• 岡千秋

    「1197」
  • みれん舟

    みれん舟

    水の流れに 灯りの帯がゆれて哀しい 日暮れ川あなた背中を 向けないで追えば私の 罪になるうしろ髪ひく みれん舟屋形船さえ 渡れるものを渡り切れない 向こう岸夢でいいから 添い寝してせめてわがまま 叶うならひとり淋しい みれん舟そばにあなたが いてくれたから寒くなかった 雨の日も絆むすんだ はずなのに何故にしあわせ 散り...
  • 加賀慕情

    加賀慕情

    見果てぬ夢に 誘われて一人さすらう 金沢にあきらめ切れぬ 心の痛み男ごころの 哀しさよ会ってみたとて 人の妻逢えば未練が あゝ増すものを過ぎ行く季節(とき)の 影写し流れ犀(さい)川 別れ川紅(くれない) 染める 友禅流し恋の名残の 城下町君をしのべば 黒髪の後ろ姿の あゝなつかしさ思い出残る 格子戸に浮かぶ面影 加賀...
  • 屏風岬

    屏風岬

    待っているのに 来ないひとさみしく七尾に 風が吹く私の気持ちを 遊ぶよに待つ風ばかりの 屏風岬忘れたくても 忘れられない女心の 切なさかあなたの匂い あなたの仕草あなたへの想い 想いを届けたい遠くキュルキュル 鳴く鴎出会ったあの日が よみがえるきれいな指だと 言ったのに泣く声かさなる 屏風岬忘れたくても 忘れられない女...
  • 男の旅路

    男の旅路

    人の一生 一度きり泣いてもよけりゃ ついてきな雨・風・雪ふる 男の旅路たまにゃいい日も あるだろう悔むなよ 転ぶなよおまえ背負えば 軽すぎる五臓六腑に 沁みわたる呑んでもにがい 茶わん酒眠っていいかい おまえの膝で聞けばうなずく うるんだ眸夢ん中 ふたりしてさくら吹雪に 微笑(わら)ってた照れて口には出せないが俺には過...
  • 路地裏酒場

    路地裏酒場

    窓のむこうを 電車が通りゃ揺れて転げた 招き猫店は狭いが 美人の女将(おかみ)あの手この手と 口説いても落ちそで落ちない エ… 路地裏酒場泣いてくれるな 化粧がおちるおちりゃやつれが 目に痛い聞いてどうなる 世間じゃないが隣り合ったも 縁だから一杯呑みなよ エ… 気分も晴れる知らぬ同士が 肩組み合って歌を唄って 帰って...
  • 河内おとこ節

    河内おとこ節

    河内生れの 風来坊は生きのいゝのが 売りもんやサテモ皆さま おそまつながらこゝが男の 舞台なら太鼓叩いて 見栄を切る喧嘩囃子の 河内ぶし一に度胸や 二に人情や後は腕づく 腕しだいサテモ皆さま 悪声ながら坂田三吉 物語り派手な掛声 頂いて唸る男の 河内ぶし馬鹿な息子と 叱ってくれる俺(わい)の親父は 生駒山(いこまやま)...
  • 人生夢太鼓

    人生夢太鼓

    櫓(やぐら)太鼓に 諸(もろ)肌ぬいで汗が飛び散る 若い衆小倉名物 無法松負けてなるかと 男の意地を賭けて打ち込む あばれ打ち日本一だよ ソレ…人生夢太鼓祭囃子の 太鼓が緑で浴衣(ゆかた)姿の あの女(ひと)と恋が芽生えた 若い日よ苦労分け合い 夫婦の今も忘れられない 思い出を胸に刻んだ ソレ…人生夢太鼓老いも若きも ...
  • あかね雲

    あかね雲

    まわり道でも この世にふたり遠くに見えるの しあわせがあなた待っててね ひとりぼっちはいやですよ子供のように この手をつなぎ道草しましょね あかね雲いつも隣りを 歩いていてね明日のむこうの 遠くまであなた待っててね ひとりぼっちはいやですよ夕やけ小やけ ふたりを染めて道草しましょね あかね雲道の小石に つまずかないでい...
  • 浮雲ふたり

    浮雲ふたり

    浮雲みたいに このままふたり流れて行けたら いいでしょうねあなたの影を 踏まないようにわたしは心で 生きてる女綺麗な愛だけ 信じます小枝のつぼみは わたしの花ね少しの陽だまり 下さいねあなたの胸の 小さな庭でわたしは心で 生きてる女綺麗に咲く日を 信じます遠くの浮雲 見つめるよりも近くのわたしを 見つめてねあなたのそば...
  • お・ん・な

    お・ん・な

    水に流した 恋傷(かこ)なのに雨のにおいが みれんを揺(ゆ)するばかよばかでしょ ねぇ…お酒ちょいと今夜は 傍(そば)にいていやになるほど… お・ん・なあゝ おんなです意地で通した 夢化粧さむい素貌(すがお)は やっぱり演歌嗤(わら)わないでよ ねぇ…お酒見ないふりして ほしいのよのめばのむほど… お・ん・なあゝ おん...
  • 日本の男

