• 岡千秋

    「1197」
  • おんな夢変化~女世直し口伝

    おんな夢変化~女世直し口伝

    お上の風は 冷たくていとしい人を 苦しめるむごい仕打ちだ 解き放さねばやるぞ この身を 銭にすればいい…おんなが命を賭けたとき夜霧にまぎれて ふるさと棄てた…(セリフ)「お役人さま。それは最後の喰い物です。それまで取りたてないで下さい。お願いです。」…あれから水ばかり…もう、死ぬしかない。わが子の首に手をかけたとき、「...
  • はまなす岬

    はまなす岬

    野に咲く名もない 花だからあなたのその指で 摘まれたい東京へは 行きません津軽で 暮らします幸せよ幸せよ ここはふるさと春まだ浅い 小泊(こどまり)岬あなたと初めて 逢ったのはりんごが赤くなる 秋でした心はずむ くちづけをりんごが のぞいてた幸せよ幸せよ かくしきれない胸のときめき 潮騒岬愛するひとから 愛されて女は涙...
  • 歩の女房

    歩の女房

    前に出るしか 能がないそんなあんたは 将棋の歩えやないか えやないか世渡り下手でも えやないか技なしだって えやないかとことん男を 張りなはれあんたにゃうちが ついている風が吹いたら 飛ばされる木の葉みたいな 歩の運命えやないか えやないか王将でなくても えやないかごっつい「と金」で えやないかとことん男を 張りなはれ...
  • 母ざくら

    母ざくら

    生れながらの 苦労に泣いたそれが私の 運命ならあなたと愛を 結びあいいのち授けた この子のために冬の向うの…春を呼びたい 母ざくら眼許可愛い 子のいとしさは親でなければ わかるまいこの世のどんな 宝よりもっと大事な この顔この手寝顔幼い…夢に微笑む 母ざくら十五十六 二十才も過ぎて晴れの嫁入り 祝い唄やさしい妻に なる...
  • 浜唄

    浜唄

    沖のかもめが 別れをせかすわたし港で 袖をふる出船悲しや 待つ身には三日三晩は 長すぎるヤンサノエー ヤンサノエーあなた浮かべて 日が暮れる紅をひく度 あなたを忍ぶひとり忍んで 惚れ直す情けあるなら 叶うならせめて乗りたい あの船にヤンサノエー ヤンサノエー点る漁火 波まくら好きなあなたの お酒を揃え今日も港で 立ち尽...
  • ふるさと恋唄

    ふるさと恋唄

    冷や酒 徳利 耳もとで揺らせば聞こえる 波の音…女ひとりの 淋しさよ帰るその日は いつになるハ~ 故郷が酔えばなおさら 近くなる指折り数えりゃ 母の年令(とし)越してまだみる 母の夢…膝のぬくもり 優しさよ胸に面影 また浮かぶハ~ 故郷が酔えばなおさら 近くなるお酒にむせた ふりをしてこぼれる涙を 指で拭く鰹取る船 出...
  • 六十里越え

    六十里越え

    霧が深くて 月山(おやま)が見えぬ山がみえなきゃ 明日が見えぬ胸にかかえた おんなの涙アーー アーー袖にこぼれて 草の露想い 出羽三山(みやま)を 六十里越えてあなたの 後を追う夜なべ藁(わら)打ち 紅緒の草履指にくいこむ 見返り峠せめてひと言 本音を聞けばアーー アーーよわい未練も たち切れる想い 出羽三山(みやま)...
  • 花ごころ

    花ごころ

    冬の厳しさ 北風に咲く花の凛々しさ 目に沁みる嘆くな男なら今日がだめなら明日がある 明日がある生きてりゃついてまわる風人生をあきらめず花の魂(こころ)が 道しるべ胸におさめろ 悔しさつらさいつか咲く日の 時をまて嘆くな男なら今日がだめなら明日がある 明日がある一度や二度のつまづきに寄ろけても立ちあがれ花がおしえる 心意...
  • 道

    北風に凍えて ひざを抱き酒でぬくめる 日もあるさ泣いていいから 前をみろ寄道 裏道 日かげ道ままにならない 浮世でも夜が明ければ 朝がくる君の涙は おれがふくおれのなみだは 君がふけここで逃げたら 先がない山道 崖道 苦労道決めた道なら 男ならおれもゆくから 君もゆけ命あるから 人はゆく人がゆくから 道はつく百里千里も...
  • 女の花詞

    女の花詞

    一つしかない 命を賭けて花は吹雪の 中に咲く私も女と 生まれたからにゃ秘めた炎が 道しるべいばらの道を 歩きたい人を泣かせて 生きてはならぬ誰が見てようと 見てまいと鴎も通よわぬ 小島の磯に咲いた椿の 心意気私の胸に 飾りたい何も残さず 死ぬのはいやよそれが女の 花詞一日一善 つみあげながら前へ進んで 散るときもふり向...
  • おまえとしあわせに

