• 三木たかし

    「751」
  • 母・子守唄

    母・子守唄

    母ほど強い 人はない子ほどしがない 者はない色恋すてた 女がひとり似たよな男と めぐり逢いふるさと肴に 呑みながらうたう五木の 子守唄啼くな さわぐな 母恋い鴉胸の痛みが 母の声グラスに浮かぶ 面影は春の小川で 洗い髪竹籠しょって タラの芽摘んで門出を祝って 呉れた人あの山 あの川 変わらねど母は冷たい 石の下身を切る...
  • 心の瞳

    心の瞳

    心の瞳で君をみつめれば愛することそれがどんなことだかわかりかけてきた言葉で言えない 胸の暖かさ遠回りをしてた人生だけど君だけがいまでは愛のすべて 時の歩みいつもそばでわかち合えるたとえあしたが 少しづつ見えてきてもそれは 生きてきた足あとがあるからさいつか 若さを失くしても心だけは決して変らない絆で結ばれてる夢のまた夢...
  • 紅の酒

    紅の酒

    襟(えり)の乱れに すべりこむ花は夜桜 春なのにもどれない もどらない身も世も捨てた 恋だから噫(あゝ)…あなたのませてください 紅の酒合(あ)わせ鏡 寝煙草(ねたばこ)の蛍(ほたる)いとしい 闇の中うしろ指 さされてもいのちと決めた ひとだから噫(あゝ)…あなた溺れてください 紅の酒ふたり墜ち行く奈落なら墜ちて行きた...
  • 別れても愛して

    別れても愛して

    雨だれみたいに涙のしずくが心にふりかかる悲しい夜はどうぞあなた逢いに来て何も言わず手をのばしそっとふいてほしいのよ泣きぬれた私の頬無理だと知りつつわがまま言わせておねがい別れても愛してほしい私を私の泣き声聞こえますかあなたを呼んでいるこの声がくやんでいるのよさよならしたことおねがい別れても愛してほしい私を背中が寒くて夜...
  • 三人姉妹

    三人姉妹

    末の妹の秋子も二十才とうに覚えた お酒になじみ上の二人と 似たような道を歩みそうだと 気をもんでますなぜかそろって 男の運が三人姉妹に 裏と出る 裏と出る中の夏子は みかけによらず古い心の 女のようで姉にかくれて 別れたひとと逢っているよで あきらめてますなぜかそろって 男の運が三人姉妹に 裏と出る 裏と出るそして私は...
  • 雨月夜

    雨月夜

    ひとりぼっちと 思うなとこの手に残した 部屋の鍵あなたのこころが 今しみる迷い悩んだ 季節のはてにやっと迎えた 雨月夜男ごころが とけないで手さぐりしていた 長い春日蔭になじんだ 一輪草すぐに日向(ひなた)に 咲けないわけが眉をくもらす 雨月夜いいの? 私で いいのねと追いかけ追いつき 問い返す恋紅ほのかな 薄明りせめ...
  • 時は何も知らずに…

    時は何も知らずに…

    この世に人は生まれ堕ちて あしたはひとり夜露に消えても心の中の想い出たどれば 哀しい別れがあるからせめてお前だけは きっと倖せ苦労なんか 背負わず 暮らせまつ毛濡らし 涙こぼす 横顔いまでも… 忘れない過ぎゆく時は 何も知らずにいるけど流れる雲とどこか似てる わが身を映す 淋しい人生川面に遊ぶ子供の姿に 帰らぬ昨日を探...
  • 硝子の摩天楼

    硝子の摩天楼

    この都会は 硝子の摩天楼人はみんな 悲しみの迷い子追憶をあしたに 塗り変えて生きることの意味さえも 忘れてる眠りなさい 子供のように生れ変わるなんて 出来ないから眠りなさい 時のベットに疲れた身体よこたえて陽が沈む 心の海の中人はみんな 幸福の落し子一秒の過去さえ 置き忘れ愛することそれさえも 傷つける眠りなさい 子供...
  • 傷心

    傷心

    あなたを失くしても きっとひとりで生きれるけれどもうしばらくは誰かと 逢うことさえつらいの誰もいない部屋の 鍵をひとりで回してもあの日の暮しに 戻れはしないふたり愛に傷ついても 心だけは変わらないあなたのぬくもりを憶えてるわ この指さき哀しみはいつも あとからついてくる涙と道づれにあなたの優しさは いつもどこかで罪をつ...
  • カサブランカ・グッバイ

    カサブランカ・グッバイ

    私はいつも あなたに言った別れ話は みっともないわただ黙って カサブランカ置いて行ってね ドアの前カサブランカ・グッバイ別れたい気持ち 白い花にカサブランカ・グッバイしゃべらないのが 大人の別れ俺はタバコに また火をつけてお前の部屋を 見上げて揺れる腕に抱いた カサブランカ置くに置けない 男のずるさカサブランカ・グッバ...
  • 時の流れに身をまかせ

