• 三木たかし

    「751」
  • 女房よ…

    女房よ…

    女房よ わしはいまだにおまえの涙 見たことないわわしが上に行くまで大事にふくろへ入れておけよ時の終わるまで 青春や老いることのない この夢や女房よ 夫婦の絆は強いまだくたばらないぞ 俺達女房よ わしは思うわ手綱(たづな)のさばき 見事なもんや誰もいない この世のどこにもおまえを超えるひとは時の終わるまで 青春や老いるこ...
  • 望郷

    望郷

    海なし山なし 空もなし季節を運ぶ 音もなしひとの砂漠の 東京にせめて故郷(こきょう)の 青空を思えば旅先 急ぐ身もあの頃誰も まだ夜汽車同じ空でも なぜ見えぬあの日北斗の 七つ星きらきら輝き 取り戻すわが故郷(ふるさと)へ 帰ろうか帰ろうつくし 故郷(ふるさと)へみどり色濃き あの町へ...
  • 夜桜お七

    夜桜お七

    赤い鼻緒がぷつりと切れたすげてくれる手ありゃしない置いてけ堀をけとばして駆けだす指に血がにじむさくらさくらいつまで待っても来ぬひとと死んだひととは おなじことさくらさくらはな吹雪燃えて燃やした肌より白い花浴びてわたしは 夜桜お七さくらさくら弥生の空にさくらさくらはな吹雪口紅をつけてティツシュをくわえたら涙がぽろりもうひ...
  • 愛傷歌

    愛傷歌

    命がいつか 終るよに別れがくるのね 愛しても思い出だけの 人生はどうして生きれば いいのやら秋が来て 別れの時を知るこれがさだめなら死ぬより 悲しいわ戻ってきてと 呼びかける私の願いの むなしさよコートの襟を 立てながら落葉の向うに 去った人ひとりの部屋に 残された涙はあなたの 贈りもの幸せの季節は どこへやらすがる胸...
  • 思秋期

    思秋期

    足音もなく行き過ぎた季節をひとり見送ってはらはら涙あふれる 私十八無口だけれどあたたかい心を持ったあのひとの別れの言葉抱きしめ やがて十九に心ゆれる秋になって 涙もろい私青春はこわれもの 愛しても傷つき青春は忘れもの 過ぎてから気がつくふとしたことではじめてのくちづけをしたあのひとはごめんといったそれっきり 声もかけな...
  • 凍て鶴

    凍て鶴

    北の酒場で 飲む酒は夢をしぼった 濁(にご)り酒竜が哭(な)くよな 吹雪の先にゃ凍て鶴みたいな 女が見える凍て鶴よ 凍て鶴よ強めの口紅 凍(こご)えた足で降りつむ雪に 立ってるか…遠い夜汽車の 笛の音が胸のすき間を すり抜ける詫びたところで 戻れぬ駅に凍て鶴みたいな あいつが見える凍て鶴よ 凍て鶴よかわりばんこに 凍(...
  • カサブランカ・グッバイ

    カサブランカ・グッバイ

    私はいつも あなたに言った別れ話は みっともないわただ黙って カサブランカ置いて行ってね ドアの前カサブランカ・グッバイ別れたい気持 白い花にカサブランカ・グッバイしゃべらないのが 大人の別れ俺はタバコに また火をつけてお前の部屋を 見上げて揺れる腕に抱いた カサブランカ置くに置けない 男のずるさカサブランカ・グッバイ...
  • つぐない

    つぐない

    窓に西陽があたる部屋はいつもあなたの匂いがするわひとり暮らせば 想い出すから壁の傷も 残したまま おいてゆくわ愛をつぐなえば 別れになるけどこんな女でも 忘れないでね優しすぎたのあなた子供みたいなあなたあすは他人同士になるけれど心残りは あなたのこと少し煙草も ひかえめにして過去に縛られ 暮らすことよりわたしよりも可愛...
  • 彼と…

    彼と…

    たそがれが あの窓におりて来てカーテンをむらさきに そめている坂道の あたりまで出迎えに行こうかと手を休め ふと思う彼と くらしているこの部屋でいつかは泣く日が 来るだろうかカタカタとサンダルを 踏みならしバスが着く時間見て 走り出す街の灯を 肩寄せて見ていたらこの人は何だろうと 感じるの一年が 過ぎたのにまだ彼は誰に...
  • 乙女のワルツ

    乙女のワルツ

    好きといえばいいのに いつもいえぬままに月が上る小道を 泣いて帰った白く咲いてる野の花を つんで願いをかけるどうぞ 愛があなたに とどくようにと好きなひとはいつしか 他のひとをつれて遠い町へ旅立つ 何も知らずに駅のホームのはずれから そっと別れをいってそれで 愛が悲しく消えてしまった小雨降る日はせつなくて ひとり涙を流...
  • 禁じられた恋

