• 岡千秋

    「1197」
  • 水の炎

    水の炎

    約束なんて もらわなくてもいいのよ二人 寄り添いあえばあなたの寝息 一時間でも感じていれば 幸せだからどんなに愛しても 報われない愛は涙の水の底 炎になるのです誰にも知られずに 心に閉じ込めて涙の水の底 静かに燃えながら激しい恋は あこがれるけど壊れてしまう 明日が怖いあなたの指に つかまりながら行くあてもなく 流れて...
  • 葦風峠

    葦風峠

    石になるほど 待ち続け椿も三度 散りました背伸びをしたら あの人が見えるでしょうか…未練心が 袂(たもと)に絡む葦風峠きっと帰ると 信じても紅差す指が 重くなるあなたを呼んで 葦笛が今日も鳴きます…どこのどなたに 迷子になった葦風峠春は名のみの 寒椿伝えておくれ あの人に嫌いにもしも なったならどうか教えて…明日(あす...
  • みなと桟橋

    みなと桟橋

    出船入船 星ほどあれどあなた乗せてる 船は無い情け行きずり 一夜(いちや)の恋をひとつ布団で 温めた旅のお方と 知ってるくせにもしや今日はと 沖を見る島を出てゆく 意気地も無いし噂拾える 店も無い宿で交わした 一夜の酒が今も酔わせて 後を引くいつか覚めると わかっていても夢を明日を 見たくなるみなと桟橋 迎える人が一人...
  • 夜が泣いてる

    夜が泣いてる

    男ひとりの 屋台酒月も詫びてる 影法師夜が泣いてる 胸ん中たったひとつの 純情を聞いてくれるか なぁお前夢にはぐれた この都会(まち)はいつかさらばの 惜別歌(わかれうた)夜が泣いてる 山彦がたったひとつの 俺の駅舎(えき)一度来ないか なぁお前人に縁(えにし)が 運命(さだめ)ならきっと落ち逢う 天の川夜が泣いてる ...
  • 女郎花

    女郎花

    一夜かぎりの 旅路の人と知って抱かれた 私なのなぜか気になる 港の船がつらい別れを せきたてる出船 入船 渡鹿野島(わたかのじま)に今日も花咲く 女郎花こんど逢う日の 約束さえもせがみきれずに 切れた恋想い出させる 波止場の日暮れ赤い灯台 灯がともりゃネオン枕の 渡鹿野島(わたかのじま)に今宵花咲く 女郎花人の噂は 嵐...
  • ふるさとの…星

    ふるさとの…星

    星ひとつ きらきらと 夜空に光る故郷(ふるさと)の 母さんを 想い出す夕焼け小焼け 帰り道一番星 空見上げ明日(あした)も 晴れるねと 笑ってた母さんに もう一度 会いたいな流れ星 またひとつ 夜空に落ちる二人して 手を合わせ 祈ったねあの時何を 願ったか忘れたけど 消えたけどつないだ 手の温み 覚えてる母さんと もう...
  • 愛の架け橋

    愛の架け橋

    雨に打たれ咲く花がある風に打たれ咲く花がある人を愛して人を信じ運命(さだめ)を恨むのは止めよう空と大地を渡る虹のようにそれが小さなそれが小さな始まりでも父と母二つの祖国(くに)をあぁ…つなぐ愛の架け橋になりたい生きることがただ苦しくて生きることがただ哀しくて僕は僕だとそれでいいと知らずに生きていたあの頃風が遠くへ種を運...
  • 故郷の風になれ

    故郷の風になれ

    潮風が髪を揺らすおかえりと頬をなでる傷ついた心抱いてただ一人汽車に乗りここに来た恋は燃えたらいつか消えると子供みたいに泣けばきっと涙も乾くだから泣くだけ泣いて今はただ故郷(ふるさと)の風になれキラキラと光る海を海鳥が渡ってゆく変わらない景色たちが穏やかなあの頃を連れてくる人を愛して人を信じて笑って暮らしていた子猫みたい...
  • ほろ苦酒

    ほろ苦酒

    女の胸の 淋しさをお酒でなだめる 裏通りあなたの腕を 振りほどき別れて来ました 私からお酒の苦さが チリチリ沁みるわがまま言って 困らせたあんなに良い人 いないのにこの手の中の やすらぎを離してしまった ばかでした涙のしずくが ホロホロ沁みるあれからひとり また冬が何にもなかった いい事はグラスについた 口紅をふき取る...
  • 命の花道

    命の花道

    渡る世間の 身を切る寒さ弱音吐いたら 苦労が笑う 苦労が笑う夢は夢でも 叶わぬ夢をエンヤコラ ドッコイショ叶えてみせる いつの日か飾る 飾る 命の花を 花道を言葉なくても 目を見りゃ判る惚れりゃ尚更 心が見える 心が見えるあれは祭りの 太鼓の音かエンヤコラ ドッコイショ路地から路地に 鳴り響く続く 続く 命の花が 花道...
  • 大阪つばめ

