• 岡千秋

    「1197」
  • 男の忠臣蔵

    男の忠臣蔵

    時は元禄 春弥生積もる遺恨の 吉良(きら)殿にもはやこれまで この我慢松の廊下の 刃傷(にんじょう)に哀れ浅野(おとこ)の 桜(はな)が散る殿の無念を 晴らしてと涙浮かべる 遥泉院(おくがた)に今宵大事の 討ち入りを胸に畳んだ 内蔵之助(くらのすけ)永(なが)の暇(いとま)の 南部坂江戸は師走の 寒空に響く山鹿流(やま...
  • 心機一転

    心機一転

    やるぞやるぞと 力(りき)んでみても何もしなけりゃ 昨日のままさ今日の口惜しさ その涙バネにするから 明日(あす)がある心機 心機一転夢に賭けよう 人生勝負楽にゃ渡れぬ この世だけれど厚い氷も 春には溶ける胸に刻んだ 大志(こころざし)何で忘れて なるものか心機 心機一転決めたこの道 信じて生きる晴れて故郷に 錦をかざ...
  • 裏町ぐらし

    裏町ぐらし

    ほこりまみれの まねき猫やぶれ障子に 縄のれん化粧わすれた 女将(おかみ)の顔に耐えてしのんだ 影がある割れたガラスに 娘の写真そっと見つめる 裏町ぐらし…裸電球 ゆれている壁につきさす すきま風どこを歩いて きたのだろうか泥をかぶった 靴ふたつ灯りとどかぬ 無口な背中(せな)でひとり盃 しずかな酒よ…すこしゆがんだ ...
  • 別府航路

    別府航路

    倖せさがせば なぜかしらいつも不幸と めぐり逢うだめになるのね 尽くすほどひとり別れて 故郷(こきょう)へ帰る別府航路の 船が出る涙凍(こご)える 夜の海波間に想い出 浮き沈み胸のすき間に 霧が降るいいの責めない うつり気は揺れる漁火 しぶきの甲板(デッキ)別府航路の 夜は更けて未練なだめて 膝を抱く緑の小鳥が 右ひだ...
  • 生きてる限り

    生きてる限り

    愛し合っても 叶わぬ夢になみだ見せずに 背中で泣いた泣くな 泣くなよ 辛いじゃないか今も生きてる 愛しい想い変りはしないよ 生きてる限り巡る季節に さすらう人生(みち)に愛のあかりを 灯してくれた泣くな 泣くなよ やさしい笑顔今も生きてる こころの中に消えはしないよ 生きてる限り潤むその瞳(め)で 問いかけながら何も言...
  • おやじ

    おやじ

    人の傷みが 解るよに諭してくれた この俺にそんなおやじの 優しさがじんと来るんだ この胸に男涙の 手向(たむ)け酒決めた人生(みち)なら 迷わずに自分を信じて やってみろそんなおやじの 思いやりつくり笑顔の 面影に飾る一輪 百合の花人は誰でも 浮き沈み形(なり)ふりかまわず 真っ直ぐにそんなおやじの 励ましが俺の大きな...
  • おんな雨

    おんな雨

    傘をもつ手に ポツリと落ちる恋の終わりの なみだ雨このままあなたに 逢えないのなら忘れさせてと すがりつくみれん…霧雨… 女のなごり雨いつか倖せ 掴めよなんて悲しすぎます 私にはあなたと出会って 抱かれた夜にそうよも一度 戻れたらいのち…さめざめ… 女のとおり雨指につたわる やさしい温(ぬく)みこれが最後と 言い聞かす...
  • おんなの夜汽車

    おんなの夜汽車

    ふたりで暮らした 街の灯(あか)りが窓の向こうに 遠ざかるひとりひとり旅立つ おんなの夜汽車涙で綴(つづ)った お別れの手紙をあなたは 読んだでしょうか…ほんとはあなたを 恨みたいのに今も未練が 邪魔をする過去を過去を振り切る おんなの夜汽車悲しみこらえて 膝を抱くわたしの姿が 見えるでしょうか…ちいさな切符に 夢もあ...
  • 夢無錫

    夢無錫

    緑の風が 運河を渡り往き交うジャンク 眺めていれば流れる時刻(とき)も ふたりを包むあなたを愛して 愛されいつか心の中に ふるさとふたつ夢と夢と浪漫(ロマン) 無錫の街夕陽が赤く 太湖を染めて水面に落ちた 山影ゆれる漂う舟は 絵葉書のようにあなたにもらった 樹の実の紅豆(ルビー)幸福(しあわせ)つかむ 誓いの印夢と夢と...
  • 菜の花列車

    菜の花列車

    逢いにゆきます 覚悟をきめてあなたの田舎へ ちいさな旅路夢が夢が寄り添い こころ暖かい男と女の おそい春紅糸(べにいと)たぐって 出会ったふたりしあわせください 菜の花列車恋の傷やら 涙のしみは誰にもあるでしょ 二つや三つましてましてあなたは やんちゃすぎるけどわたしが面倒 みてあげるきょうから始まる みちづれなのよし...
  • ねぶた恋祭り

