• 北原じゅん

    「99」
  • おんな大漁船

    おんな大漁船

    度胸七分で 器量が三分負けずぎらいの 浜育ちカモメが騒ぐ それ曳け網を赤い合羽は 漁場の花さ負けてたまるかヨ おんな大漁船おれが好きかと あんたが言った喧嘩するよな 目をしてさ色恋なしよ 疾風(はやて)の海は隙をみせたら 地獄の底だここは勝負のヨ おんな大漁船おどる飛沫(しぶき)に 獲物が跳ねる波にヤン衆の 声が飛ぶ潮...
  • 星空のあいつ

    星空のあいつ

    星空のあいつは気のいいあいつ大きな夢をもっていた男心のひとすじに生きてゆこうといいながら星をみつめて泣いていた星空のあいつはすてきなあいつきらめく夢をもっていた流れる星ならつかまえてキラリかがやくペンダントおれは作るといったやつ星空のあいつはやさしいあいついつもギターをひいていた教えてくれたよこのぼくに胸がちょっぴり痛...
  • ゆさぶりどっこの唄

    ゆさぶりどっこの唄

    ゆくと決めたら ゆくのが男そこが闇でも 嵐でも意地のないひと 女にゃもてぬもてて泣かせて みたければここで一番死んだつもりで やってみろひとに踏まれて 苦しむうちに味がでるのさ 人間のグチも涙も 他人(ひと)にはみせずぽんとおさめた 腹の底ひと目あの娘にみせてやりたい ときもある明日があるのは 暦のなかさあてにしてると...
  • 北海育ち

    北海育ち

    男まさりは 北海育ちなんでヤン衆に ひけとろか乗せて行きなよ にしん船 ヨイショ惚れた同士が 千島の海で網をひくのも ヨイショ おつなもの陸(おか)でくよくよして待つよりもそばで苦労がしてみたい乗せて行きなよ にしん船 ヨイショ波がかぶろと吹雪(ふぶ)ことままよ熱い情けで ヨイショ 受けとめる北の夜空の あの星みれば銀...
  • 兄弟仁義

    兄弟仁義

    親の血をひく 兄弟よりもかたいちぎりの 義兄弟こんな小さな 盃だけど男いのちを かけてのむ義理だ恩だと 並べてみたら恋の出てくる すきがないあとはたのむと かけ出す露路にふるはあの娘の なみだ雨俺の目をみろ 何んにもゆうな男同志の 腹のうちひとりぐらいは こういう馬鹿が居なきゃ世間の 目はさめぬ...
  • 落日

    落日

    うらぶれこの身に 吹く風悲し金もなくした 恋もなくした明日の行方が わからないからままよ死のうと 思ったまでよ生まれた時から この世のつらさ知っているよで なにも知らずに落ちてはじめて 痛さを知って恋にすがって また傷ついたそれでもこの身を つつんでくれる赤い夕陽に 胸をあたためどうせ死ぬなら 死ぬ気で生きて生きて見せ...
  • じょっぱり

    じょっぱり

    ねぶた祭りが 終わってヨー林檎が真っ紅に 色づきゃヨーもうすぐ凍(しば)れる 冬が来るアーアア風が吹く 風が吹く山背の風がヨーあぁ東京のあの人に逢いたくて・・・逢いたくて・・・帰るその日を指折り数えりゃ恋しくて・・・恋しくて・・・じょっぱり涙に泣けるんだヨ 泣けるんだヨー雪がしんしん 積もってヨー夜汽車の警笛(きてき)...
  • 涙になりたい

    涙になりたい

    涙になりたい ぼく涙になって君のその頬を 濡らしたい誰よりも 君が好きだからぼくのこの愛を涙でやさしく 君に伝えたい涙のきらいな 君哀しいときも君はくちびるを かむばかりいじらしい 君の指先にそっと手を重ね小さなしあわせ 君と探したい涙になりたい ぼく涙になって君の心にも 流れたい男だよ 君をかばいつつ強く生きるため涙...
  • ふるさとは宗谷の果てに

    ふるさとは宗谷の果てに

    ふるさとは 宗谷の果てに遠くかすんで 今も尚ちいちゃな頃の 思い出のせてかすかに浮かぶ 樺太の島生れ故郷のない 淋しさを星よお前は 解っておくれ二度と帰れぬ ふるさとは今も変らず いるだろか雪の山々 氷の川よ鈴をならして 橇(そり)は走る北は遠く 北緯五十度もう帰れない ふるさとよもう帰れない ふるさとよもう帰れない ...
  • 命くれない

    命くれない

    生まれる前から 結ばれていたそんな気がする 紅(べに)の糸だから死ぬまで ふたりは一緒「あなた」「おまえ」 夫婦みち命くれない 命くれない ふたりづれ人目をしのんで 隠れて泣いたそんな日もある 傷もある苦労積荷の 木の葉の舟で「あなた」「おまえ」 あぶな川命くれない 命くれない ふたりづれなんにもいらない あなたがいれ...
  • 心配している私です