    禁じられた恋

    禁じられても 逢いたいの見えない糸に ひかれるの恋はいのちと同じ ただ一つのものだれも二人の愛を こわせないのよあなたに逢いに 夜を越えて駈けてゆきたい 私なのよ禁じられても 胸の炎燃えたつばかり 消えないの恋をすてろと言うの むごい言葉よそれはわたしにとって 死ぬことなのよあなたを求め 闇の中を駆けてゆきたい 私なの...
  • まごころ

    まごころ

    あなたは通りすぎたの私の前を小さな胸のまごごろ知らずに消えたのよ私がはじめて愛した人このままひとりたたずみ野の花になりたい(詩)野の花は風に揺れ愛することも愛することも知らないで咲いているのあなたのあとを追いかけ心がゆくの小さな愛のまごごろそよ風渡るのよ私のよろこび涙にぬれこのままだれも知らない野の花になりたい野の花に...
  • 思秋期

    思秋期

    足音もなく行き過ぎた季節をひとり見送ってはらはら涙あふれる 私十八無口だけれどあたたかい心を持ったあのひとの別れの言葉抱きしめ やがて十九に心ゆれる秋になって 涙もろい私青春はこわれもの 愛しても傷つき青春は忘れもの 過ぎてから気がつくふとしたことではじめてのくちづけをしたあのひとはごめんといったそれきり 声もかけない...
  • シャム猫を抱いて

    シャム猫を抱いて

    ラー ラララ ラーララーラ ラララー ラララーラー ラララ ラーララーラ ラララー ラララー薔薇色の夜は シャム猫を抱きしめて 一人待つのねラー ラララ ラーララーラ ラララー ラララーラ ラーラー ラララ ラーララーラ ラララー ララーラー ラララ ラーララーラ ラララー ラララーラ ラーまだ来ないあなた シャム猫に...
  • あした悪魔になあれ

    あした悪魔になあれ

    今日は可愛い 君でいいからあしたはあしたは悪魔に悪魔に悪魔に悪魔になあれおとなし過ぎる 私がつまらない時にははめをはずせるといいのだけれどとってもそれは出来そうにもないのあなたがじれていることは知ってるけれどくちづけしそうな 顔を私に寄せてあなたは強く抱きしめてささやくの今日は可愛い 君でいいからあしたはあしたは悪魔に...
  • おやすみなさい

    おやすみなさい

    おやすみなさい あなた 好きなひとくちづけだけを そっとおくりますあなたの好きな香り しみこませ私は花になっているのですふれてみて下さい 私にいつかその日が来るのを待っていますもう真夜中をくるりとまわりおやすみなさい あなた 好きなひとおやすみなさい あなた 好きなひと名前を三度呼んでみて下さい私もきっと あなた呼びな...
  • めざめ

    めざめ

    ささやかれ ささやかれどうしていいのか わからないあのひとの あのひとの言葉は私を困らせる高校二年なら 大人のはずだからわかってくれるね とあなたはいうけれど愛しているなんて 余りに恐すぎて真赤なスカートを 思わずひるがえすいじめちゃいやいや 急いじゃいやいや怒っちゃいやいや いやいやさそわれて さそわれてことわる言葉...
  • さくらの花よ 泣きなさい

    さくらの花よ 泣きなさい

    逢いたくて瞼(め)を閉じて この胸の寂しさを人は誰も幼いと きっと笑うだろう心まで嘘をつき また人を傷つけて生きることの恥ずかしさ 自分だけに問えば…さくらの花よ 泣きなさいそんなに誰かが 恋しいならばさくらの花よ 泣きなさい隣でボクも 泣いてあげるからこの慕(おも)い秘めたまま さよならが出来るなら時はすべて灰色に ...
  • 約束

    約束

    わたしが死んでも 悲しまないでそうよ楽しい 人生だったから笑い話よ 遠い昔は歌手になろうと 夢見たこともある時は素敵よ 愛の絆であなたたちと 結ばれている約束してね お別れしてもそばで悲しい歌は 唄わないでねわたしが死んだら 雲になるのよいつもどこかで 見つめていてあげる寂しくなったら みんなでお酒を綺麗だったと 冗談...
  • 想いで迷子

    想いで迷子

    愛に溺れて あなたに疲れ生きることにも ため息ついてひとり口紅 ふきとるだけの生き方だけなら 淋しいこんな夜には 少しお酒で泪の相手しましょうそして ぬけがらパジャマあなたの代わりに時は明日を 連れてくるけど過去のどこかで 迷子になってる夢の続きを 誰かに見ても若くないから 明日が恐い綺麗ごとなら 愛するだけで本当は何...