• なかにし礼

    「636」
  • 冬の駅

    冬の駅

    白い朝もや流れる冬の淋しい停車場あなたの無事を祈ってこれが運命(さだめ)と つぶやくの恋はすべてを奪って汽車の窓から手をふる愛はすべてを与えて涙こらえて 立っているひと駅だけでも あなたと一緒に朝の汽車に乗っていきたかったわたし恨んでいないわ悲しい思いしたけど恋に苦しむ女はきっときれいになるという夜の海辺に座って遠くま...
  • 男は黙って勝負する

    男は黙って勝負する

    男じゃないか…元気を出しなよ 酒でも飲んで何があったか 知らないけれど柳にとびつく 蛙でさえも胸に悩みは あるんだよ男は黙って 勝負する男じゃないか…笑ってみせなよ 涙をふいてなんでくよくよ 背中を曲げる蹴られてころがる だるまでさえもくやしい思いは あるんだよ男は黙って 起き上がる男じゃないか…やってみせなよ 夢みた...
  • 石狩挽歌

    石狩挽歌

    海猫(ごめ)が鳴くから ニシンが来ると赤い筒袖(つっぽ)の やん衆がさわぐ雪に埋(う)もれた 番屋(ばんや)の隅(すみ)でわたしゃ夜通し 飯を炊くあれからニシンは どこへ行ったやら破れた網は 問(と)い刺(さ)し網(あみ)か今じゃ浜辺で オンボロロオンボロボロロー沖を通るは 笠戸丸(かさとまる)わたしゃ涙で ニシン曇り...
  • うかれ節

    うかれ節

    人の心は紙風船 破れやすくて カラッポで空気入れられ ふくらんでお尻たたかれ右左ふわふわ ふわふわ ふわふわ ふわふわ うかれ節男と女の関係は あまり深くは考えない上になったり下になったり 白い蝶々の つがい飛びふわふわ ふわふわ ふわふわ ふわふわ うかれ節先のことやら 明日のこと あまり深くは考えないつもるつもりが...
  • 酒場であばよ

    酒場であばよ

    俺と別れた その足でほかの男に 逢いに行く筋は決まってたるくせに心が痛いと 言う女ちょっとネクタイ なおしてくれるそんな仕草が にくらしいあばよ酒場 恋は嘘つきねあばよ酒場 他人の女はよく見える乾杯だ またふられて乾杯だそれじゃお元気で乾杯だ また一人で乾杯だ酒場であばよかぞえきれない 恋をしてみんなおぼえちゃいられな...
  • 人生航路

    人生航路

    風が舞う 雲が飛ぶ荒波を 波止場にのがれ女の胸に 顔を埋めたまま哀しく甘く ながす男の涙お前は港 俺は旅ゆく船心いやして そして旅立つ人生航路 愛という名の帆を立てて生きてゆこうじゃないか嵐との 闘いに傷ついた 男を抱いて女が唄う 大人の子守歌男は眠る しばし痛みを忘れお前は光 俺は旅ゆく船夜の波間を 照らしておくれ人...
  • 恋の奴隷

    恋の奴隷

    あなたと逢った その日から恋の奴隷に なりましたあなたの膝に からみつく子犬のようにだからいつも そばにおいてね邪魔しないから悪い時は どうぞぶってねあなた好みの あなた好みの女になりたいあなたを知った その日から恋の奴隷に なりました右と言われりゃ 右むいてとても幸せ影のように ついてゆくわ気にしないでね好きな時に ...
  • 石狩挽歌

    石狩挽歌

    海猫(ごめ)が鳴くから ニシンが来ると赤い筒袖(つっぽ)の やん衆がさわぐ雪に埋もれた 番屋の隅でわたしゃ夜通し 飯を炊くあれからニシンはどこへ行ったやら破れた網は 問い刺し網か今じゃ浜辺で オンボロロオンボロボーロロー沖を通るは 笠戸丸わたしゃ涙でニシン曇りの 空を見る燃えろ篝火(かがりび) 朝里の浜に海は銀色 ニシ...
  • 愛の終止符

    愛の終止符

    愛のナイフで 傷つけあったおさない二人だったから別れる時が 来た今も優しい言葉が 言えないの部屋の片隅で はなればなれにふたつの荷物を こしらえて視線をそらせる 私たち別々に部屋を出て 別れてゆくけどどうぞ最後の言葉は あなたが言って嘘のつけない 純粋すぎるおさない二人だったから昨晩(ゆうべ)一晩 眠れずに話もしないで...
  • バラ色の月

    バラ色の月

    何かが呼んでる 君の何かが何かが答える 僕の何かがバラ色の 月の夜だから濡れた花びらみたいな君にくちづけを何かがふるえる 君の何かが何かが感じる 僕の何かがバラ色の 月の夜だから何かが求める 君の何かが何かが与える 僕の何かがバラ色の 月の夜だから恋は何んにも見えない愛がまぶしくて何かが燃えてる 君の何かが何かが焼けつ...
  • 光ある世界

