• 北島三郎

    「202」
  • 帰ろかな

    帰ろかな

    淋しくて言うんじゃないが帰ろかな 帰ろかな故郷(くに)のおふくろ 便りじゃ元気だけど気になる やっぱり親子帰ろかな 帰るのよそうかな恋しくて言うんじゃないが帰ろかな 帰ろかな村のあの娘は 数えて十九そぞろ気になる やっぱりほの字帰ろかな 帰るのよそうかな嬉しくて言うんじゃないが帰ろかな 帰ろかなやればやれそな東京暮し嫁...
  • 北の男船

    北の男船

    疾風(かぜ)に煽(あお)られ みぞれが吹雪(ゆき)に海もどうやら 時化模様怒濤(なみ)の頭突きを 度胸で捌き勇む船足 千島の沖へ男勝負のア ドッコイ やん衆船さ生きて行くには ここしかないと意地をぶちこむ 北漁場可愛い娘と 女房の写真守札(まもり)代わりに 晒に巻いて網に追い込むア ドッコイ やん衆船さ錆びたデッキに ...
  • 命

    かるく見るなよ 命の重さ誰も秤に かけられぬ切れば真っ赤な 血の出る躰それが命と 云うものさバカにするやつぁ アー 罰あたり人はそれぞれ 命の色はみんな違うさ 死にざまも生きるのぞみを 失した時はせめて命に 酒の水惚れた女と アー 注げばいい悔いを残すな 命の道は 先も見えなきゃ 後もない人と生れて 情をうけて生きた命...
  • 俺の道

    俺の道

    笑われて 教えられたたかれて あぁ強くなる雨風 嵐の 苦労道いばら道 耐えながら涙で磨く 俺の道ひとすじの 決めた道ただ一途 あぁ今日も行くどこかで誰かに 助けられ守られて 支えられ恩と情けの 人の道冬越せば 春近し夜は明ける あぁ陽は昇るつまずきゃ何度も 起き上がりこの命 赤々と歩いて行こう 俺の道...
  • 父親(おやじ)

    父親(おやじ)

    おやじと云う山 でっかい山だ恩の山々 子は越えられぬ吹雪の港で 握手したぶ厚い手の平 苦労の証元気でやれよと あの目に涙おやじ おやじ…優しさ ありがとうおやじの郵便 消印見ては遠い故里 浮かべていたよあしたが見えなく なったなら夢でも燃やせと あばれた文字を読んだらいつでも 力が湧いたおやじ おやじ…勇気を ありがと...
  • 寒流

    寒流

    涙さえ 凍る北の海に住みなれた 男のさよならは 冷めたいあの女(こ)には すまないが親子三代の骨をうずめる納沙布は 納沙布は俺の ゆりかごあのひとの 長い髪をつつむ水色の 角巻だきしめて 別れたあの日から ひとつずつ消した カレンダーの赤い インクは逢いたさの 逢いたさの熱い 炎よアザラシの 群れが啼いて暮れる流氷の ...
  • 次郎長笠

    次郎長笠

    富士を背にした 東海渡世清水港は 男で明ける向こう行くのは 次郎長どんか義理と人情 道連れに今日も前向け 三度笠意地を通した 男の背に泣いて見送る 情けが重い儘にならない 浮世の風に恋も未練も 振り捨てて抱いて長脇差 今日も行く縞のカッパに 桜の吹雪男伊達なら 二十と八つ惚れて預けた 命じゃないか守り抜きたい 夢みこし...
  • 感謝

    感謝

    目をとじて ふり返るはるか来た道 遠い道四角い顔した 友がいるさがり眉毛の 君がいるみんなで俺を かついでくれたあの顔あの声 あの手の温もりありがとう友よ 忘れはしないよろこびも かなしみもともに分けあう 夫婦道一生あずけた 俺がいて側でうなずく 君がいて苦労を花に 咲かせてくれた口には出さぬが わかっておくれよありが...
  • 男の情炎

    男の情炎

    意気に感ずも 情けに死ぬもままよ男が 決めた道うき世裏店(うらだな) 埋もれちゃいても明日(あす)を夢みて燃えるこころが 消されよか拳(こぶし)ふりあげ 蛮声あげて国を論ずも 若さ故たかが五尺の 体じゃあるが胸にゃあふれる熱い涙も 恋もある義理を通して 情けをすててひとり茶碗の 酒をくむ恋とのぞみの 両手に花をおれもこ...
  • 男の精神

    男の精神

    いつの時代も いつの世も国は人だよ 人は国誰かが耐えて 幕を開け誰かが忍んで 幕を引く男の精神(こころ) 凛として国を支える 人づくりその場凌(しの)ぎで いいならば我慢しろとは 云わないさ分かって欲しい この心分かってくれた その笑顔男の精神 凛として夢を咲かせる 人づくり風の向こうで 今もまた風が生まれて いるだろ...
  • 輝

