• 岡千秋

    「1197」
  • 細うで一代記

    細うで一代記

    女伊達らに 地下足袋はいて泥んこまみれで 砂を噛む欲をかいたら 人まで逃げる無欲無心で 今日がある細うで一代 胸で泣く雨はいのちの 水でもあるが時には家業の 邪魔になる好いた惚れたの 色恋などは遠いむかしの 枯れ尾花細うで一代 夢舞台お腹痛めた 乳のみ子抱いて片親ぐらしの 詫びをいう時代(とき)の流れは この世のさだめ...
  • 夜流し蝶々

    夜流し蝶々

    親にはぐれた 蛹(さなぎ)でも生きていりゃこそ 蝶になる怖さ知らずの 十八才(じゅうはち)が博多ネオンを 振りだしにここは広島 夜に飛ぶ嘘でくるんだ 昨日 今日誰があたいに 恋をする路地のあかりで かくれんぼ神戸 大阪 蜜の味名古屋とまり木 ひとり酒遊びつかれた 夕暮れに飛んだ一羽の あげは蝶情ひろって つまずいて港ヨ...
  • ちんどん人生 浪花節

    ちんどん人生 浪花節

    今日で昭和も 終わるんやなとぽつりお前は つぶやいたあれは飛田の 開店祝い時代が変ろと 何変ろ叩く陽気な ちんどん太鼓笑顔千両 それが浪花の 浪花節チラシ配りは 人情(なさけ)も配る配る情けが あだになるえらいこっちゃと 震える足に吠えるな子犬よ おまえまで貰(もろ)たスルメを ちぎって喰わすええやないかい これも浪花...
  • 明日舟

    明日舟

    涙の数だけ しあわせがいつか来るよと 聞かされた春の陽射しは 遠いけど泣いて笑って 笑って泣いて情け流れる この川に夢をさがして 明日舟水面(みなも)を漂う 浮き草はどこに恋しい 人がいる好きで別れた あの日から泣いて笑って 笑って泣いて未練いまでも 捨てきれず偲ぶ面影 明日舟この世を上手に 渡るより心やさしく 生きた...
  • 花まる女節

    花まる女節

    寒さにたえぬき 咲いた桜(はな)あわれ夜風が 散らしてく惚れて尽くして 泣かされた恋はこの世の 廻りものパッと咲いたら いいじゃないかパッと散るのも いいじゃないか粋(いき)で支える 花まる女節そうよ過去(きのう)はふり向かぬ ふり向かぬ故郷(ふるさと)はなれて さまよえば浮世情けが 身にしみる他人(ひと)の言葉に さ...
  • 十勝の春~ふるさとに春の雪~

    十勝の春~ふるさとに春の雪~

    季節はずれの どか雪降ってふるさと十勝は 春まだ遠い慣れた北国暮らしでも重たい雪に腰を痛めて いなかろか遠い噂に 心が騒ぐ昨夜(ゆうべ)届いた 小さな包み短い手紙と スズランの花弱い体の姉さんは元気でいてか丸い笑顔は そのままか文字の細さに 涙がポロリ山の根雪が ほつれて溶けりゃふるさと十勝に 瀬音が戻るべそをかいてた...
  • 人生夢桜

    人生夢桜

    夢という名の 根を張って空に大樹(たいじゅ)の 葉を伸ばすしょせん短い 人の世ならば望みひとすじ やり通す桜 咲け咲け 七重(ななえ)に八重(やえ)に命 咲け咲け 艶(あで)やかに女恋すりゃ 命がけ燃えて抱かれて 花になる添えぬ人だと 承知で惚れた泣いて尽くすも 悔いはない桜 咲け咲け 七重に八重に命 咲け咲け 艶やか...
  • 春の暦

    春の暦

    女の胸の 残り雪やさしく溶かして くれたひと大きな愛に 包まれて歩いてゆきます ふたり道逢えてよかった あなたに逢えて…世間に泣いた 傷ついた秋から冬への 曲がり角あふれる涙 手でぬぐい負けたら駄目だと 抱いたひと逢えてよかった あなたに逢えて…雪割草(ゆきわりそう)の 白い花いのちの蕾(つぼ)みを 咲かせますめぐった...
  • 三歩下がってついて行く

    三歩下がってついて行く

    世間知らずの この私今まであなたに 迷惑ばかり優しく叱って かばってくれた感謝してます いつだって古い女で いいのです三歩下がってついて行く ついて行くそばにあなたが いればこそ苦労の坂道 越えられましたあなたの真面目さ 心の広さ感謝してます いつだってそんなあなたが 好きだから三歩下がってついて行く ついて行く今日は...
  • ぬくもり酒場

    ぬくもり酒場

    灯りがともる 駅裏通り暖簾(のれん)手招く ぬくもり酒場酒のつまみは ひじきの煮物まずはビールに しましょうかお疲れ様 おひとつどうぞ…今日の疲れを 忘れ酒誰でも同じ この世の苦労肩を寄せ合う ぬくもり酒場恋の悩みも 仕事の愚痴も聞いてあげましょ じっくりとお疲れ様 なんとかなるわよ…ちょうど人肌 おちょこ酒一見(いち...
  • 秋燕

