• 岡千秋

    「1197」
  • 波止場しぐれ

    波止場しぐれ

    波止場しぐれが 降る夜は雨のむこうに 故郷が見えるここは瀬戸内 土庄港(とのしょうみなと)一夜(いちや)泊りの かさね着がいつかなじんだ ネオン町肩に重たい 苦労なら捨てていいのよ 拾ってあげるここは瀬戸内 土庄港のんでおゆきよ もう一杯浮世小路(こうじ)の ネオン酒あれは高松 最終便グラス持つ手に 汽笛がからむここは...
  • 凍れ船

    凍れ船

    波のしぶきに 銀鱗(うろこ)が咲いて度胸一番 北海漁場海の仕事は 海から習えやるぞ男の 国境(きた)の海怒涛(どとう)千里の 凍(しば)れ船雪が卍(まんじ)に 暴れる海で命みがいた 北海漁場陸(おか)で待ってる 女房(おまえ)の笑顔愛の港だ 国境(きた)の海ぐいと舵とる 凍(しば)れ船沖をうずめる 流氷くれば海が眠るぞ...
  • 冬嵐

    冬嵐

    吹雪舞い散る 北の海今日もしばれて 冬嵐(ふゆあらし)一の糸… 海猫(ごめ)が啼く唸る銀鱗(ぎんりん) 竜飛崎(たっぴざき)よされ…よされじょんから 三味線(しゃみ)を弾く女いのちの 黒髪をゴムの合羽(かっぱ)に 守り札二の糸に… 絡(から)みつく切れぬ未練の きずな糸よされ…よされじょんから 三味線(しゃみ)を弾く雪...
  • こころに春を

    こころに春を

    生きてゆこうよ 険(けわ)しい人生(みち)を風が騒げば また転びあなたおまえと 声掛け合って 声掛け合って耐えてゆきましょ 歩きましょ今は冬でも こヽろに春を…辛い冬でも こヽろに春を…お酒飲みましょ わたしが奢(おご)る雨がそぼ降る 寒い夜すこし可愛い おんなになって おんなになってかるく口紅 引いてみた今は冬でも ...
  • 通り雨

    通り雨

    女は 淋(さみ)しいね女は せつないね恋はひとときの 通り雨濡れたからだが くちびるが別れたあなたを 恋しがるお酒を飲むたび 愚図るのよ女は 淋(さみ)しいね女は せつないね恋は儚いわ 通り雨明日を夢見た 幸せが崩れてゆきます 砂のように心が乱れて ふるえるの女は 淋(さみ)しいね女は せつないね恋はまぼろしの 通り雨...
  • 仁吉の女房

    仁吉の女房

    よしておくれよ 藪(やぶ)から棒に実家(さと)へ帰れと 戯言(ざれごと)は三ヶ年(みとせ)想って 結ばれた吉良(きら)の港の おしどり夫婦なんで今さら 離縁状(りえんじょう)縁(えん)に繋(つな)がり 仁義にそむくそれじゃ渡世の 嗤(わら)い者お菊何(なん)にも 云うなよとあんた長脇差(ながドス) 情けを斬(き)って命...
  • わすれ酒

    わすれ酒

    未練心は 涙で流す恋の傷あと お酒でふさぐ酔って酔って酔いしれ 夜空を見れば浮かぶあなたの あの笑顔ひとり酒 みれん酒 あぁ…わすれ酒せめて人並み ぬくもりひとつあれば他には 望まぬものをどうせどうせ遊びの 恋ならあなたなぜに酔わせた 惚れさせたひとり酒 みれん酒 あぁ…わすれ酒女ひとりが 生きてくつらさ男なんかに 判...
  • 東京発釧路便

    東京発釧路便

    降る雨は 女の涙重いコート脱ぎ棄てに 北へと向かいますあなたと重ねた 愛の日々を忘れるために ここへ来たのよ東京発釧路便丹頂舞い飛ぶ 鶴居村(つるのさと)空と大地の 他にはなにも ありませんここが真実 わたしが生きる あかしなのそう今は 雲間のジェット窓の外はおもいでが くるくる走馬燈良い時ばかりを 映し出すの消したい...
  • 港・ナイトストーリー

    港・ナイトストーリー

    赤い夕日沈む 港の酒場路地でいつもあいつ わたし誘うの誘惑のジャズ喫茶 甘いバーボンショットグラス透かし 腰をくねらせ赤い夕日沈む 恋の夜よ霧にかすむ街の なじみのお店なぜかわたし今夜 胸がときめくさしむかい口説くのは 赤いワインで恋の魔法かけて そっと唱える霧にかすむ街の 夜は長い誘惑のジャズ喫茶 甘いバーボンショッ...
  • あの駅に戻れたら

    あの駅に戻れたら

    別れの言葉 止めるよに寒いくちびる 北の駅覚悟を決めた 恋なのにあふれる涙 止まらないもしもあの時に 戻れたらそばにいてくれますかもしもあの駅に 戻れたら私を選んでくれますか駅へと続く 坂道にいまも面影 探してる二本のレール その先に愛しい日々が よみがえるもしもあの時に 戻れたらあたためてくれますかもしもあの駅に 戻...
  • 最上川愛歌