    日本の男

    銭(かね)じゃ買えない ものがある人の情けと 人の意地洗いざらしの 木綿を着ても真竹(まだけ)一本 魂(こころ)に差した日本の男が ここにいる天に唾(つば)吐く 奴は奴罰(ばち)の当らぬ 訳(わけ)はない握り拳(こぶし)の 我慢の汗で勝った負けたに 魂(こころ)は売らぬ日本の男が ここにいる花は桜だ 山は富士それが男の...
  • ふたりの旅栞(たびしおり)

    ふたりの旅栞(たびしおり)

    しあわせが見えますか…汽車の窓から わたしのそばで秋深い信濃路で もうひとつ人生をあなたが選べば わたしもついてゆくふたりの…旅栞(たびしおり)淋しくはないですか…古い友だち 遠くになるわ初雪の信濃路は 寒いけど綺麗でしょうあなたの心に わたしも寄り添ってふたりの…旅栞(たびしおり)振りむきはしませんか…今度生まれて ...
  • 雪簾

    雪簾

    赤ちょうちんが…雪にちらちら ゆれているここは花園 裏通りひとりぼっちで 飲む酒は遠い昔と かくれんぼ今じゃ帰れぬ 故郷(ふるさと)が胸のすき間で 見え隠れ夢という奴ぁよ…とうの昔に 捨てたけど忘れられない 国訛(なま)りこんな姿を おふくろが生きていたなら 何歳(いくつ)やら酔えば涙に なるものを詫びる心に 積もる雪...
  • 若狭の女

    若狭の女

    死ぬほど憎い あの人に死ぬほど惚れた この身がつらい放生(ほうぜ)祭りで 慣れ染めあって情とかした 鮎川に…‥燃えて散りゆく 深山の紅葉わたし一途な 若狭の女凍える指に 息かけて恋文つづる 鵜の瀬の宿よ杉の木立に カジカの声が浅い眠りを また覚ます…‥窓をあければ 舞い込む雪が肌にせつない 若狭の女しあわせなのに 泣け...
  • 津軽の花

    津軽の花

    真冬(ふゆ)の寒さに 耐えてこそ花は咲きます 実もつける恋して何度も 傷ついて春が来ました 私にも…あなたと二人 この町できっときっと きっとつかむわ幸せを林檎も桜も 一緒に咲いて北の津軽は 春盛り花盛り明日(あす)の生活(くらし)が つらくてもつなぐこの手は 離さない津軽の言葉の 優しさに胸の根雪(ねゆき)が 溶けて...
  • 浪花恋しぐれ

    浪花恋しぐれ

    芸のためなら 女房も泣かすそれがどうした 文句があるか雨の横丁 法善寺浪花しぐれか 寄席囃子今日も呼んでる 今日も呼んでるど阿呆春団治「そりゃ、わいはアホや。酒もあおるし、女も泣かす。せやかて、それもこれもみんな芸のためや。今にみてみい! わいは日本一になったるんや。日本一やで。わかってるやろ、お浜。なんや、そのしんき...
  • ~吉良の仁吉の妻~お菊残照

    ~吉良の仁吉の妻~お菊残照

    照るも曇るも 生きるも死ぬも女いのちは 連(つ)れ合(あ)い次第(しだい)吉良(きら)の仁吉(にきち)は 侠(おとこ)の中の男らしさに しんそこ惚れて契(ちぎ)りかわした 夫婦雛(めめおとびな)(浪曲)義理と人情を 秤(はかり)にかけて義理が重たい しがらみにお菊哀しや はぐれ鳥世帯かまえて 三月と十日夢もつかの間 街...
  • 愛暦

    愛暦

    この世で一番 大事な男(ひと)とかたい契りの 愛暦遥かなるいばら道 はぐれぬように離さないでね しっかり抱いて私はあなたの あなたの女房です帰りが遅いと 喧嘩もしたわ憎い恋しい 裏表あの頃はお互いに わがままばかり今は微笑む 目尻のしわが何故だか愛しい 愛しいだんなです真心(こころ)を重ねた 女の愛はどんな運命(さだめ...
  • いで湯炎歌

    いで湯炎歌

    小雪の駅で 待ちあって人眼を逃れ 旅をするこれでいいの 後で別れて泣いてもいいの女房きどりで いで湯の里の夢に濡れたい 私ですあなたに着せる 湯上りの羽織(はおり)につつむ 想いやりこれでいいの 後で別れて泣いてもいいの明日(あす)はいらない 今夜がほしい生きて添えない 二人です崩れるように 身をまかせ重ねるいのち 恋...
  • 人生渡し舟

    人生渡し舟

    惚(ほ)れて一生 あずけたいのちこれが夫婦(めおと)と 言うものねあなたしっかり 私を抱いてどんな苦労の 流れでも離さない……離れない……生きる 此の世の 渡し舟水の鏡に さくらを映し憂(う)さを忘れて 花見酒あなたしっかり 私を抱いて明日(あす)が見えなく なろうとも泣かないわ……泣きません……かばい合う身の 渡し舟...