• 岡千秋

    「1197」
  • 不知火情話

    不知火情話

    不知火(しらぬい)ともしに 帰らんね死んでもよかよ 今でもあんた生まれ火の国 女は熱か心は他人(だれ)にも 許してないの「あんた 逢いたか…」乳房(むね)の芯まで 乳房(むね)の芯までああ…逢いたかね不知火(しらぬい)ゆらして 飲みたかね嘘でもよかよ もう一度あんた惚れてこぼした 女の涙球磨(かわ)川に流して あしたに...
  • 恋問海岸

    恋問海岸

    嘲笑(わら)われたって かまわない未練な愚かな 私です戻らぬ人だと わかっていますそれでもこの愛 命のかぎり恋問(こいとい)海岸 寄せ来る片瀬波ハマナス咲いて 誰を待つこの唇も この肌もあなたのものです これからもこの恋断ち切り 出直せたなら誰かと幸せ つかめるものを恋問(こいとい)海岸 散らばる貝殻は叶わぬ恋の 抜け...
  • 夕霧港

    夕霧港

    まるで吐息を つくように霧が流れる 夕港二人逢ったら その瞳(め)を見たら決めた別れが つらくなるオーエヤサーの 浜歌に未練降る降る あぁ… 夕霧港探さないでね もう二度と逢ってどうなる 恋じゃない切った黒髪 一筋さえも霧よお願い 隠してよオーエヤサーの 浜歌に白く消えゆく あぁ… 夕霧港誰も知らない この町で過去も名...
  • 明日を信じて

    明日を信じて

    雨が降る日も 星がある陰った日にも 月がある今は何にも 見えなくたって明日(あした)を信じて 踏み出せばやがて大きな 陽が昇る陽が昇るちょっとまわりを 見てごらん一人じゃないよ いつだって何も持たない 手のひらだって誰かとつなげば 温かいきっとも一度 出直せる出直せる荒れた大地の 隙間から花が芽を出し 揺れている何度嵐...
  • 紅椿

    紅椿

    あなたと出逢った 瞬間に女に生まれた 理由(わけ)を知ったの添えない運命(さだめ)の 二人でも愛が 愛が 止まらない許されなくても いいのです地獄に堕ちても いいのですたとえ罪な 恋だとしてももう離れない 離れられない咲いて哀しい 紅椿三途の川なら はぐれずに一緒に流れて ゆけるでしょうか他人目(ひとめ)を忍んで 逢う...
  • 女の情話

    女の情話

    そうよ 泣き濡れて 恋は終わったの抱いてと言えば 言えたのに馬鹿ね わたしって…結ばれなかった人生が 今はせつないあの時もっと素直になれば 明日(あした)も逢えたのに立てないくらい 酔いたいのまぶた閉じれば あなたが浮かぶ…女の情話そうよ いつまでも 指が憶えてるあなたの名前 窓に書く馬鹿ね わたしって…結ばれなかった...
  • 海峡流れ星

    海峡流れ星

    しぶき舞い散る 岬に立てば涙ひとすじ 夕陽に染まる汐風(かぜ)に混じって あなたの声が海の向こうに 聞こえてくるの逢いたくて 逢いたくて 星になり飛んで行きたい 海峡流れ星なにが二人を 引き裂いたのかそれをさだめと 言われてみても愛は負けない 世間とやらに命ささげた ひとりの男(ひと)よ手を伸ばし 手を伸ばし 星になり...
  • 三日月まいご

    三日月まいご

    夜明けの窓に 三日月この胸うずく 傷の形あなた見送り ひとりの部屋で肌のほてりを 抱きしめワイングラスを 飲み干すなぜ涙が出るのただ待つだけの 三日月まいご人目を避けて 逢う毎(たび)離れられない 傷が燃えるあなた別れを 切り出さないでガラス細工の はかない風にふるえる 恋ですなぜ出逢ったふたりさだめのような 三日月ま...
  • 日本一やで

    日本一やで

    惚れたハレたは 蚊帳の外いなけりゃ淋しい 女房どの右目つぶった それだけじゃ足りずにつぶった 左目で許す器量は 許す器量は 日本一やでこれが俺(おい)らの カミさんや口じゃ女にゃ かなわない相手が娘じゃ 尚更だだけどやっぱり 親子だな生意気放題 その後で見せる笑顔は 見せる笑顔は 日本一やでそうさ俺(おい)らの 宝物安...
  • ゆみちゃん音頭

    ゆみちゃん音頭

    ハァー木曽の清水で この身を清め流れ流れて 馬籠宿歴史刻んだ 宿場町 ソレたたく太鼓が 鳴り響くゆみちゃん音頭に 酔いしれていつのまにやら いつのまにやら 踊り出すハァー昔遊んだ 小牧の山は夢を語った 古戦場今日は私の 出番だと ソレ歌う心が 熱くなるゆみちゃん音頭に 酔いしれてこんな私に こんな私に 手拍子をハァー赤...
  • 紅の舟唄