    光ある世界

    星なき夜に あなたと逢って星なき道に 愛の光がステンド・グラスの 輝きにも似たあなたの 微笑みみつめながら ぼくは歩く星なき夜に 船は乱れ星なき道に 人は迷うあなたの愛をぼくは はなしはしないステンド・グラスの 輝きにも似たあなたの瞳にささえられて ぼくは生きる野バラの色も あなたが作る朝の光も あなたが運ぶあなたの愛...
  • 忘れかけた子守唄

    忘れかけた子守唄

    兵士の群れが 朝露に消える母の姿が 小さく残るジョニイの手紙が 五月にとどく元気でいるよ もうすぐ帰ると母は毎日 稽古をしてるよ忘れかけた 子守唄を戦さを終えて 兵士が帰るだけどジョニイの 姿が見えぬ兵士の群れが 街角に消える母の姿が 小さく残る母は涙で むなしく唄うよ思い出した 子守唄を...
  • 金の星

    金の星

    そうよ私は 今夜からあなたの腕に 甘えて子猫のようにふるえて 泣いてもいいのね悲しい昨日のこと 不安な明日のことなにもかも忘れさせてくれるあなたは私の胸に輝く 金の星なの何もなくても うれしいのあなたのそばに 眠れる積木のように小さな お部屋があるなら本当に愛すること 愛して生きることの歓びを分かちあってくれるあなたは...
  • ダイアリー

    ダイアリー

    真夜中に ランプの 灯りの下で書きつづるのは ダイアリーあなたに告げたい 想い私を いつでもじっと みつめる人がいる背中が あたたかいそばに いないときもあなたの愛がある 一人じゃない私シャム猫のリーリャが しきりに耳をなでつけてます ダイアリー明日は朝から 雨ねあなたの名前を呼ぶと 心が熱くなる涙が わいてくるなぜか...
  • ごめんなさい

    ごめんなさい

    ごめんなさい 今度だけは許してねあなたの怒る 顔が見たかったのもうしないわ こんな悪い遊びはあなたのつらい気持ちを 知ったから抱きしめてほしいあたたかな腕で過ちの中で たしかめて来たのあなただけを愛すとあなたのほかには誰も愛せないわごめんなさい どうぞぶって あなたの手でおしおきなんか されてみたかったのうれしいの 頬...
  • 知りすぎたのね

    知りすぎたのね

    知りすぎたのね あまりに私を知りすぎたのね 私のすべて恋は終りね 秘密がないから話す言葉も うつろにひびく嫌われたくなくて 嫌われたくなくてみんなあなたに あげたバカな私捨てられたのね 私はあなたにいいのよいいの 作り涙なんか知りすぎたのね あまりに私を知りすぎたのね 私のすべて花から花へ 蝶々が舞うようにほかの誰かを...
  • 別れのスナック

    別れのスナック

    さよならは 悲しいけどもっとつづけたら 傷が深くなる水割りを のみほしたら酔ったふりをして お別れしましょうあなたは 気にしないで私の明日からの ことは入口の ドアがあくとちょっと風が吹く 別れのスナック別れても あなたとならきっと素晴らしい 友達になれる気まずさが とれた頃に逢ってなんとなく お話しましょう今夜は 名...
  • 待ちわびて

    待ちわびて

    待ちわびても 待ちわびてもあなたは帰ってこないふるいピアノ 指でなでて恋をなつかしむどうにもならないのあなたの心は あまりに遠いの窓をあけて 空を見ても星も見えないわ待ちわびても 待ちわびてもあなたは帰ってこないあなたの手が ふれた肩をじっとだきしめるどうにもならないのたのしい昔が 今ではつらいのほかのひとじゃ みたさ...
  • 知りすぎたのね

    知りすぎたのね

    知りすぎたのね あまりに私を知りすぎたのね 私のすべて恋は終わりね 秘密がないから話す言葉も うつろにひびく嫌われたくなくて 嫌われたくなくてみんなあなたに あげたバカな私捨てられたのね 私はあなたにいいのよいいの 作り涙なんか知りすぎたのね あまりに私を知りすぎたのね 私のすべて花から花へ 蝶々が舞うようにほかの誰か...
  • 東京めぐり愛

    東京めぐり愛

    『やっと逢えたね あゝ良かったさがしぬいたよ 東京を』「逃げていたけど心ではみつけてくれるのを 待っていた」『赤い運命(さだめ)の糸がある』「それを互いにたぐってた」東京ふれ愛 めぐり愛「夢じゃないのね あゝ良かった泣いていいのね 思い切り」『おそくなったが 幸せはなんとか間にあったみたいだね』「一生一度の恋だもの」『...