• なかにし礼

    「636」
  • 石狩挽歌

    石狩挽歌

    海猫(ごめ)が鳴くからニシンが来ると赤い筒袖(つっぽ)のやん衆がさわぐ雪に埋もれた番屋の隅でわたしゃ夜通し飯を炊くあれからニシンはどこへ行ったやら破れた網は問い刺し網か今じゃ浜辺でオンボロロオンボロボロロー沖を通るは笠戸丸わたしゃ涙でにしん曇りの空を見る燃えろ篝火朝里の浜に海は銀色ニシンの色よソーラン節に頬そめながらわ...
  • エメラルドの伝説

    エメラルドの伝説

    湖に 君は身をなげた花のしずくが 落ちるように湖は 色を変えたのさ君の瞳の エメラルド遠い日の 君の幻を追いかけても むなしい会いたい 君に会いたいみどりの瞳に僕は魅せられた湖に僕はひざまづきみどりの水に 口づける遠い日の 君の幻を追いかけても むなしい会いたい 君に会いたいみどりの瞳に僕は魅せられた湖に僕はひざまづき...
  • 純愛

    純愛

    どうして わかってくれないの僕らは若いけど 愛に生きている僕らを わかってほしいのさ海よりも 深く愛し合っている腕に傷をつけて 腕と腕を重ね若い愛の血潮 わかち合った恋は誰も 誰も こわせはしない花よりきれいな 君だから清らかなままで 結ばれたい腕に傷をつけて 腕と腕を重ね若い愛の血潮 わかち合った恋は誰も 誰も こわ...
  • あなたならどうする

    あなたならどうする

    嫌われてしまったの 愛する人に捨てられてしまったの 紙クズみたいに私のどこがいけないの それともあの人が変わったの残されてしまったの 雨降る町に悲しみの眼の中を あの人が逃げるあなたならどうする あなたならどうする泣くの歩くの 死んじゃうのあなたなら あなたなら私のどこがいけないの それとも誰かを愛したの忘れられてしま...
  • 昨日のおんな

    昨日のおんな

    あなたの中から 私を消してしまいましょう鏡のくもりを 拭き消すように可愛い小鳥を 静かな朝に放しましょう悲しい泪を かわかすように一つのリンゴを 分けあって小さな毛布に くるまった昨日という日は 昨日という日は もう来ない他人同士に なったのはあなたなの 私なの私の中から あなたを消してしまいましょうランプのともしび ...
  • 喧嘩のあとでくちづけを

    喧嘩のあとでくちづけを

    あなたにしてみれば ささいなことでも私にしてみれば きがかりなの私は弱い弱いおんなと 知ったからあなたのそばでなけりゃ生きてはゆけないの嘘でもいいから こっちを向いて喧嘩のあとで くちづけをあなたにしてみれば ささいなことでも私にしてみれば きがかりなの鏡の上にそっと あなたの悪口をルージュで書いたあとは涙を見せないわ...
  • 幸せだったわありがとう

    幸せだったわありがとう

    女一人残して あなた旅に出るけど私うらまないのよ幸せだったわ ありがとうほんの三月ばかりの 恋は季節みたいにみじかかったけれども幸せだったわ ありがとう涙をみせないで さよならを いってるくらいあなたは 私には とってもやさしい人だった私ウブじゃないけど こんな恋は初めて夢をみてるみたいに幸せだったわ ありがとうあなた...
  • 今からでも遅くない

    今からでも遅くない

    俺とお前に 残ったものは これひとつ塗のはげたポンコツ車 これにのって 旅立とう俺達二人は 都会暮らしなんかにゃどうやら むいていないらしい愛もだめになっちゃう生まれてくる 子供のために幸福になれる 準備をしよう今からでも間に合う何処か遠い 片田舎で 静かに暮らそう歩きなれた アパートの前の この道も朝に登る太陽でさえ...
  • 薄氷

    薄氷

    愛がないまま 抱かれたあとは桜の花が 青く見えます心の底に薄氷 はっているような寒さですあなたを 愛しているかぎり仲々 死ねないものですねなんとなく生きて なんとなく結婚してなんとなく子供をつくってみるのですそして生まれた子供にはあなたの名前を つけるのです愛がないまま 抱かれたあとは鏡を見ても 何も見えない心の底の薄...
  • 愛ある人生

    愛ある人生

    人を愛することの本当の意味をお前は若いからまだ分からないだろう。人を傷つけそして傷ついた時に初めて気付くのさ愛のかけがえのなさに。愛はつづけること迷わずに ひたむきにー。愛ある人生をお前に贈りたい愛ある人生をお前とともに生きよう。ぼくの胸にはもはやお前しかいないお前の心にもぼくしかいないはずさ。命終わる時まで片時もそば...
  • 星空のハネムーン