    ねぶた恋祭り

    祭り太鼓が どんと鳴る朝に母のおなかを けとばしてうまれ出たのよ ねぶたっ子(ねぶたっ子)いまは恋する 女ごになって一年待ってた 夏祭り(ラッセーラ ラッセーラッセーラッセーラ)あんたは自慢の 山車(だし)を引くわたしは花笠ハネトで踊る ハネトで踊るラッセーラ ラッセーララッセーラッセーラッセーラ津軽・青森 ねぶたの街...
  • 恋が散る

    恋が散る

    走る列車に 身をまかせ胸の寒さを 抱き寄せるあなた許して さよならを言えば心が 乱れるわせめて おんなの 散り際はひとり きれいに 終わらせて北へ向かえば 紅葉の炎紅く 紅く 紅く 紅く 私を染めてああ…… 恋が散る遠い灯りに 幸せがまぶたかすめて よみがえるふたり出逢った あの春に帰りたいけど 帰れないすべて 捧げた...
  • 瀬戸内最終行き

    瀬戸内最終行き

    あなた居なくても 生きて行こうとふたり笑った アルバムを捨てて未練を 忘れるために二泊三日の 旅に出る東京…大阪…新幹線(きしゃ)から船に乗って女の 乗って女の瀬戸内最終 ひとり旅俺と会わなけりゃ 如何(なに)をしてたとジャレたあの頃 思い出す離れきれない 言葉をいつか消してこいよと 街がいう東京…大阪…新幹線(きしゃ...
  • 恋しずく

    恋しずく

    ひとつ空(あ)けてる 止まり木は惚れたあなたを 待っている雨の居酒屋 赤い灯に残るなみだの 恋しずく迎えに来てよ 傘がない女ひとりで 飲む背中他人(ひと)はさみしく 見るでしょう酔えば想い出 訪ねびと夢の残り火 恋しずくあの日がすべて 私には淋(さみ)しがり屋の 強がりをあなた分かって くれますか外は雨だし 寄ってるし...
  • 春の雪

    春の雪

    ひと冬越(こ)えれば 見えてた春を越せずじまいで 別れたふたり寒いだけなら 耐(た)えて行けるけど胸の痛みは かくせない窓にゆらゆら 春の雪お酒で体を 温(ぬく)めてみても指が冷たい 心が寒い雪の明かりで 化粧してみても今は隣(とな)りに 誰もない涙ホロホロ 春の雪暦(こよみ)が変われば 涙も溶けて春はすぐそこ あなた...
  • 神無月の頃に

    神無月の頃に

    矢車草に 夕月淡(あわ)く暮れゆく秋の 縁側で言葉少なに 晩酌をする父の背中が ちいさく見える覚えていますか 幼い昔飛ばしてくれた 紙風船・・・・・あの掌(てのひら)を 思い出しあぁ…泣けてきちゃったの お父さん! 神無月の頃に柱に残る ちいさな釘(くぎ)に揺(ゆ)れてた 赤いランドセル夢でいっぱい ふくらむように言っ...
  • 玄海 恋太鼓

    玄海 恋太鼓

    風が出る 波が立つ玄界灘に 陽が落ちるあんた恋しと 叩くとよ撥も折れよと 叩くとよ赤い赤い 赤い蹴出しの恋太鼓届け 届け あんたに届けああんああ 天まで届けつらかとよ 憎かとよ淋しか夜は 長かとよ秘めた想いに 炎(ひ)をともしやあんたゆずりの 乱れ打ちどんとどんと どんとしぶきの恋太鼓響け 響け あんたに響けああんああ...
  • 雨の湯西川(ゆにしがわ)

    雨の湯西川(ゆにしがわ)

    ひとつの蛇の目で 人眼を避けてふたり来ました 山峡(やま)の宿湯あがり酒にほんのりと ほんのりと酔ってあなたに お酌をすれば湯の香こぼれる… 雨の湯西川浴衣の胸元 乱れを直しほつれ黒髪 手でなでる運命(さだめ)のままに愛された 愛された隠れ湯の里 ひと夜の夢を抱いて生きます… 雨の湯西川あなたの妻には なれないけれど逢...
  • 酒慕情

    酒慕情

    こころに消せない 女(ひと)がいる酒で流せぬ 恋もある呼べばせつない 偲(しの)べばつらいおまえの面影が…今夜もグラスに 浮かぶのさ最後の夜とも 知らないで指も触れずに 別れたよ涙まじりに 微笑(わら)った頬の小さな片えくぼ…今でもこの瞳(め)を 離れない倖せだったら それでいいそれも男の なぐさめか酒で淋しさ 紛(ま...
  • 通天閣人情

    通天閣人情

    何はなくても浪花の恋は意地で添いたい通したいそんな強気も惚れたらだめね想い届かぬこの身は細る泣いて泣いて下さい通天閣のお月さま苦労二文字を 笑顔に変えて生きてゆきます今日からはそうは言っても女はおんなそばに誰かのぬくもりほしい抱いて抱いて下さい通天閣の街灯りつらさ九つ うれしさ一つそれが人生 いつの世もたとえ小さな夢で...