    最上川愛歌

    苦しい恋と 知りながら漕いでゆきたい どこまでも どこまでもすべて捨てても かまわない赤く染めたい 罪の糸橋の欄干 重なる影に五月雨流るる 最上川涙に濡れた この頬を拭うくちびる 白い肌 白い肌風も冷たく 身を刺すが永遠(とわ)に覚悟の きずな糸岩を叩いた しぶきの音に五月雨流るる 最上川奪ったあなた いるだけで他に幸...
  • 花は苦労の風に咲く

    花は苦労の風に咲く

    浮世草でも いいじゃない土の中ほど 温かい持っているのよ 弱さの中に人は出直す 力まで今は実りの 時を待つ花は苦労の 風に咲く歩くそばから 道になるきっと灯りも 見えるはずいいのいいのよ 小さな夢でそこに値打ちも きっとある一期一会の 人を待つ花は苦労の 風に咲く思いやる人 やれる人花のかおりは 宿るもの深い海まで 抱...
  • めぐり雨

    めぐり雨

    あなたとも一度 出直せる私でいいのと 訊くのが恐い傘に篠突(しのつ)く 雨の音この場救って くれそうようしろ姿で うれし泣きめぐり降る雨 めぐり雨身勝手だったと 云わないで謝りたいのは 私の方よ肩を並べて 飲むお酒見つめ返した 眼も濡れて過去がいつしか 遠去かるめぐり降る雨 めぐり雨昨日と景色が 変わるのよあなたと歩け...
  • 雨の天ヶ瀬

    雨の天ヶ瀬

    しのび泣くよな 山鳥の声聞けば別れの あの日が浮かぶ添えぬさだめと 知りながら咲いて一途な 湯の町椿あなた逢いたい もう一度あぁ天ケ瀬に 今日も雨が降る宿の番傘 ふたりで差してそぞろ歩いた 玖珠(くす)川沿いよ旅の情けか 一夜(ひとよ)妻夢に溺れた 女の弱さ恨むことさえ できなくてあぁ天ケ瀬に 今日も雨が降る闇に漂う ...
  • 夜の雨

    夜の雨

    二度と戻るなよ もうこの町にずっと夢見た やすらぎをあいつは くれるはずチラチラと 町灯り泣いたよに にじんでる俺なんか 捨てて行けその手を 離すな…別れを濡らして 夜の雨が降るずるい男だと もう背を向けろそんな淋しい 顔するな笑って 去ってくれくちなしの 残り香が胸の奥 締めつけるこれからは その頬を涙で 濡らすな…...
  • 男川

    男川

    流れる川は 生きている何も語らず 堂々と裸一貫 男の値打ち義理と人情と がまん酒(ざけ)空は真赤な 男川山瀬(やませ)が吹けば 荒れる川海に流れるこの川は負けたままでは 終わりはしない何処(どこ)で散ろうと 悔(く)やまない雨が冷たい 男川帰らぬ過去を 振りかえりゃ浮かぶ故郷(ふるさと) 懐(なつ)かしく意地を支える一...
  • 酒は男の隠れ宿

    酒は男の隠れ宿

    駅裏酒場は ガード下風はなき なき 吹きぬけるお前も楽じゃ ないだろに俺におごって くれた奴(やつ)情(なさ)けがしみる 心がいたむ酒は男の 隠れ宿女と暮らした 事もある若い昔の頃だけど今では一人 俺達は話し相手は 酒だけさ淋(さび)しくなれば ぽつりと涙酒は明日(あした)の 子守歌生きても死んでる 奴(やつ)がいる死...
  • ひとり北夜行~愛ふたたび~

    ひとり北夜行~愛ふたたび~

    あの日外した 想い出の指輪触れれば恋しさに 胸がふるえますもう二度と あの街に 戻らない決めたはずの 私の胸を揺さぶる汽笛…星が呼んでる ひとり北夜行きっとあなたは とうに私など忘れて生きてると バカね信じてたこれ以上 この恋が あの人の夢の邪魔に ならないように暮らした二年夜が泣いてる ひとり北夜行白い切符を ギュッ...
  • 波止場しぐれ

    波止場しぐれ

    波止場しぐれが 降る夜は雨のむこうに 故郷が見えるここは瀬戸内 土庄港(とのしょうみなと)一夜泊りの かさね着がいつかなじんだ ネオン町肩に重たい 苦労なら捨てていいのよ 拾ってあげるここは瀬戸内 土庄港のんでおゆきよ もう一杯浮世小路の ネオン酒あれは高松 最終便グラス持つ手に 汽笛がからむここは瀬戸内 土庄港恋も着...
  • 漁火街道

    漁火街道

    恋しい面影 かき消すように越前(えちぜん)海岸 潮風(かぜ)が啼くねぇ ねぇ あなた 今頃どこにいる涙こらえ 後追いかけて漁火街道 波ばかり最後の恋だと 信じた私心に沁みます 滝の音ねぇ ねぇ あなた すべてが嘘ですか腕に抱かれ 眠った月日漁火街道 ただひとり名前を呼んでも 返らぬ答え日暮れて淋しい 呼鳥門(こちょうも...