    星空のハネムーン

    愛する人よ 星空よ輝く瞳で みつめておくれ。今宵はハネムーン二人はひとつ波がよせ返す渚で。心がほしい身体がほしい君のなにもかもぼくのもの。愛する人よ 星空よ優しい口づけ あたえておくれ。(セリフ)さあ、もっと心を開いてぼくに身をまかせるんだ。君がまだ見たこともない素晴らしい世界へ連れていってあげるから。愛する人よ 可愛...
  • 石狩挽歌

    石狩挽歌

    海猫(ごめ)が鳴くから ニシンが来ると赤い筒袖(つっぽ)の ヤン衆がさわぐ雪に埋もれた 番屋(ばんや)の隅でわたしゃ夜通し 飯を炊くあれからニシンは どこへ行ったやら破れた網は 問い刺し網か今じゃ 浜辺でオンボロロオンボロボロロー沖を通るは 笠戸丸(かさとまる)わたしゃ涙で にしん曇りの 空を見る燃えろ篝火(かがりび)...
  • いつか男は去って行く

    いつか男は去って行く

    あなたのくちづけには 嘘がある他の女の人の匂いがするの水がもれるように木の葉が散るようにあなたはわたしの手から離れてゆくのね男はいずれ去って行く去った男は帰らないあなたのさよならには 嘘がある他の女の人の影がよりそうの糸が切れるように扉がしまるようにあなたはわたしの胸から逃げて行くのね男はいずれ去って行く去った男は帰ら...
  • 五月のバラ

    五月のバラ

    忘れないで 忘れないで時は流れ過ぎてもむせび泣いて むせび泣いて別れる君と僕のために五月 この僕が帰るまばゆい 五月紅いバラは 思い出のバラは君の庭に咲くだろうか水を花びらにあげて涙の水を恋のバラに 悲しみのバラに君の白い ほほ寄せて忘れないで 忘れないで時は流れ過ぎてもむせび泣いて むせび泣いて別れる君と僕のために五...
  • 雨が止んだら

    雨が止んだら

    雨がやんだらお別れなのね二人の思い出水に流して二度と開けない南の窓にブルーのカーテン引きましょう濡れたコートで濡れた身体であなたはあなたは誰に誰に逢いに行くのかしら雨が止んだらあたしはひとりドアにもたれて泪にむせぶ雨が止んだら出て行くあなた冷たい靴音耳に残してあなたがつくったインクのしみを花瓶をずらして隠しましょう濡れ...
  • 夜が明けて

    夜が明けて

    夜が明けて手さぐりをしてみたぬけがらのとなりにはだれもいない目をあけて部屋のなか見てみた陽がもれる窓のそばだれもいない夢を追いかけてひとりふかすたばこのけむり白い白い夜が明けて夢を見たまくらにあの人のかみの毛がひとつのこるテーブルの灰皿の中にはあの人のすいがらがひとつのこるあせたくちびるをかんでひいたルージュの赤がつら...
  • ホテル

    ホテル

    手紙を書いたら叱られる電話でかけてもいけないホテルで逢ってホテルで別れる小さな恋の 幸せごめんなさいね 私見ちゃったのあなたの黒い電話帳私の家の電話番号が男名前で 書いてある奪えるものなら奪いたいあなたそのために誰か泣かしてもいい奪えるものなら奪いたいあなた一度でいいから あなたの肌に爪をたてたいあなたは私の宝もの私は...
  • 今はもう明日

    今はもう明日

    もしもあの時 あやまっていたらあなたは許して くれただろうかもしもあの時 涙見せたらあなたと別れずに すんだだろうかなんてお前は バカなおんなと泣いて悔んで 自分を責めてみても人生の時計は 逆まわしがきかないほらごらん あきらめな 今はもう明日これが神様の 筋書きなんだろうもしも もしもと言ったら きりがないもしもあの...
  • 悲しい芝居

    悲しい芝居

    君がいて 僕がいて抱きしめあえればそれでいいほほよせて 肌よせてあたためあえたらそれでいい生きてることは 悲しい芝居愛することは 楽屋裏軽蔑を しないでねこんなちっぽけな 僕だけど強がりの 化粧とり鏡をのぞけば君がいるよそゆきの 服をぬぎふっと振り返れば君がいる生きてることは 悲しい芝居愛することは 楽屋裏幻滅を しな...
  • 今度生まれてくる時も

    今度生まれてくる時も

    声かぎり 歌いつづけ生命かけ 愛してきた幸せだった わたしの人生季節季節が 美しかった今度この世にわたしが生れてくる時もあなたとめぐり逢って愛するでしょう目の前に あなたがいて唇に 歌があった苦しい時も 悲しい時もあなたと歌が ささえてくれた今度この世にわたしが生れてくる時もあなたと歌をきっと愛するでしょう今度この世に...