• 長渕剛

    「204」
  • お釈迦さま

    お釈迦さま

    他人の迷惑かえりみず転がり込んできた生腐ぼうずどたばた便所のドアを開けいきなり鏡の前に突っ立った鏡のぼうずは口をおっ広げふくれた歯ぐきに虫ピン突き刺し難行苦行、浮き世に疲れたとしょんべんたらしながら お経おっ始めた釈迦 釈迦 Oh! 釈迦さま好きが極楽、嫌いが地獄釈迦 釈迦 Oh! 釈迦さまへたな説法 数打ちゃ当たると...
  • オホーツクの海

    オホーツクの海

    「一晩中、泣き続けた車の中ひとりぼっちで急にあなたが私のそばからどこか遠い所へ行ってしまいそうあなたの声聞きたくて淋しさにこれ以上耐えきれないあの時私の心、あなたに置いてきただけどやっぱりあなたの生き方に追いつけない」からっ風が吹いている荒れ狂う真冬の海俺は今、遙か北、オホーツクの海に在る容赦無くうねり砕け散る流氷がゴ...
  • 俺たちの心にジングルベル

    俺たちの心にジングルベル

    むかし、むかし、その昔俺たちにゃ サンタクロースがいた降り積もる雪の中赤い靴はき、でっかい袋下げてメリーメリーメリーメリーX'mas 君の為にメリーメリーメリーメリーX'mas ブリキのおもちゃ夢にまで見たゼンマイじかけの蒸気機関車俺の枕元にそっと置いてってくれたトナカイにまたがり 走ってやって来る遙か遠い 北の国から...
  • くちづけ

    くちづけ

    真実の裏側でむごたらしく焼き捨てられ愛が御仏の前で密やかに 忌まわしく我、情念の炎に死なん孤独気(さびしげ)に眠りに落ちてもすがた哀れみ 命を落としても私の正義は愛の河川(かわ)をすさまじく流れ今、女神の子宮に宿る猛りよどめく幾千万の星駆け巡る銀河の下決して勝ち誇りそびえ立つ邪悪に恐れてはいけない全て私から何もかも奪っ...
  • 猿一匹、唄えば侍

    猿一匹、唄えば侍

    平和な暮らしにゃ男が見当たらねぇ我が子可愛いや守る為にと 女もくどけねぇ糸切り歯がグラグラで ビールの栓も噛じれねぇ小さな島国この日本から男がいなくなる人間様よ、優しい ひとひらの落ち葉の為に向い風に、命捨て 戦う誇り高き男であれ!猿一匹、唄えば侍 猿一匹、唄えば侍猿一匹、唄えば侍 猿一匹、唄えば侍私という愚かな生物は...
  • でんでん虫

    でんでん虫

    ショートホープをくるりとよじり左親指、爪の上三、四回吸い口をたたき何が何でもマッチで火をつけたあの頃すがる女がいじらしくやんちゃな夜にゃいたずらな花咲かせたつるんだ男のふくみ笑いが今日も窓打つ雨の向こう悪党!与太者!ろくでなし!とののしられてたお前までが下手な優しさにしなだれかかるから馬鹿面になっちまう死ぬ腹決めて殴り...
  • どつぼにはまってどっぴんしゃ!!

    どつぼにはまってどっぴんしゃ!!

    「どうしてそこまで俺の為に痛み苦しみ、のたうちまわるのか」と貴様が言うから『買いかぶりだぜ、調子にのるなよ』と胸ぐらつかめばひるみやがったから信じるに及ばず腐り切ったふぬけな顔でケジメも知らねえからマジメをあざけ笑うあゝ のっぴきならねぇ半端者にっちもさっちも袋小路でぬけられねぇどつぼにはまったまんま チューチュー泣い...
  • 上を向いて歩こう

    上を向いて歩こう

    上を向いて歩こう涙がこぼれないように思い出す 春の日一人ぽっちの夜上を向いて歩こうにじんだ星をかぞえて思い出す 夏の日一人ぽっちの夜幸せは雲の上に幸せは空の上に上を向いて歩こう涙がこぼれないように泣きながら歩く一人ぽっちの夜思い出す 秋の日一人ぽっちの夜悲しみは星のかげに悲しみは月のかげに上を向いて歩こう涙がこぼれない...
  • Da! Da! Da!

    Da! Da! Da!

