• 岡千秋

    「1197」
  • 別れの夜汽車

    別れの夜汽車

    遠くの灯りが 思い出が後ろへ後ろへ 遠ざかる片道切符の 頼りなさ二度とあなたに 戻らない…わかって下さい 女のつらさ涙道づれ 別れの夜汽車小さな幸せ 欲しがってあなたの夢まで 駄目にする愛しているから なおさらに泣いて身を引く私です…わかって下さい 女の心揺れる面影 別れの夜汽車二人で暮らした 年月を数える指先 震えま...
  • 笹川流れ

    笹川流れ

    背(そむ)いた貴方を 恋しがる弱さ叱るか みぞれ雪みれん心に つまずけば波に呑まれる 荒磯(ありそ)道ここは越後の 笹川流れ行くも戻るも 泣き別れ恋ゆえ見捨てた ふるさとがいまは心の 拠(よ)り所可愛いからこそ 強く言う母の小言(こごと)が なつかしいここは越後の 笹川流れすがる想いで 駆け抜ける貴方が残した 傷あとを...
  • 夕月の恋

    夕月の恋

    どうぞ私に 下さいますか長い一生 その一日を好きになるたび 自分からいつもなぜ踏む 茨道添えぬ人ほど 魅かれますおんな哀しい 夕月の恋心磨いて おんなは光るそんな生き方 私もしたい願い叶わぬ その夢に一夜だけでも なりたくて熱い思いで 胸に咲く花の素顔よ 夕月の恋この手伸ばせば すがれるものを今はあなたが 近くて遠いつ...
  • 津軽の春

    津軽の春

    流れる雲に 故郷(こきょう)が見えるリンゴの花咲く 津軽の春よみんな元気か 変わりはないかあの町 あの顔 なつかしいあーふるさとは 心の駅だ白樺林(しらかばばやし) みどりの丘に二人で眺(なが)めた お岩木山(いわきやま)よ夜行列車に 思いを残し別れた あの子の あの涙あーあの日から 幾年(いくとせ)過ぎた厳(きび)し...
  • 湯けむりの宿

    湯けむりの宿

    送る背中が つらいからわたし始発で 帰ります湯けむりの湯けむりの なさけ宿昨夜あなたに 愛されて今朝はわかれる いで湯駅明日が見えない ふたりでも契(ちぎ)る情けに うそはない湯けむりの湯けむりの しのび宿光る線路の その先は狭霧(さぎり)流れる いで湯駅倫(みち)にはずれた 恋だけど罪はわたしが せおいます湯けむりの...
  • 米つぶの詩

    米つぶの詩

    生きてゆくのに 理屈はないが辛抱してこそ 苦労が実るこんな小さな 米つぶも八十八度 人の手が忘れてならない忘れてならない 日本のこころ楽をしてたら誰かが見てる天につば吐きゃわが身に還るこんな小さな 米つぶも降ってはこないさ 空からは教えてくれてる教えてくれてる 日本のこころ人という字は 優しいけれど支えがなければ 倒れ...
  • 雑草のうた

    雑草のうた

    下駄(あし)で踏まれりゃ 耐えなさい泥をかぶれば 耐えなさいこの世に生まれた 雑草は 雑草は弱音吐かずに 背伸びして空を見上げて 生きている桜(はな)に生まれた 人もいる母を知らない 人もいるこの世に名もない 雑草は 雑草は人を嫉(ねた)まず 羨(うらや)まず大地(つち)に根っ子で 生きている雨にも敗けずに くいしばり...
  • 大阪とんぼ

    大阪とんぼ

    なにわ夜風に 誘われりゃ居ても立っても 居られない道頓堀(とんぼり)あたりで 情がらみ 情がらみ懐具合も 気にせずに大口叩いて 午前さまあんた極楽 大阪とんぼ「ほんま!情けないわぁ…ようもって半年がええとこや正月の約束も…盆まで持たへんしなぁなんぼ言うても右から左…あとはスイスイ飛んでく赤とんぼや…」おんな心は そっち...
  • 経ヶ岬

    経ヶ岬

    戻って来てよ 私のとこへ募る気持ちを 海鳥のせて好きと言えたら それだけで一緒になれる 恋なのに…ここで未練を 断ち切ってひとりで生きてく つもりです丹後半島 あーあー経ヶ岬に 女がひとり伊根の舟屋は 漁師の枕待っていろよと あの日の言葉風がヒュルヒュル 耳元で泣いてどうなる この恋は…浜の女房 夢に見て酔うほどこぼれ...
  • おんなの素顔

    おんなの素顔

    おまえを一生 守ってゆくと熱い情愛(なさけ)に 絆(ほだ)されました私もいろいろ あったけどあなたとだったら 生きられる初めてみせた おんなの素顔綺麗と言って くれますか…他人の知らない むかしの傷をあなたひとりに 打ち明けました似た者同士と 照れて云う嬉しいこころの 思いやリ涙のしみた おんなの素顔やさしく抱いて く...
  • 母娘じょんがら

