• 北島三郎

    「202」
  • 今を行く

    今を行く

    馬鹿な強がり 突っぱりだけじゃ渡れないのさ 世の中は海に突き出た 岩でさえ波に打たれりゃ 丸くなる負けてたまるか誠(まこと)一途に 今を行(ゆ)く人の生き様 違いはあるが燃える思いは みな同じすねて世間を 狭くすりゃ風に吹かれて 飛ばされる廻り道でも 心(こころ)焦らず 俺は行(ゆ)く右か左か 迷いの時は意地と度胸で ...
  • 男の勝負

    男の勝負

    先も見えない 今の世に迷うばかりと 人は云う運や倖せ 待ってちゃ来ないやれば出来るさ 死ぬ気になればこれが男の 人生勝負泥に汚れて 踏まれても目指す心は 変わらない人に頼れば 振り落とされる夢は自分で 掴まえなけりゃこれが男の 人生勝負たとえ小さな 願いでも我慢ばかりじゃ 進めない熱い血潮は 運命(さだめ)と共に明日(...
  • 風の小僧

    風の小僧

    北の大地を 我がもの顔で風の小僧が 吠えている根雪かぶった その下で春の芽吹きを 待っている何時かかならず 世の中の人目引くよな 花に成る山に若葉の 顔出す頃は風の小僧が ほほなでて寒さ過ぎれば うれしさに唄い出すのさ うぐいすもめげず進めば 誰だってきっと芽の出る 時が来る夏の陽射しに 汗かきながら風の小僧が 去って...
  • 人生に乾杯

    人生に乾杯

    どしゃ降りの 雨ん中ずぶぬれに 濡れながら口惜(くや)しさに 立ち呑みの 冷酒(ひやざけ)に憂さをはらしてがむしゃらに がんばったおれたちの人生に あぁ乾杯志(こころざし) ふところに荒波を 越えて来た若さゆえ 失敗(しくじり)も あったけど希望(のぞみ)すてないで踏ん張って 生きてきたおれたちの青春に あぁ乾杯桜咲く...
  • 今日より明日へ… おれの道

    今日より明日へ… おれの道

    笑われて 教えられたたかれて あぁ強くなる雨風(あめかぜ) 嵐の 苦労道いばら道 耐えながら涙で磨(みが)く 俺の道ひとすじの 決めた道ただ一途(いちず) あぁ今日も行くどこかで誰かに 助けられ守られて 支えられ恩と情けの 人の道冬越せば 春近し夜(よ)は明(あ)ける あぁ陽は昇るつまずきゃ何度も 起き上がりこの命 赤...
  • おしどり峠…

    おしどり峠…

    胸突(むなつ)き八丁の 浮き世の坂をよくぞここまで 登って来たなおまえの汗と おいらの汗と二人一緒の おしどり峠あの花この花 心の中に咲かせた花の 数(かず)いくつ六畳一間(ひとま)が 最初の一歩遅い帰りを 待っててくれたおまえがいるさ おいらがいるさ長い道のり おしどり峠あの時この時 涙の時も優しい心は この胸に何に...
  • 御陣乗太鼓

    御陣乗太鼓

    叩く太鼓が 大地を揺すりバチが激しく 舞踊る能登の御陣乗 自慢の音が寄せる波間に 轟(とどろき)き渡る巻いたサラシに 吹き出す汗はこれが男の 夢しずく惚れた腫れたも たまにはいいさ涙拭くのも それもいい男だったら くよくよするな粋な啖呵も 伊達ではないさ見せてやるんだ 心の叫び燃える篝火(かがりび) 赤々と男一代 命を...
  • 男の季節

    男の季節

    山背(やませ)が吼(ほ)えれば いきなり風吹(ふぶき)ひと荒れきそうな 空模様沖はこれから 男の季節肚(はら)をくくって 漁場に挑む鴎(かもめ) 仲間の 船はゆくあれこれ気をもむ 可愛いあいつ必ず届ける 幸せをそんな約束 忘れはしない待っていてくれ 辛いだろうが明日はお前に 大漁節飛沫(しぶき)を飛ばして 暴れる海にゴ...
  • 河岸の石松

    「ほうら 皆んな どいた どいた どいた どいた河岸の石松さんのお通りだいときたもんだ ハハハ……サァ どいた どいた どいた どいた」お天道さまより 早起きでちょいと一杯 おもわず二杯そいつはガソリンさ 石松はねじり鉢巻 勇み肌鉄火場育ちも 旅ゆけば酒と女の 二刀流そいつはいけねえぜ 石松は度胸愛嬌 日本晴れ東京娘が...
  • 青雲五人男

    青雲五人男

    君がやるなら 俺もやる俺が泣くときゃ 君も泣く生まれ故郷は ちがっても変らぬ男の 友情はその手に夜明けの 旗が鳴る風よよく聞け 恋ゆえにながす涙は いいものさ花は散るもの 散る時は文明開化に 酔いしれて散るよりまことの 恋に散れ一人一人の 道なれど果ては理想の 雲の峰泣くなくちびる 若き日の喜び悲しみ ふみしめて男のほ...
  • 笑顔の花