    おまえとしあわせに

    血のにじむほど 指を噛み俺の帰りを 待っていたお酒の匂いが しみついて女ひとりの 苦労がわかるはなさない はなさないはなしはしない おまえとしあわせに しあわせに誰にもこの身 触れさせずたえていたのと 腕の中いじめて泣かせた だけなのにとても無邪気に おまえは許す馬鹿な奴 可愛い奴やさしい奴よ おまえとしあわせに しあ...
  • 北のものがたり

    北のものがたり

    ついてくるのは 止めときなよとあなたは火の酒 飲みほしていた男のわがままが 女を駄目にする女のやさしさが 男を駄目にする北のさいはて 暮したふたりしょせんはさすらい ちぎれ雲来る春 待てよと 背中で告げて木枯らし吹くなか 駆けぬけていった男の冷たさが 女を燃えさせる女の想い出が 男を傷つける北の酒場で 夢みたふたり淋し...
  • おまえと生きる

    おまえと生きる

    浮草みたいな ふたりでも夢があるから いいと言うこんな男に 明日(のぞみ)をかけてつくす女の いじらしさどこへはじけても俺はおまえと おまえと生きるふたりで背おう 苦労なら重くないわと 目で笑う一対(つい)の湯呑みに 茶ばしらみつけあなたごらんと 肩よせるこの手離すなよ俺はおまえと おまえと生きるこの雨あがれば 街うら...
  • 里に降る雪

    里に降る雪

    あんずの枝が 芽吹く頃帰ってくると 抱いたひと花もおぼえて 咲く春をあなたは都会で 忘れたかふるえる肩に 黒髪に彼岸じゃらくの 雪が降るあしたの暦 待てなくてかじかむ指で まためくるなんで女に 生まれたとつぶやくそばから 逢いたくてふるえる肩に 黒髪に彼岸じゃらくの 雪が降る心のみぞに 吹く風がひとりの夜を 長くする夢...
  • ひとめぼれ

    ひとめぼれ

    他人が泣いてりゃ ほっとけず買った苦労で 泣かされるあんな野暮天 もう知らないよと愛想つかして 飲むお酒けどね けどね 憎たらしいけどねひと目惚れしてね…あんたの世話をやくひとつ覚えの 無法松酔ってうなって ちどり足時代遅れの 男の人生がわかるもんかと 見栄をきるけどね けどね 憎たらしいけどねひと目惚れしてね…あんた...
  • 華と嵐の人生さ

    華と嵐の人生さ

    火の粉あびても 心の夢は捨てはしません 半端のままで我慢二文字 たすきにかけてあなた一人に ついてゆく涙ひとふきエエー華と嵐の人生さ口と裏腹 こころは涙渡る世間は 無情の海よ浮くも沈むも 運命(さだめ)は一つ一度惚れたら 惚れ通すそれを承知でエエー華と嵐の人生さ道をひと筋 またいだだけで変わる憂き世の 人間模様所詮裸で...
  • 命のきずな

    命のきずな

    離れない 離れない それが女なら離さない 離さない それが男です絆ひとすじ 夫婦の夫婦の証一度結んだ えにしの糸に賭けて悔いない あゝこの世ですつくしたい つくしたい それが真実なら抱きしめる 抱きしめる それが情けです絆ひとすじ あずけた あずけた命苦労吹雪の寒さに耐えりゃ花を届けに あゝ春がくる愛ひとつ 愛ひとつ ...
  • 送り酒

    送り酒

    しっかり見ておけ親父の顔をしっかり聞いとけ 母の声で今日はめでたい 男の門出涙かくして 出世を祈る浜の女房の あゝ 送り酒おまえお立ちか お名残り惜しやはやり風邪(かぜ)など ひかぬように三月(みつき)も添えずに 離れて暮らす新妻かもめは 切ないね海が結んだ 契(ちぎ)りだけどどんな魚の 大漁よりも私しゃあんたの あゝ...
  • 人生

    人生

    咲く花 散る花 この世のままにいつか流れる 月日の数よあの日いのちを 捨てたならこの倖せは きっとない生きてよかった 生きてゆく人生をつまずくことしか なかった道で泣いてさがした女の夢よ愛しあっても ままならず別れた人は 時の波忘れたくない 忘れないおもいでをこの目に見えるわ 私の春が過去に別れの この手を振れる遠いふ...
  • 夫婦

    夫婦

    惚れてよかった あなたに惚れて俺もよかった お前に逢えて今なら笑って 話せるけれど苦労しました お互いに涙の足跡 夫婦坂長い年月 危い道も無事にどうやら 切りぬけましたあなたが光れば わたしも光る星に映した 夢ひとつ思えばはるかな 夫婦坂あずけましたよ わたしの心世話をかけるよ これから先も女の幸福 男で決まる胸にしみ...