    母娘じょんがら

    雪の礫(つぶて)に 叩かれ追われここは津軽の 十三湖(じゅうさんこ)母が三味弾き 娘がうたう流れじょんがら 口説節(くどきぶし)いつか父(とと)さに 出会える日まで苦労覚悟の ふたリ旅数え七つで 門付(かどづ)け暮らし何でしたかろ させたかろ指のあかぎれ 痛みはせぬか雪に素足は 冷たかろ愛し我が子に こころで詫びりゃ涙...
  • 名もなき純情

    名もなき純情

    爪の先まで 娘(おんな)のすべてあなたひとりに 捧げますこの世に生れて 来たわけをくもりのない目に 知らされた ああこんな名もない純情だけど 純情だけど受けてください 真っ赤な命めぐり逢うまで 道草ばかりいいえあなたを さがす旅お酒も涙も 半分こ泣かせる言葉を かけないで ああ風にふるえる 純情だけど 純情だけど抱いて...
  • 私が男に生まれていたら

    私が男に生まれていたら

    落ち葉が揺れる 日暮れ路そっと涙を 抱きしめる幸せ欲しがる 女ほど優しい言葉に 弱いから…私が男に 生まれていたら私は私を 離さない震える肩先 抱き寄せたあの日の優しさ 嘘ですか幸せなんかは なくていいぬくもりひとつが 欲しいのよ…私が男に 生まれていたら私は私を 泣かさない駅まで続く 石畳冷たく足音 遠ざかる強がり見...
  • 酒みれん

    酒みれん

    そんなあんたが 好きだからついて行かせて 浮草ぐらしこんな男に 夢一途くれたあいつが 死んだ夜は呑まずに…いらりょか噫(あ)々… 酒みれん酔えばきまって 枯れすすき遠い眸(め)をして うたったあいつ吐息まじりの あの唄声(うた)が胸にからんで また沸かす雨だれ… とまり木噫々… 手向け酒ばかがつくほど お人好し辛くなる...
  • 父娘(おやこ)

    父娘(おやこ)

    久しぶりだね お前と二人でこうして酒を 飲むなんて娘が作った 寄せ鍋で酔える親父は 果報もの口に出したら 照れるから心で 娘よ ありがとう湯気の向こうで 微笑むお前が何故だかとても 眩しいよそろそろ嫁(ゆ)く先 決めなけりゃそんな思いで 飲む酒がじんとこの胸 熱くする心で 娘よ ありがとう親のことより お前は自分の幸福...
  • 女のちぎり

    女のちぎり

    好きなお方の 言いつけならば死ねと言われりゃ 死ぬ覚悟惚れて… 惚れて… いちずに惚れて… あゝ惚れてあなたに賭けた この命おねがいですから 情をかけて女のちぎりは 一生一度なの… 一度なの純(うぶ)な私じゃ なかったけれど尽(つ)くす気持に 嘘はない濡れて… 濡れて… なみだに濡れて… あゝ濡れてあなたを待てば 雨が...
  • KAKU恋慕

    KAKU恋慕

    ジンと 染みたのあなたの言葉好きよあなたのその優しさが Fum私一人のあなたでいてねなんでこんなに愛しいの Mnh 愛しいの恋の溜息 霧になる幸せは Ah 幸せは どこですか…どこですか Ah どこですか 幸せは…Ah…Ah…KAKU恋慕歌う 恋歌心の叫び何もいらないあなたが欲しい Fumあなたの好みの口紅ひけば女心が...
  • お蝶次郎長恋姿

    お蝶次郎長恋姿

    清水次郎長 女房がえらい風に噂の 東海道花は橘 茶の香り 茶の香りほれて寄り添う おしどり旅はお蝶次郎長 恋姿 恋姿「お蝶、今夜は冷えるなあ」「一本つけますか?」「おう、上等だ。つまみは塩辛がいいな」「あれは石さんが食べちゃったよ」「しょうがねえなあ、じゃあ数の子があったろう」「それも石さんが食べちゃった」「わさび漬け...
  • 茶摘歌

    茶摘歌

    (女)茶摘みごろには 藪うぐいすが(女)裏の里山 たんと啼く(男)おれもお前っちゃに 一目で惚れて(男)ホーホケキョと 胸こがす(二人)ちゃっきり ちゃっきり ちゃっきりよ(二人)蛙(きゃある)が啼くんで 雨ずらよ(男)声がしたなら 顔見せてくれ(男)見せて損する ものじゃなし(女)損はしねえども 父(とと)さが恐い(...
  • ふたりの最終便

    ふたりの最終便

    五年も待ったね この日のことを涙うかべる おまえが愛しいよ窓にひろがる 海峡はるか呼んでいるのか 故郷(こきょう)の街を……北へ飛ぶ…北へ飛ぶ 最終便で今日からは…今日からは…ふたりで生きるのさ他人の噂(うわさ)に 泣くだけ泣いて俺もすねてた 似た者どうしだよもしもおまえと 逢えずにいたらこんなやすらぎ 知らずにいたさ...