• 岡千秋

    「1197」
  • 時の舟

    時の舟

    おんなという名の あぶない舟をひとりで操り ここまで来たわ私いくつに なったのか生きる素顔の 愛しさよ浮世ゆらゆら 右に左に人情片手の 時の舟世帯をもつかと 口説いた男(ひと)もいまから思えば いいひとでしたあれは三十路の なかのころ川の早瀬も 知らないで浮世ゆらゆら 夢を追いかけ流れにまかせた 時の舟落葉をちらした ...
  • 弾きがたり

    弾きがたり

    あなたは生活のためだよと深夜のクラブで弾きがたりあんなに気負って つくってた流行歌もすっかり ごぶさたね近頃あなたは変わったわ女のこころで わかるのよあなたお願い あなたお願い酔ってわたしを 抱かないでギターの調子もなげやりに今夜も酔って うたってるわたしの愛した あの頃のあなたはきれいな 目をしてた世の中うらんで ど...
  • 男 度胸舟

    男 度胸舟

    怒濤をかぶってヨー 度胸を磨く口じゃ言えないヨ 漁師の奥義おまえもいっぱし わかってきたと…そんな言葉が 聞こえるようなおやじの おやじの髭面に朝日が映えるぜ 千里の海だかもめ騒いでヨー 刺し網捲けば銀の鱗がヨ 漁場の華だ言葉も荒らぶる 戦場だけど…網を起こして 飯食う時はおやじの おやじの丸い背がいとしくなるんだ 親...
  • おんな山唄

    おんな山唄

    楔(くさび)ぶちこみ 石を切る音の谺(こだま)で 山が泣く好きな男を 追いかけていつか二度目の 春になる ヨー ヨー情けがたよりの 山暮し ヤレ キコン キコン親のこころが 今になりしみる綴(つづれ)の 単衣帯(ひとえおび)逢いに行(ゆ)きたや 鳥になりごぶさたばかりの おかあちゃん ヨー ヨー廻しておいでか 糸車 ヤ...
  • 北海おんな節

    北海おんな節

    ヒュルヒュルヒュル ヒュルヒュルルーヒュルヒュルヒュル ヒュルヒュルルー ヤンサノエーつぎはぎだらけの 女の胸にあんたが錨を ぶちこんだ腰掛けみたいな つもりでいたがいつか根付いた 流れの昆布潮鳴り ヒュルヒュル ヤンサノエー死ぬまでこの町 離れない後(うしろ)も向かずに 一番船に乗りこむあんたは 愛想なしそういうとこ...
  • おでん人生

    おでん人生

    おでんみたいな あんたと私浮気なちくわ 頑固ながんもお鍋の底でも 寄り添って浮いて沈んで また浮いていい事も 悪い事もほどよく煮ればわがや自慢の 愛になる 愛になる辛い時には 泣いたらいいよ我慢をせずに 泣いたらいいよお鍋の底なら 思い切り遠慮しないで ねえあんた夢ひとつ ここにあれば涙の味も明日を生きぬく 糧になる ...
  • 島の恋唄

    島の恋唄

    エンヤホー エンヤホー晴れた海には トビウオ飛んで入り江の春に 虹が立つヨ島の暮らしは エエ 男をためす波が鍛えて かわいがる 浜じゃ 女がヨエンヤホー エンヤホー ほら胸こがすあいつのフェリーが 水平線から都会の便り 積んで来るヨかわいあの娘も エエ 素顔に戻り浴衣姿の 里帰り 年に一度のヨエンヤホー エンヤホー ほ...
  • 女の劇場

    女の劇場

    激しい二十才の 恋があり四十に忍んだ 恋もある心に炎を 炎をああ 抱きしめてわたしが歩いた この道は花と嵐の だきあわせ尽くしてささげた 恋があり世間に背いた 恋もある火の粉を浴びても 浴びてもああ 通したい愛する男の ためならばたとえ地獄の 果てまでも涙で身を引く 恋があり泣かせて奪った 恋もある真っ赤な炎が 炎があ...
  • 吟遊百景

    吟遊百景

    墨を流した絵のような景色の中に佇めば銀の屏風と詠われし雪を抱いた山々よ春は菜の花 桃の花少し遅れて 桜花筑摩の杜の夕まぐれ旅情いや増す刻の鐘烏の城と 人が言う古城に立てば偲ばるる昔人の夢のあと空に広がる天の川月を浮かべて 流れゆく瀬音のどけき 女鳥羽川遠き山間 駆け下りて明日は届くか日本海昔大名 今大手歴史を語る 蔵の...
  • 男節

    男節

    表通りを はじかれ追われ流転七坂 九十九坂しょせん器用にゃ 生きられないと屋台安酒 呷(あお)っても肩で涕(な)いてる エーエー男節酒で寒さは 凌(しの)げるけれど酒じゃ騙せぬ 傷があるこんな俺でも つくしてくれたおんなごころの いじらしさ胸でわびてる エーエー男節人の情の 真実(まごころ)桜とんと見ないと 風が吹く憂...
  • 人生太鼓