    テーブルに 一枚の書き置きをしてきたんだ重たい荷をしょって この街を出て行くんだ君のやさしさ とても苦しすぎた何にもしてあげられない 自分がくやしすぎたよ 一人の男としてつらすぎたよ 一人の男としてだから今度 君の目の前に現われる時はついて来いよと 胸をはるつもりでいるんだ愛しすぎて ほんの少しの間も離れられない 毎日...
  • 英二

    英二

    くそまみれの公衆便所鼻をつんざくアンモニアジッパーおろし、たれ流しゃ真っ赤な血のしょんべんこびりついた 不良少年の落書きひきちぎられたエロ雑誌丸めこまれた 黄ばんだちり紙そろそろ腹わた 煮えくり返る叩き割った鏡に うすら寒い俺の面ぐらんぐらんの糸きり歯引っこ抜こうか どうしようか外はどしゃぶり英二 こみあげるぜ英二 飲...
  • 金色に輝け50年 ~師、西村公朝先生に捧ぐ~

    金色に輝け50年 ~師、西村公朝先生に捧ぐ~

    そうだ、そんな事もあったっけお前に初めて会った時お前の顔より先に私が見たのはあの畳の上に揃えた両手だった白くて細くて美しい指だったそれはしなやかでどこまでも静かだったその時私は心ひそかに決めたこの女性(ひと)と絶対結婚しようとあれから50年たち懸命に私は貧しい愚痴をたたいたそれでも貴女はいともつつましやかに優しく私を見...
  • しあわせの小さな庭

    しあわせの小さな庭

    気の病に犯された夢遊病者のように幾日も四畳半に閉じこもりっぱなし引きちぎった電話線をてめえの首に巻きつけ『死にてえ』などとお茶目にかわいぶってみたやっと手に入れた“花の東京”200坪の土地適当な家をおっ建てた隔離されてる俺の部屋の窓からみごとな咲きっぷりの赤と白の花々たちひと群れの太い木々たちが織りなす花々は黙ったまん...
  • しゃぼん玉

    しゃぼん玉

    ひりひりと傷口にしみて 眠れなかったよ泣きっ面にしょんべん ひっかけられた夜薄情な男だと 夜を 一枚ひんめくりゃぐずぐずしてちゃいけねえと 照れずに 思えたつまらぬこだわりは 身を縮めるだけだったほんの一瞬でも お前を愛せてよかった枯れ果ててしまっても 温もりだけは残ったよ妙に悲しくて いさぎよくて本当に気持ちよかった...
  • 俺の太陽

    俺の太陽

    みょうに小利口な奴を 見ると腹が立ち口にできねえもどかしさを わかってくれともの言えぬ 悲しみをずっと 信じてきた喉の奥がかゆくなるような かけひきに Bye-Bye世の中 おもしろくねえ 事ばっかりで筋の通らねえ 事ばっかりが 太々しく人ゴミから のがれ ようやく弱音を吐けば喉元のリンパ腺がきまってぶっ潰れたホテルの...
  • JAPAN

    JAPAN

    Oh Japan! Where are you going?Oh Japan! What are you doing?俺たち この先どこへ 流れて行くんだろうOh Japan! Where are you going?Oh Japan! What are you doing?貫き通す意地の 壊れたこの国で強い者と 戦う...
  • 浦安の黒ちゃん

    浦安の黒ちゃん

    「近頃何だかお前 元気ねえみてえだな」と忘れかけてたころに 電話がなる「何かいい事ねえか」と「身震いするような女に会いに街へ出よう」と俺が言うと買ったばかりのジープで湾岸道路飛ばし浦安の黒ちゃんはやってくるとりあえずお前の家へ今からすぐ行くから大阪行きのチケット摂ってくれと言う赤い靴下をいつものぞかせて「つまんねえ映画...
  • カラス

    カラス

    執念深い 貧乏症が 情ねえほどしみついてるボロ着を丸めた 枕で眠った Ah真っ黄色に錆びついたカミソリを 畳に突き刺し「夢」と書いてよじれるほど笑った Ah黒いカラスよ お前は寂しくはないか銭だ銭だと損か得かで日が暮れてゆく俺達は都会に群れをなすカラスだわけもないのに夕焼け見るとまた泣けてくる露骨に人間を信じたら足の裏...
  • 電信柱にひっかけた夢

    電信柱にひっかけた夢

    実に寒い夜だった貨物列車の通りすぎる音がしたこれが最後と腹に決め26のたくらみから足を洗った新聞配達の自転車の音がした酒の飲めない俺は 食パンをかじった錆びた10円玉をひっくりかえし「ついてねえや」とやぶにらみした 明け方の東京生き恥をさらしても裏街道はまっぴらさゴメンヨと詫びをいれお前住む街へひっかえす東中野の駅前に...
  • 友達がいなくなっちゃった

    友達がいなくなっちゃった

    学校帰りの屋根裏部屋で 俺達は酒を持ち込みハイライトを吸っていたにきび面を くしゃくしゃにしかめながら将来の夢を朝が来るまで語ったあれから一つまばたきをしただけで16年ぶりに俺達は屋根裏部屋に集まった話す事といえば ゴルフと銭と出世話 そして昔の唄ばっかりを朝まで唄った俺は何となくやりきれない想いでタバコを焦がした明日...
  • 流れもの

    流れもの

    調子っぱずれの都会の路地裏で飲んだくれた帰りにしこたま吐いたいんちきまがいの臭い男の屁理屈にへどが出るほど不愉快な夜だった真っ赤にただれきった今どきの露骨な男のやさしさ芝居にゃついてゆけねえにつまった一日を下手くそなカラオケですすり泣くように唄われるのはゴメンだイラつく世間におさまりがつかず舗道につばを吐きケンカをふっ...