    紅の舟唄

    この舟が酒田港に 着くまではわたしはあなたの こころ妻紅花とかした 恋化粧エンヤコラマカセの 舟唄に捨てて涙の 最上川最上川少しでも長く一緒に いたいから汽車には乗らずに 川下りあの山向うは 情け宿エンヤコラマカセの 舟唄にせめて濡らすな 別れ風別れ風泣きません泣けばあなたを つらくするみちのく短い 春の夜ふたりで刻ん...
  • 愛がほしい

    愛がほしい

    濡羽色(からすばいろ)の雨が降る 涙みたいに慣れすぎた時間を 流すよにいろんなことがありました だけど限界食卓(テーブル)に合鍵 置いておきました何がわるいのか 何が足りないたぶん…私… 愛がほしい想い出にするにはまだ 早すぎるけど薄紅(うすくれない)の夢が散る 音も立てずに愛されたぬくもり 消えてゆく大人の恋と決めて...
  • 恋は夢の中

    恋は夢の中

    帰る場所はもう ここだけなのあなたと二人の 今がすべて性懲(しょうこ)りもなく 愛されたいのあなたと触れあい 恋を知ったの答えなんかない 男と女甘い恋はみな 夢の中背中をなぞれば 深い傷が指先にふれる 愛のあとね何をさがして 何を求めたあなたの過去にも 吐息もらすの嘘がからみ合う 男と女ふれる恋はみな 夢の中いのち捧げ...
  • いごっそ海流

    いごっそ海流

    吠える黒潮 波間の向こう沖の漁場が 俺を呼ぶドンと漕ぎ出す この胸にあの娘(こ)の笑顔を 焼き付けてザンザザンザ ザンザと 波を蹴りゃしなる太竿(オッショイ)一本勝負魚群(なぶら)追っかけ 三陸港土佐は今ごろ よさこいか花の簪(かんざし) 面影がいごっそ魂 焚き付けるザンザザンザ ザンザと 釣りあげりゃ銀の鱗(うろこ)...
  • カサブランカホテル

    カサブランカホテル

    市場へ行く 人の群れ 石畳迷路のような 古いメディナよいつかあなたが くれた絵ハガキ異国の街に ひとりきりカサブランカホテル あなたの面影ゆらりゆらり 揺れている砂風(かぜ)が消してゆく白いモスク 染めてゆく 黄昏に迷子のような わたし 旅びとあの日あなたが 見てた景色をわたしも一緒に 見たかったカサブランカホテル あ...
  • 晩秋本線

    晩秋本線

    一人旅立つ 私を追って枯葉一枚 窓に散るあなたなら これがあなたなら愛の果てまで 行くものをもしも あの時 あの場所で離さないでと 言えたなら…海が 赤く 赤く 燃える晩秋本線 夕日が落ちるガイドブックを 両手に広げ涙ひと粒 隠しますくちびるを 噛んでこらえてもダメね ページがにじみますもしも あの時 あの場所で好きと...
  • 真道

    真道

    上に行くヤツ 出来るヤツどうせ一(はな)から 決まってる四の五の言い訳 するよりも捨て身で当たれよ 男なら己 信じて 歩いた先にたった一つの あぁ 道は出来る人が誇れる 生き様に今も昔も あるもんか男が覚悟を 決めたなら怯(ひる)むな止まるな 投げ出すな意地と涙で 伸ばした指がたった一つの あぁ 道に届く為せば良いのに...
  • 高山の女よ

    高山の女よ

    誰を恋(こ)うのか 夜風にゆれて祭り屋台に 灯がともる旅の仮寝の 深情け 深情けすがって泣いた いとしい女(ひと)よ飛騨路 高山 春おぼろ 春おぼろ燃えてどうなる どうにもならぬ明日(あす)の見えない ふたりには遠く聞こえる 笛の音(ね)が 笛の音が吐息のように 心にしみる飛騨路 高山 夜半(よわ)の月 夜半の月秋にも...
  • おんな一代 浅草の花

    おんな一代 浅草の花

    女を甘く 見るんじゃないと啖呵(たんか)を切った 裏で泣くやさしさだけじゃ 生きられなくて観音様に 手を合わすここは浅草 ここは浅草 おんな一代浮世小路の 情け花咲くも一代 散るも一代ただそれだけでございます時代の風が 風鈴ゆらし流行りに街も 変わるけど昔のままの 下町気質(かたぎ)仲見世通り 旦那衆ここは浅草 ここは...
  • 酔うほどに

    酔うほどに

    みぞれがそぼ降る こんな夜(よ)はひとりで飲む酒 泪(なみだ)こぼれるの酔うほどに寂しい ああ 酒よ消せない未練の 空(むな)しさが…胸に沁みるのよ目立たず知られず ひそやかに小さな倖せ それでよかったの酔うほどに逢いたい ああ 酒よ子供じゃないのと 拗(す)ねたのは…夢があったから何度もさよなら 言わせたのひとりで飲...