    人生太鼓

    意地を右手に 左にゃ根性力みなぎる ばちさばき浮世やぐらで あばれ打ちソーレドドント ドントコイ燃えて轟く 人生太鼓男度胸の血が躍る(セリフ)「俺の叩く太鼓は九州男の心たい聞けば命も燃えるじゃろ」富士の山より でっかい命惚れたお前に 預けたぜ情けやぐらで 夫婦打ちソーレドドント ドントコイ意気が溶け合う 人生太鼓空はあ...
  • よりそい坂

    よりそい坂

    一に一たしゃ 二になるけれど思いどおりに ならないわ 夢勘定情けひとすじ 涙が重いしんどいねって 言いながら顔を見合せ 越えてゆくよりそい坂は ふたり坂道をひとすじ 違っただけで憂き世からくり 浮き沈み かわり独楽夜が明けなきゃ 見えない明日むずかしいねって 言いながら肩の糸くず そっととるよりそい坂は 情け坂泣いた昔...
  • 男節

    男節

    エーエー エエエエー今も昔も 昔も今も 大事なものは意地と情けと 男と女それじゃ皆様 チャカポコチャカと叩く酒樽(さかだる) 吹く横笛に調子合わせて ご披露(ひろう)します聞いて下さい 男節オーイサ オーイサ オーイサネーエーエー エエエエー姿絵になる 絵になる姿 男の衣裳法被鉢巻(はっぴはちま)き 心がしまるそれじゃ...
  • 河内おとこ節

    河内おとこ節

    河内(かわち)生れの 風来坊は生きのいいのが 売りもんやサテモ皆様 おそまつながらここが男の 舞台なら太鼓叩いて 見栄を切る喧嘩囃子の 河内ぶし一に度胸や 二に人情や後は腕づく 腕しだいサテモ皆様 悪声ながら坂田三吉 物語り派手な掛声 頂いて唸る男の 河内ぶし馬鹿な息子と 叱ってくれる俺(わい)の親父は 生駒山サテモ皆...
  • 以心伝心

    以心伝心

    波乱万丈 大正ロマン誠と愛を 貫いた男で一代 風雪こえて肌に刻んだ 人生模様以心伝心 俺には読めるうしろ姿の 親父を追っていつしか来てた 五十路坂お袋ソングは 数々あるが親父たたえる 縁の唄は俺が唄うぜ 声たからかに「牛の歩みは いや遅くとも尊きものは その歩み」口には出さぬが 親父の背に書いてあるんだ 辛抱しろと以心...
  • 川千鳥

    川千鳥

    爪弾きの 爪の先まで あなたの彩に染めて淡黄の 袋帯同じ思いか 雲間の月も柳がくれの 三味線の音にやせてやつれて 誰を待つ 夢でいい 夢でいから 逢わせてほしい切火盛塩 縁起かつぎ島田くずして 化粧をおとしあなたひとりに お座敷じゃ見せぬ素顔を 見せてやる あてもなく あてもないまま 観音さまに廻り道して 願かけに...
  • 上州子守唄

    上州子守唄

    赤城下ろしの 空っ風やくざ渡世にゃ なお沁みる罪も恨みも ない人を斬らにゃ通れぬ 上州路男 板割 浅太郎泣かぬつもりが 男泣き(セリフ)親分 叔父貴、三室の勘助は私が斬って参りやした。叔父貴殺しのその罪と忘れ形見の勘坊は私が生涯 背中に背負って参りやす。泣くんじゃあねぇ 勘坊。男が泣いちゃあ 赤城の鴉に笑われらぁ…。同...
  • 夫婦坂道

    夫婦坂道

    俺でいいかと お前に訊けば貴方だからと うなずいた狭い部屋でも 大きく見えた何もなかった 振り出しは夫婦坂道 夫婦坂道腕を引いたり 引かれたり思い通りに ならない夜は荒れて何度も 八つ当り工面上手な お前の酒に酔ってやる気が また起きた夫婦坂道 夫婦坂道共に泣いたり 笑ったり夢に賭けてる 貴方に賭けて従いてここまで 来...
  • 生々流転それでいい

    生々流転それでいい

    惚れてたなんて 云わないで花まで買って 照れるじゃないのお店たたんだ 私より見送る人の 涙がつらい出逢っては 別れゆく行き交う船だよ 人生は生々流転 それでいい笑顔で またいつかまたいつか 逢おうね強気が売りの 女でも強がりだけじゃ 暮らせなかった人の心の ぬくもりが小さな店を 支えてくれた最後までありがとうお客という...
  • 播磨灘

    播磨灘

    暴風雨(あらし)あがった 日生(ひなせ)の漁港(みなと)先を競って 漁船(ふね)をだす 漁船(ふね)をだす幼なじみの あいつにゃ負けぬカキの筏(いかだ)の あいだを縫って目指す漁場は 播磨灘眼には見えない 鰆(さわら)の大群(むれ)を波のうねりと 勘(かん)で読む 勘(かん)で読む当たりはずれは つきものだけどおれも名...