    時の流れに身をまかせ

    (テレサ)もしも あなたと逢えずにいたらわたしは何を してたでしょうか(五木)平凡だけど 誰かを愛し普通の暮らし してたでしょうか(二人)時の流れに 身をまかせあなたの色に 染められ(五木)一度の人生それさえ(テレサ)捨てることもかまわない(二人)だから お願い そばに置いてねいまは あなたしか 愛せない(テレサ)もし...
  • 愛の言葉よりくちづけを

    愛の言葉よりくちづけを

    ブーゲンビリア 咲き乱れてその向こうは 海ばかりそっと肩を 抱いてくれるバンダナが 似合う子若すぎる 十七の黒い瞳が私の心を まどわせる昨日まで耐えてきた 哀しみをどうぞ 忘れさせてねどうして知ってるの 恋の手くだ私にはわかる 可愛いわ笑う声が どこか淋しいメランコリー なのですか君も愛に 傷ついたのね答えなくて いい...
  • 想い出のセンチメンタル・シティ

    想い出のセンチメンタル・シティ

    もうここで別れようとあのひとがいったもう少し歩いてよと私がいったベージュ色した枯れ葉が舞う赤いコートのひとが通るそうね 季節が秋になったのね心細いと思ったらぼくらはあまりに若過ぎただからこんなに傷ついたポツンと話すあのひとに霧が降る 霧が降る センチメンタル・シティイもうここで別れようとあのひとがいったもう少し歩いてよ...
  • 想い出まつり

    想い出まつり

    想い出を火にくべるお祭りがあったなら私はすぐにも行きたいのですたくさんの想い出は私には重過ぎてうつむきかげんに歩いています想い出を一つ燃やせば楽しい日が一日ふえる想い出を二つ燃やせば楽しい日が二日ふえるとどかない恋ばかり悲しみの忘れもの私の心にたまっていますお祭りがいいのですにぎやかがいいのです私は明るくなりたいのです...
  • 木陰でもやもや

    木陰でもやもや

    珈琲をのみながら 見つめてる水平線南へ向う白い船が行く夏の日の昼下り のんびりとあくびして私はひとり 彼を待っているうかうかとしていたら 適齢期が過ぎるこの辺でしっかりとつかまえておかなけりゃ本当にあの彼でいいのだろうか本当にあの彼でいいのだろうか夏の雲みたいなあの彼でアメリカの煙草など 生意気に口にして木陰の椅子でひ...
  • 何が私に起こったか

    何が私に起こったか

    いたずらに煙草をくわえ 夜ふけの窓さびしいよさびしいよと心がわめく夏の夜が微笑み忘れ にわか雨があのひとをぬらしている 背中も胸もお芝居の終りのように カーテンをひいて駈けて行くあのひとの姿をかくす何が私に起こったか 誰も知らないそれでいい それでいい 二人だけのこと口紅を落とした顔は 子供っぽいまいったりまいったりは...
  • パーティの夜

    パーティの夜

    あなたがあの娘(こ)と踊ったら私の心はいたむでしょうお願い あっちへ行かないでおしゃべりだけならいいけれどはじめてあなたに誘われてどきどきしている パーティの夜 夜フリルで飾ったドレス着て私はあなたを見ていますあなたの背中を見ていたらなぜだか不安になるのですどういう話をしてるのか楽しさあふれているようではじめてあなたに...
  • ピクニック

    ピクニック

    もう今年はいい もう子供じゃないすてきな誰かを見つけに来ていい待ちこがれてた この一日を大人の顔で 今出かけるピクニック ピクニック誰もがうきうき ダンスに狂って丘から森へと つれだって行くのおやつは如何がと すすめてくれてもダンスは如何がと 誘ってくれない今年も子供 大人じゃないの緑の丘で 泣きべそかくピクニック ピ...
  • 未完成

    未完成

    男たちの胸はいつも朝の光に揺れる広場夢が去って 歌も消えて深い孤独が満ちるばかり名前までもかくしながら愛の真似ごと重ねたけど限りさえも浅いままでいつも旅立つ女ひとりもっと もっと愛をもっと もっと夢をもっと もっと自由を もっと自由をもっと もっと愛をもっと もっと夢をもっと もっと 心を裸にしたい男たちの腕の中で数え...
  • 愛々時代

    愛々時代

    あなたが何で 悩んでいるか近ごろやっと わかって来たのあなたが何を のぞんでいるかいわれる前に 感じて来たのわたしがあなたに 似て来たのかしら段々言葉がいらなくなるの愛愛愛愛愛愛、愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛あなたとわたしの あなたとわたしのあなたとわたしの 愛々時代このまま行けば しあわせだけど時々胸が 不安になるの今す...