    秋燕

    夏も終わりの こぬか雨吐息に曇った ガラス窓軒先(のきさき)飛び交う 秋燕(あきつばめ) 秋燕(あきつばめ)もう旅立ちですか…どこかであの人 見かけたら伝えてください 待ってると肩に甘えた 幸せのあの日に も一度 帰りたい思い出せつない 秋燕(あきつばめ) 秋燕(あきつばめ)ねぇ愚かでしょうか…憎んでみたって なおさら...
  • 満天の星

    満天の星

    明日(あした)のことさえ 手探(てさぐ)りで肩寄せあなたと 生きてきた涙堪(こら)えて 見上げる夜空今は我慢の 茨道(いばらみち)頑張りましょう ねぇ あなた二人に煌(きらめ)く 満天(まんてん)の星口数少ない 人だけどそれでも心は あたたかい胸に隠した 口惜しさつらさ分けて下さい 私にも頑張りましょう ねぇ あなた静...
  • 命の恋

    命の恋

    花さだめに散る桜 ああこの恋も散りゆくと知りながら 愛した人女の夢をかけ 女を燃やす風よ吹かずに いておくれ恋に生きる雪深々降る夜は ただそばにいて眼を閉じて想い出す 子守唄別れを胸に秘め 別れをこらえ一夜一夜(ひとよひとよ)が いとしくて恋に生きるこの命の果てる時 あの人の名をそっと呼ぶきっと呼ぶ 最後の恋さだめに裂...
  • くれない紅葉

    くれない紅葉

    こころを焔(ほのお)が 染めるよに紅(あか)く彩(いろ)づく 花紅葉好きなあなたを 愛することに何の遠慮が いるのでしょ逢いに逢いにゆきたい 今すぐに女…一途な くれない紅葉(もみじ)湯の町しぐれに 肩寄せてそっと枝折(しおり)戸 あけた夜たとえ世間が 噂をしても今はこの恋 離せない誰も誰も見えない あなただけ情け…ひ...
  • 北陸旅情

    北陸旅情

    風に揺れてる 水仙に涙があふれる 越前岬あの日別れを 決めたけど忘れられない あなたのことが気比(きひ)の松原 三方五(みかたご)湖(こ)噂追いかけ ひとり旅汽車を乗り継ぎ 能登半島ふたりの想い出 瞼(まぶた)をよぎるあなたやさしい 人だもの愛の歳月(つきひ)を 信じているの七尾城趾(ななおしろあと) 見附(みつけ)島...
  • えにし酒

    えにし酒

    酒は飲むもの飲ますもの酔って酔わせて 思惑賭けておちょこで双六 出たとこ勝負女手踊り 男はふて寝縁にもいろいろありまして男と女の えにし酒夢は見るもの 描くものひとり手酌の 百薬(ひゃくやく)の酒枡酒(ますざけ)願掛け 満願成就お百度踏み踏み お神酒(みき)に願い願いもいろいろありましてお酒がお供の えにし酒隣り合わせ...
  • たそがれ波止場

    たそがれ波止場

    夕暮れ間近の 日生(ひなせ)の浜でゆれるちょうちん いつものお店帰るあてない あの人が酔えばお猪口に 浮かびます風にふりむく たそがれ波止場甘藻(あまも)の小さな 花咲く海に幼馴染の あなたとわたし語り明かした 夢灯り明日を誓った 恋なのにかもめなぜ鳴く たそがれ波止場さざなみ揺れてる 日生の浜でおんなごころが 切なく...
  • 北海無法松

    北海無法松

    生まれ北海 荒波育ち酒と喧嘩は 他人(ひと)には負けぬ誰が 誰が 誰が呼んだか 北海無法松暴れ太鼓の 桴(ばち)さばき俺の出番だ 男…松五郎義理と人情の 男の世界生きて行くのさ 覚悟を決めて命 命 命知らずの 北海無法松浮かぶ面影 胸に秘めほろり涙の 男…松五郎増毛(ましけ)石狩 積丹岬(しゃこたんみさき)男磨いた 道...
  • 一途な女

    一途な女

    肩が寒けりや 体を寄せな夢が欲しけりゃ 瞼をとじろ町のはずれの この居酒屋がお前と俺との 情けのねぐらせめて飲もうよ コップ酒生れついての 馬鹿正直が渡る世間を 狭くする指におくれ毛 からませながら似たよな運命と お前は笑う笑う瞳が なぜ濡れる義理と人情 言葉にすれば古い奴だと 他人は言う俺は俺だと 小石を蹴れば真似す...
  • いのちの漁場

    いのちの漁場

    潮が吠えれば 舳先もきしむ凍てつく空には 雪が飛ぶ親父ゆずりの 大事な船でごめが群れ飛ぶ 潮路の果てをうなる波風 怒涛(どとう)を越える腕は筋金 いのちの漁場一に潮見で 仕掛けが二番三四は無くても 五に度胸海で稼いだ でっかい土産陸(おか)で手を振る 女房(あいつ)の顔が俺の宝さ 生きがいなのさ今日も大漁の いのちの漁...