ恋は不思議な生き物 心まで縛れない指がふれてる時より 厚くな...
  • スマイル

    スマイル

    Smile on me 君はほほえんだ 僕に待つ人もいないのか 同じだねSmile on you グラス持ちながら 二人隣りへと座ったよ おたがいに街はただきらめいて 孤独だがこんな シネマのようなこともある夜が僕たちを 逢わせたのさSomeday いつかこんな夜がSomeday やって来ると期待していたのさ僕は……S...
  • 遠い夏

    遠い夏

    あなたと別れて 季節が知らずに僕の前を過ぎるあなたがいない町に 今年も夏が来て氷屋の旗が風に ゆれています今でもおぼえていますか プールで泳いだ帰りにそこの店であなたと 休んだことをどこで今年は 夏をあなたは むかえているのでしょう浴衣に赤い帯を あなたはしめていた祭りにいったことを おぼえてますあなたは金魚をすくって...
  • ときめく胸

    ときめく胸

    あなたのことを想う時喜びで熱く胸は ときめきゆれるよIt's beating,beating on.あなたのほかには この世のものなどなんにも今ではいらないよI don't wanna see anyone but you,and only you.あなたをいつしか僕は 愛していたこの世で一つの愛と 街の中で叫びたいよ...
  • 二死満塁の青春

    二死満塁の青春

    白い打球が空を翔ける二人の愛が星空を渡った夏の夜あなたが投げたまごころをぼくの両手がしっかり受け止めたあの夏の夜追いつめられたぼく達が明日に向かって人生をぶつけてた夏の夜あなたと初めて出逢った場所は(That night in Summer)ライトの眩しいスタジアム涼しい横顔オペラグラスで(That night in ...
  • 一人が好きですか

    一人が好きですか

    何時からか あなたと 約束のない朝が 嫌いになったわ何時からか 一人で 過ごす夜には胸に 隙間風 吹くどこにいるの あなた 一人が好きですか恋をしても そばに いたいなんて 思わないの二日三日 九日十日も 言葉ひとつ 聞けない時ほど人が言う とても 女らしく なったと何時迄も あなたと 春秋の風受けて 華やいでいたい何...
  • 冬木立(ふゆこだち)

    冬木立(ふゆこだち)

    君は覚えているだろうか冬木立の見える窓をエプロンかけた まだあどけない君は君は桜いろのマニキュアをしていた電車の音を聞くたびにいつか二人で旅に出ようね幸福ですよと絵葉書出そうね淋しげに 微笑む君を見ていつの間にか君を抱いていたありふれた 愛でよかったささやかな 夢でよかったただ君だけを 離したくなかった君は覚えているだ...
  • やさしく教えて

    やさしく教えて

    何気なく入った店で 彼女を見かけた僕を見て ひらひらふる手のマニキュアが紅いそんなにも前のことじゃ なかった筈だが今はもう さなぎが蝶にとかえったみたいだTeach me softly やさしく教えて君は可愛いく ふるえていたっけTeach me softly やさしく教えて彼女は何かを 跳びこえたのだろう調子に乗って...
  • 夕暮れギター

    夕暮れギター

    夕暮れ誰かが ギターを弾くよちょっと前流行った 愛の歌を僕にも想い出 ひめてる歌だ別れたあなたが 唄ってたこの歌のように なるのかしらねとあなたはあの時 言っていたおぼえているかいまさかと思い笑っていたけど今ではほんとに なってしまったLovely Time Twilight TimeLovely Heart さびしい...
  • 愛よ甦れ

    愛よ甦れ

    君のいらだちを 感じながらも愛が甦る季節を ぼくは待っていたブティックのウィンドウがひと足早く夏を飾る頃に 君と長い旅に出ようか男は心の中に 地球儀 ひとつかかえてうつろう愛の間に間に ひたすら回しつづける君は指先に髪を巻きつけけだるい瞳に光を 取り戻している地球儀の海原に 涙を捨てて君の胸のつかえ ひとつひとつ 風に...
  • 美しい愛のかけら

    美しい愛のかけら

    忘れてほしいとあなたはどうして 云えるのか両手に抱いても静かに僕の手すりぬけるあの時あなたは すべてを棄てるとただこの手に 抱かれて誓ったあれは遊びなのか 港が見える部屋甘くからだ寄せて 汽笛を聴いたよ偽りの中で 幸せを失くし生きてゆくのかあなたとこのまま死にたいよ今はかなわない愛ならあなたの若さが私はつらいと云った人...
  • 女友達