    大阪つばめ

    雨の降る夜は 人恋しくて夢がぬれます ネオンがしみるとんでゆきたい 抱かれたい大阪つばめ縁を切る橋 つなぐ橋渡りきれない 淀屋橋声をかければ 他人の空似うしろ姿の しあわせばかりあなた逢いたい もう一度大阪つばめたとえかなわぬ 夢でいい両手合わせる 法善寺にごり水でも 青空うつす越えてゆけます あなたがいればふたりとび...
  • 北の果て…

    北の果て…

    暖めて…胸の芯まで 凍えた身体(からだ)ここは最果て 港町宗谷岬の 海鳥が泣くだけ泣けと 諭(さと)すように逢えるはずない あなた あなた あなたを追ってひとり来ました 北の果て…彷徨(さまよ)って…叩く寒さに 頬震わせてここは最果て 稚内想い断ち切る 旅でした忘れるはずの 旅なのに瞼(まぶた)閉じれば あなた あなた...
  • 群青の弦

    群青の弦

    風に流れるヨー 霧の音静寂(しじま)に開く 花の香(か)に心かたむけ 群青の夜に沁(し)み入る 箏の音(ね)は何を偲びて すすり泣く凍るその手にヨー 水をかけ千遍(せんべん)弾(び)きの 荒修行朝は朝星 夜(よ)は夜星(よぼし)母の温(ぬく)みを 胸に抱き意地で弾(はじ)いた なみだ弦(いと)百や二百のヨー 理屈よりひ...
  • 高知 いの町 仁淀川

    高知 いの町 仁淀川

    帰ってきたよ おまえの胸にごめんごめんよ 待たせたね普段(むかし)のままに 「おかえり」なんて言われりゃ「オッス」と うなづけただけもう離さんよ そばにおるよいいね 高知 いの町(ちょう) 仁淀川(によどがわ)こんなに痩せて 小さくなってひとりそれでも 耐えてきたカゲロウよりも 儚(はかな)く薄い土佐和紙(とさわし)生...
  • 桜色のオ・ヴォワ

    桜色のオ・ヴォワ

    サテン纏う夕映えに 誘(いざな)われた 長い影私のタブリエを着て 絵を描くあなたへと今は胸の中で 手を振るのよ恋の花はいま 枯れて オ・ヴォワ桜色に暮れる街 ゆくあてなき まぼろしよ星のみえる丘のもと ほほえんでるあなた今は夢の中で 語らうだけ二人が暮らした 部屋に オ・ヴォワ恋の月はすみれ色 みちびかれた 絵の二人は...
  • 新宿しぐれ

    新宿しぐれ

    ぽつり手のひら 雨しずく それとも涙男と女のにじむ歌舞伎町ひとりでも平気よと 強がり見せてあの日別れた 後ろ影なんで なんで なんで悔やむか想い出がそぼ降る 新宿しぐれ淋しがり屋が 肩寄せて グラスを合わせ今夜もどこかで 恋の花が咲く爪を噛む甘え癖 覚えているさ古いアパート 合鍵もとうに とうに とうにないけど雨音がせ...
  • そのわけは旭川

    そのわけは旭川

    そのわけは…途中下車した そのわけは北の故郷(こきょう)の あの町と 同じ文字綴(つづ)るこの川 旭川(あさひがわ)抱きよせる 人もないけどどこか優しい あゝ岡山…雨も泣いてる 城下町そのわけは…ふたり別れた そのわけはいくら答を 探しても 探しても涙涙で 見えないのしあわせな 愛のくらしはいつか来ますか あゝ岡山…問...
  • 高瀬川慕情

    高瀬川慕情

    鴨川(かも)の流れと 高瀬の桜ふたりで歩いた 木屋町で行き交う人に あなたを重ねひとりたたずむ 古都の町今日も静かに 夜(よ)が更ける心さみしい 高瀬川涙あふれて 流れる川もいつかは本流(もと)へと もどるのにもどるあてない 運命(さだめ)の悲恋(こい)か逢瀬重ねた 古都の町想いつのらせ 夜が更けるひとりぼっちの 高瀬...
  • 道頓堀川

    道頓堀川

    小雨がそぼ降る 道頓堀に涙でともる 恋の灯よあの人が あの人が 呼んでいるような揺れる面影 夜の爪あと今夜も泣かせる ネオン川ちいさなお店で 仔犬とくらす女の過去は きかないで咲いたとて 咲いたとて 浮いて流されるどうせ浮草 夢のもろさよ涙をしずめた 夜の川相合橋から 戎橋往く人来る人 もどる人この川で この川で ひと...
  • 那智の恋滝

    那智の恋滝

    この世にあなたが いないのならば生きる意味など ないのです白い野菊の 花嫁衣裳一人深山(みやま)へ 入ります熊野 龍神 小森谷(こもりだに)身丈(みたけ)に合わぬ恋でも あなた…闇(やみ)も静寂(しじま)も 蛇(じゃ)の道も恐れはしません お万のことを夢であなたが 待つのならお側(そば)にあなたが いないのならば見せる...