    心配している私です

    一人でボトルを 半分もあけちゃ身体に よくないわいつもは飲めない 人なのに悲しいことが あったのね女は泣けば すむけれど泣けないあなたが かわいそう今では私も この店のママの代りを してるけど酔ってるお客に からまれてかくれて泣いた 時もあるはた目じゃ楽に みえたって誰でもあるのよ やなことは一昨夜(おととい)はいった...
  • 傷だらけの恋

    傷だらけの恋

    愛の歓び 花にしてかぎりを知らぬ 夢を編み天のおくつき しあわせ求めて 舞い上がり燃える燃える 燃えながら落ちる落ちる 涯もなくあぁ おどろおどろな 傷だらけの恋おんなの涙 あなただけしあわせ まどろみ 抱きしめて永遠にこわさぬ 誓いを交わした 人なのに変わる変わる 色あせて朽ちる朽ちる とめどなくあぁ 夢も虚しい 傷...
  • 君と歌ったアベ・マリア

    君と歌ったアベ・マリア

    風は北風 さいはての道はひとすじ ただ遠くさみしさこらえ ひとりゆくぼくの心の 思い出は君と歌った アベ・マリア遠いともしび たどりあてとびらたたいた このチャペルステンドグラス そのかげでだれが清らに 歌うのか君と歌った アベ・マリアポプラ並木は はてしなく星につづいて ひとすじにあふれる涙 このほほに胸に切なく ひ...
  • 嫁ぐ日まで

    嫁ぐ日まで

    できることなら 苦労をせずに育っておくれすくすくともみじのような 手をにぎり吹雪の海峡 越えました母は この身をけずってもあゝ おまえわたしの 命です風も冷たい 世間の隅で情けに溺れ すがりたい小さな寝顔 見るたびに迷い心も さめました女ざかりを 捨ててでもあゝ せめておまえに幸せを花が散っても また咲くように切れども...
  • 別れの詩

    別れの詩

    あなたは私に教えてくれたそんなものだよ人生なんて好きよ好きよとても好きでしたいつか逢える何処かで又逢えるわそんな気もして 私一人で唄う別れの詩です夜汽車に揺られて訪ねた街で歩き疲れて氷雨に濡れて寒い寒い岬 海鳥が北へ帰る群れにはぐれて一羽どこか似ている あなた一人で唄う別れの詩ですあなたは私に教えてくれた恋の苦しさ泣く...
  • 哀愁岬

    さよなら さよなら さようならあなたは私の心を知らず海は黙って夕陽を濡らすけど…あんなに愛した人だから運命をつなげばまた逢える私の裏切り許してと涙が散るきっともいちど きっともいちど哀愁岬さよなら さよなら さようならあなたを信じて私は行くの夢を結んだ夜が燃えて見える…あんなに愛した人だからこの波たどればまた逢える潮風...
  • いのちの岬

    いのちが重い あなたが欲しい未練なこころを 引きずってここはさいはて 北岬凍てつくような 夢をみてくちびる噛めば 血がにじむ波よ私を私を 責めないで恨めば燃える 契りが憎い死ぬほどあなたを 好きでした愛を刻んだ この指輪波に沈めて しまいたい涙を風が 吹きさらす泣けば明日が明日が 遠くなるひとりが寒い あかりが欲しいど...
  • 海峡わかれ雨

    別れ 別れ 別れ手紙を 握りしめひと汽車遅れ 追って来た港駅は 雨 雨 雨が降る指が寒い 肩が寒い 心が寒いどこにいるのよ あゝ…恋しい 恋しいあなた泣いて 泣いて 泣いて手を振る 海峡にあなたの船は 消えてゆく呼んでみても 雨 雨 雨が消す死ねとばかり ほほを叩く 冷たいしぶき抱いてください あゝ…もいちど もいちど...
  • 命くれない

    命くれない

    生まれる前から 結ばれていたそんな気がする 紅の糸だから死ぬまで ふたりは一緒「あなた」「おまえ」 夫婦(みょうと)みち命くれない 命くれない ふたりづれ人目をしのんで 隠れて泣いたそんな日もある 傷もある苦労積荷の 木の葉の舟で「あなた」「おまえ」 あぶな川命くれない 命くれない ふたりづれなんにもいらない あなたが...
  • 憂き世川

    憂き世川

    昨日や今日の 夫婦じゃないわどこの誰より あんたがわかるひとりじゃ重い 重い荷物なら一緒にわたしも 背負わせて惚れた男は あんた!あんたと流れる 憂き世川身体ひとつで 始まったから怖いものなど 今更ないわお酒に逃げて 逃げてどうなるの世渡り下手でも いいじゃない生きてゆこうよ あんた!あんたと流れる 憂き世川雨風しのぎ...