    先を急いで歩いても道は険しく果てしない望む思いが多いほど両手にあまる物ばかり生きているなら それなりに生きてゆくなら 力の限り風に向かって 人はゆく何も見えない景色でも雲が晴れれば暖かい覚えた胸の切なさが人に情けを灯すから生きているなら 振り向かず生きてゆくなら 想いの限り明日を信じて 夢は咲く生きているから 輝いて生...
  • 雨だれぽったん

    雨だれぽったん

    雨だれぽったん 見ているとあの娘の顔が つぎつぎに浮かんで消えて 落ちてゆく雨だれぽったん 真珠いろ僕の目からも ぽったんこ雨だれぽったん 掌にうけて落葉の窓の ガラス戸に思いのかぎり 書く手紙雨だれぽったん 日暮れどき胸の痛みに ぽったんこ雨だれぽったん うた歌い思い出の夢 一つずつ歌って遠く 消えてゆく雨だれぽった...
  • 亜矢子の唄

    亜矢子の唄

    おもいでの街 さまよいながら夜霧に叫ぶ 男のこゝろ亜矢子 亜矢子ほんとの 僕は亜矢子 亜矢子君がほしかった別れるために 恋するものかわかっておくれ 男の涙亜矢子 亜矢子ほんとの 僕は亜矢子 亜矢子君がほしかったおもかげ遠い 夜霧のかなたいまなお炎える 男のいのち亜矢子 亜矢子ほんとの 僕は亜矢子 亜矢子君がほしかった...
  • 一騎打

    一騎打

    あいつが相手じゃ 負けたくないがよしや負けても 拍手はおくる五分と五分とで 火花を散らすそんな奴には アーまだ会えぬ惚れた女も 居るには居たが見ての通りで 泣かせた切れたあってないよな 男の明日ついて来いとは アー言えなんだ二つに一つの 筋道踏んで最後の一人は 二人で決める行くぜよかろう 運命(さだめ)の星が冴える晩だ...
  • 男

    新しいもの すぐ古くなる義理も人情も お笑い草か昔ながらの 白壁越しに今日も泣いてる 糸川柳母のやさしさ 親父の強さ併せ輝く 富嶽の姿道に迷えば 初心に帰り山を仰いで 自分をさとす背に両親 腕に妻子攻めて守って 火の粉を浴びる温故知新を 表にかかげ真一文字に 男はすすむ...
  • 男の灯り

    男の灯り

    紺の暖簾を 片手で分けて声も明るく 今晩は辛いけれども 泣き顔見せちゃ生きて行けない 露地ばかり名刺がわりに 一曲うたや客もあの娘も 唄いだす人は誰でも 淋しい時は酒と歌とで 憂さ晴らし街の流しで 一生終るそんな弱気は さらにないギターわかるか 男の灯り明日を信じて 燃やすのさ...
  • 加賀かっちり

    加賀かっちり

    ハァーおいで祭りに 竹割り祭りわしがお国は 祭ずきそれもそうだろ 百万石の加賀の殿ごの おひざもとソレ カッチリ カッチリ ドドンのドンハァー春は桜の 兼六園へさあさ きたさと 手取川沢を舞い立つ あの白鳥の爪の紅さえ 目にしみるソレ カッチリ カッチリ ドドンのドンハァー加賀は湯どころ 美人の出どこお酒どころで 詩(...
  • 風の追分

    風の追分

    生きてる海へと 舟を出し死んだ恋など 捨てなされ東京育ちにゃ なおさらに吠える海鳴り 聞きなされ風はこころの 古傷(きず)を消しながら風の追分 おとこの子守唄凍った過去(むかし)が 解けるまでもっと自分を 鞭(う)ちなされ囲炉裏のぬくみが わかるまで少しお酒を 飲みなされ風は重たい 涙ころがして風の追分 おとこを泣かす...
  • からすとゆりの花

    からすとゆりの花

    背広の襟には ユリの花せなかにかついだ 青い空離しておくれよ その指をかわいいおまえの しあわせをさがしにゆくんだ この俺はハァーお嫁に アーいかずに 待ってなよあの娘(こ)は谷間の 白百合さおいらは気ままな 旅がらすかんべんしろよと 声かけたお山の向うの ひとつ星きらりとひかって うなずいたハァーおもわず アーほろり...
  • 木津川

    木津川

    年月を数えるの やめました過ぎた日が この胸に痛いから妹は倖せにあの人は倖せに してるかな木津川の流れの あの日のように(木津の難波の橋の下橋の下には 鴎が居るよ)郷里の やさしさも 気付かずにあの頃は 夢だけを追っていた暖かさいつまでもあの人がうちのこと 忘れても木津川の流れは 忘れはしない(鴎取りたや 網欲しや網が...