    女友達

    君に電話を かけても今ではどこに越したか 行方は知れないなぜかうつろで さみしい夜には君を呼び出し 朝まで飲んだ誰よりも仲のいい 女ともだちだった夜明けに酔いしれて 君のこと抱いたよどこかでこの僕を 支えてくれた人そんなやさしさ 失くしてしまったあれはいつだか 旅にも出かけた山の淡雪 きれいな季節だ古い宿屋で 浴衣に着...
  • 風の駅

    風の駅

    僕の帰りを暗い駅のベンチで君は待ってた 赤いサンダル紙の袋にこぼれそうなミカンを大事そうに抱きしめてそんな君がいじらしかった若い暮しには 不安だけがあって名付けられる確かなもの何もなかったただ君の髪の毛の香りこの指が覚えてるだけさ遠い風の音 何故か君の声で僕を呼んでいるようだ夢の続きを見れるはずもないのに君が待ってた ...
  • グッド・ラック

    グッド・ラック

    この腕の中を 泳ぎ疲れてお前は眠る 何も知らずにブラインド降ろし 朝の光をせめて隠そう サヨナラがわりにごめんよ どうやら別れの時間だひと箱の煙草が 終ってしまった男は心に ひびく汽笛に嘘はつけない 行かせてくれよ寝返りを打って おれの名を呼びお前は笑う 子供みたいに新しい恋を 見つけるまでは濡れた目をして 暮らすだろ...
  • 送春曲

    送春曲

    春は行く 春は行くぼくらの春は行くびしょ濡れの髪が 額にはりつき唇のいろも むらさきに変り熱のあるからだのようにふるえながら泊めてよと あなたはいった今だから話せるけど あの日あの時あなたの姿は悲し過ぎたよ泣いて眠り 話して眠りそしてぼくらは一つになったそれもこれも季節の出来事春に別れる約束だった春は行く 春は行くぼく...
  • 沈黙

    沈黙

    はじめから あなたは愛を戯れとわりきっていた香水のかおり残してぼくの手を すり抜けていたね街でタクシーつかまえる頃あなたの瞳は手紙に揺れるどんな気がする どんな気がするひとり淋しい置いてきぼりはサイレント映画のようにひそやかにあゝ恋人よ 静かに泣けよ水色の雨降る街は傷ついた人でいっぱい心へと吹き込む雨はこの傘じゃ隠せな...
  • 泣き上手

    泣き上手

    そんなに泣くなよよけい可愛いくなるじゃないか淋しがりやの 男はみんな身勝手なんだよ 好きな人にはそんなに泣くなよ喫茶店にも入れないよ僕を笑顔で 参らせておいて涙でとどめを さすつもりかい僕にはお世辞も 上手も言えない嘘をつけば顔がゆがむそこがいい そこがいいって言ってたじゃないタクシー拾おう 遠くヘ行こうよどこへ着いて...
  • 真夏の夜の夢

    真夏の夜の夢

    その時 あなたは バラになりその時 ぼくは 蝶になりこの世の嘆きや 苦しみを忘れて覚えた蜜の味夜霧が窓から しのびこみあなたの肌をつつんでも寒さにめざめることもなく心のハープをかき鳴らすああ かき鳴らす夢よ 夢よ 夢よ 夢よ 夢よ 夢よ真夏の夢よ深い 深い 深い 深い 深い眠りに誘えよあなたはバラ ぼくは蝶あなたはバラ...
  • むさし野詩人

    むさし野詩人

    繁華街から静かな道へあなたの涙たどって行くよ灯りの浮かぶ公衆電話今はあなたの影も見えないむさし野公園ひとりきりあなたの想い出集めたよ20才の春ははかなくて生きてる事は哀しい詩だ15行目から恋をして20行目で終ったよ映画帰りにここまで来たねラブ・シーンには顔を伏せてた染まった頬のうす紅色が池の夕陽にこわれて揺れたむさし野...
  • 夕立ちのあとで

    夕立ちのあとで

    夕立ちのあとの街は きれいに洗われたようで緑の匂いが よみがえります忘れようと 務めて少しは忘れかけてた あなたの想い出が急にあざやかに もどって来ました夕立ちの多い夏に 愛して別れた人です風さえあの人 おんなじようです通りすぎる 小さな軒先風にゆられて 小さな風鈴が遠い夢を呼び かすかに鳴りました夕立ちのあとの街は ...