岡千秋
「1197」出さない手紙を書いてます
三軒茶屋から 引っ越しました二匹の猫も 一緒です猫好き大家の おばさんが時々遊びに 来ていますあんたと暮らして わかったことはいっぱいあった 気がしますあんたが大嘘 つく時はいつでも小鼻が ふくらんだそれでも別れりゃ 淋しくて出さない手紙を 書いてます切手がわりに 口紅押しあてて春夏秋冬(はるなつあきふゆ) よく笑った...酒場でひろった子守唄
居酒屋で 冷奴(やっこ)肴に 熱燗飲めば若者達(わかいやつら)の 笑い声そこにお前がいるようで思わず捜す自分を嗤(わら)うたった一人の倅(せがれ)のくせに俺より先に逝くなんて小さな頃の面影が酒に浮かんで泣いている大バカヤローの お前にうたう酒場でひろった子守唄振りかえりゃ 仕事ばかりの 明け暮れだった男同士の 酒さえも...気がつけばいつでも夕陽
気がつけば いつでも夕陽出逢いの数だけ 別れがあると知ってはいるのに 淋しいですね渚の足跡 夕波千鳥淋しくないか 泣きたくないか気がつけば いつでも夕陽海辺のお店の 苦めのコーヒーふたりの暮らしの 残り香のよう金色小道が 夕陽に続く渡ってゆこか もうひとりきり気がつけば いつでも夕陽悲しみ数えりゃ この手じゃ足りぬ幸せ...おんな花火師 花舞台
夜の美空を 焦がして上がる花火一輪 おんな伊達 おんな伊達技のいろはは 目で習う恋は二の次 三の次おんな花火師 心意気掛けた襷(たすき)の 白帯と長い黒髪 五尺の身丈(からだ)女いつ咲く 身を結ぶ燃えてはかない 命の花にこころ燃やした あで姿 あで姿娘盛りの 胸のうち締めた晒しの 奥の奥おんな花火師 男武者闇に花咲く ...