    笑顔の花

    花には水を あげるよに人には愛を 届けたいつらい時こそ 励ましあって明日(あす)を信じて 輪になれば生きるちからの 花が咲く大和の国の 美しさ忘れちゃいない 人々は海の青さや 田畑のみどり支えあったら ふるさとはきっと帰るさ この胸に笑顔の花が 咲くようにみんなで歩く この道をひとりひとりが 心を合わせ太い絆の 綱打て...
  • 会津の女

    会津の女

    若さで出会えた 恋もあり若さで別れた 恋もある昔しのんで ふり向けば星もうるんで 風も泣きさだめ恨んだ 鶴ヶ城あゝ 会津の女(おんな)は 面影のひと会えない女(ひと)だと 知りながら会いたい気持ちも また一分(いちぶ)ゆれる湯けむり 東山肌のぬくもり 手に残る未練流した 湯川橋あゝ 会津の女(おんな)は 面影のひと届い...
  • 人道

    人道

    義理だ恩だは 古いと笑うそういうおまえはひとりで暮らしてきたのかい世の中は持ちつ持たれつ 生かされ生きるはずしちゃならない 人の道花が咲くには 助けがいるさ雨土陽ざしと天地の恵みがあればこそ人もまた愛と誠実(まこと)で大きく育つやさしさ忘れぬ 人の道受けたご恩は 世間に返す日本人なら変わらぬ道理さ昔から人生はこころ通わ...
  • おとこ節

    おとこ節

    ぐいと大空 つかんで背負いこの冬越せば 陽は昇る時代(とき)の狭間で 見たものを黙って抱えて 生きてきた男の皺(しわ)さ 傷痕(きずあと)さ雨に嵐に 堪(こら)える枝も生きる証の 根の強さ胸を引き裂く くるしみを腹に隠して 咲かすのは男の夢だ まごころだいつも思いは この世の為に何も語らず やり遂げる ひとつ命を 授か...
  • ギター船

    ギター船

    ギターひこうよ 月のデッキでギターひこうよあのひとが すきだったふるい 恋の唄爪びけば 波のうねりがゆすりだす あつい涙よギターひこうよ 影をだきしめそっとひこうよ妹の ようだった白い きみが頬いまごろは 汽車の窓辺でゆれながら 海をみてやらギターひこうよ ランプぬらして星は流れるあのひとに 云えなくて胸に だいてきた...
  • 勘太郎笠

    勘太郎笠

    伊那を背にして 天竜下りゃやくざ渡世の しぶきがかかる義理だ意地だの その裏でかくす合羽の しのび発ち先も見えない 先も見えない 急ぎ足笠にしぐれて 枯葉も泣いて胸にわが子の 笑顔が浮かぶ表通りを はじかれて行けば谷間の 岩かげに命やすらぐ 命やすらぐ 水の音月もかくれた 峠の宿場明日はいずこの いずこの空か思い叶わぬ...
  • 里恋がらす

    里恋がらす

    帰る故郷は 伊那の里しかと刻んだ 胸のうち惚れた女房の 契りの糸は決して切るまい 解(ほど)くまい白刃くぐって 白刃くぐって ひとり旅風の吹きよで 花も咲き渡る雁(かりがね) 呼ぶしぐれ明日の運命(さだめ)を この身にかけるこんな渡世も 生きる術結ぶ草鞋(わらじ)の 結ぶ草鞋の 峠道二年三年 わかれ霜ほつれ合羽の 肌寒...
  • 男橋

    男橋

    時代(とき)よこの道 架け橋は人はきずなで わたるのさたとえ小さな 情けでも忘れちゃならない この恩は担いで行け行け あ…ここは男橋生きる裏には 涙あり苦労刻んで 明け暮れるその場しのいで 終わろうとここで逃げたら 明日はない我慢するする あ…ここは男橋決めた心を ひとすじにおとこ命の 通り道泥に汚れて 踏まれてもそれ...
  • おまえのことが…

    おまえのことが…

    ひとつ男は 生き抜くために腰をかがめて 頭を下げて明日の米も 拾わにゃならぬ夢のためなら 他人の目など捨てて己に 勝たねばならぬひとつ男は 泣いてはならぬ針の山でも 地獄の坂も登ればそこで 大きくなれるもしも泣くなら お前のために尽くす女に 涙を渡せひとつおまえは 情けを学べ偉くなるより 誰かのためにこころをくだく 奴...
  • 女がひとり

    女がひとり

    貴女を死ぬ程 愛したことは今でも本当に 幸せでした季節(とき)は流れて 十年過ぎた辛かった 辛かった 女がひとり仮の塒(ねぐら)は 雨ばかり貴女を一度は 怨みもしたがやっぱり切れない 未練の心寒い北風 吹く今頃は辛いのよ 辛いのよ 女がひとり胸の傷(いた)みに すきま風貴女と暮らして はじめて知った人の情の 気高(けだ...