• 北島三郎

    「202」
  • 石狩川よ

    石狩川よ

    酒の代りに 川を呑み飯の代りに 草をたべ荒地をみどりの 大地に変えた斧のひびきが 雄叫(おたけ)びがいまもきこえる 石狩川よ汗が答えを 出すとゆう夢を信じて 耐え抜いた馬鈴薯畑(ばれいしょばたけ)に 花咲く頃はここが故郷と 胸を張る孫はどさん子 石狩平野何も訊(き)かずに ついてきた母も女房も 強かった男を支えて 女が...
  • 海はいま

    海はいま

    叫んでごらんよ 思いのたけを oh海は叶えて くれるから遠く果てない 水平線の彼方へ夢を 翔ばそうよおーい海 おーい海青く深く広く 希望を育む海から始まり 海へと帰る海の国だよ ふるさとは人もイルカも 海鳥たちもこの海なしに 生きられぬおーい海 おーい海青く深く広く 明日を育む人もイルカも 海鳥たちもこの海なしに 生き...
  • 男一代

    男一代

    神が俺(おい)らに 与えてくれた命と言う名の 預かりものを護り通して 生き抜くからは人に優しく 情けにあつく男一代 燃えてやる苦労かけるが 許して欲しい今更どうなる 後へは引けぬ進むばかりが 道ではないが山より高く 海より深く男一代 燃えてやる時世時節(ときよじせつ)が 変りはしても誠の一文字 こころに抱いて決めた道な...
  • 狼

    牙のない奴ぁ 男じゃないと燃やすこころは 狼だった夢に喰いつき 投げ飛ばされて今日は負け 明日は勝つとからだで知った 命のおもさ傷のいたみが 道標(みちしるべ)ひとの情けに 救われながらいらぬお世話と 云う奴がいる馬鹿を笑って 利口が目立つこんな世を さ迷い歩く狼だけに 降るなみだ雨濡れりゃぬくもる 灯が欲しい一つ命を...
  • 清き流れ

    清き流れ

    はるかより はるかへつづく歳月を重ねて 二千年嵐の夜も また朝もわれらを守り われらを愛し清く流れる 五十鈴の川よおごそかに みそぎを払い神に近づく 国民は宇治橋渡り 晴れやかな笑顔をつれて 戻ってくるよ白い鳩舞う 古代の森を雅楽鳴る 勾玉池(まがたまいけ)は伊勢を讃えて 光る風日本の母が また父が誠を秘めた 玉砂利(...
  • 風の峠

    風の峠

    峠ひとつが なぜ越えられぬ越えりゃ故郷と 知りながら捨てて三年 忘りょとしても忘れられない 顔ひとつ嫁に行ったか もう母親か風がむかしの うたになる変らないのは 一本杉よ風の峠に ひとり立つ胸に大事に しまっておいた夢はこのまま 抱いて行こう峠ひとつが また越せないでもどる背なかに 寒い風...
  • 男の友情

    男の友情

    昨夜(ゆうべ)も君の 夢見たよなんの変りも ないだろね東京恋しや 行けぬ身は背のびして見る 遠い空段々畑の ぐみの実もあの日のまゝに うるんだぜ流れる雲は ちぎれてもいつも変らぬ 友情に東京恋しや 逢いたくて風に切れ切れ 友の名を淋しく呼んだら 泣けて来た黄昏赤い 丘の径田舎の駅で 君の手をぐっとにぎった あの温み東京...
  • 一

    一という字は 男の心真一文字で 一直線天を指さし 大地をふまえ力強さは 誰にも負けぬ俺は真っすぐ 一で行く一という字は ぶっきらぼうだ惚れたはれたにゃ 縁がない風に逆らい 一心不乱口を結んで 四の五の言わずでんと構えた 一で行く一という字は 左右をおさえ上だ下だと 騒がない敵がありゃこそ やるぞと燃えて明日へ一筋 男の...
  • 宴

    あかね雲 ちぎれ雲あの山越えて 何を見たあの川越えて 何を見た恋 故に 頬染めて愛 故に 涙する人の世の いとなみはひとときの 夢遊び宴に始まり 宴に終わるいとおしき 熱き血潮よ風 故に さまよいて星 故に 佇ち止まる独り立つ さくら木に咲きし夢 散りし夢宴に始まり 宴に終わるさかずきの 淡き花びら友 故に 今日を生き...
  • 男の劇場

    男の劇場

    正しい者が 勝たいでなるかそれがこの世の 真理じゃないか忍の一文字に 望みをかけてじっと出を待つ 来島瀬戸の渦も知ってる 男のロマンできないがまん するのががまん怨みつらみの 百万言は腹に収めて にっこり笑うがまん男の がまんの前に壁は崩れる 氷もとける自分の身なりに かまっちゃおれぬ後はたのむぞ 可愛い女房俺は大将 ...
  • 男飛車

    男飛車

    何かあったら すぐ飛んでくぜそれが自慢の 男飛車俺がやらなきゃ 誰がやる 誰がやる時代おくれと 笑われようが道理を外さぬ 男でいたいあとの祭りじゃ 洒落にもならぬ目から火を吹く 王手飛車せくな嘆くな 男なら 男ならあの手この手に 奥の手胸に悔いを残さぬ 男でいたい俺が動けば 世間が変わる行くぜ縦横 十字飛車どうせ勝負は...
  • 男道

    男道

    どこから吹いてくる 葵の風が弱音はいたら負けと背中にからみつくじんと じんと じんとじんじと 沁みてあゝ 人道無限 男道どこかで泣いている 情けの花が咲いていてくれまんま未練の雨ん中じんと じんと じんとじんじと 辛いあゝ 人道無限 男道どこかで吠えてやる 葵のうたを燃やせ命の限り真実の道をゆくじんと じんと じんとじ...
  • おやじの背中

    おやじの背中

    親の意見と 冷や酒は飲んだあとから きくものさ「なあ息子よ 男ってやつは 男ってやつはなぁ…」あとの言葉を のみ込んだまま酒とつぶやく おやじの背中夫婦 絆は 綱引きさ少し弱めで うまくゆく「なあ息子よ 女ってやつは 女ってやつはなぁ…」苦労背負わせた おふくろさんに慕い通わす おやじの背中夢があるから 生きられるいの...
  • 親のない子の子守唄

    親のない子の子守唄

    ねんねん ねんねこ ねんころり親のない子の 子守唄お目めつぶればヨ お目めつぶればヨやさしい母が 会いに来るから ねんねしなねんねん ねんねこ ねんころり親のない子の 子守唄淋しかろうがヨ 淋しかろうがヨ泣いたりしたら 意気地ない子と 笑われるねんねん ねんねこ ねんころり親のない子の 子守唄星に願いのヨ 星に願いのヨ...
  • 激唱 ~青函トンネル~

    激唱 ~青函トンネル~

    生まれたからには 死ぬまで生きて誰にもやれない バカをやれと燃える親父の 心を継いでトンネル掘って 二十年津軽の海の いまその下をああ ああ・・・ 北海道の風が吹く泥水吐き出し 暴れるヤマも男の誠にゃ 牙をたたむ女入れない 切羽の底で一寸先も わからない運命の闇を 砕いて越えたああ ああ・・・ 涙を語れ削岩機荒海へだて...
  • 魂

    春には花が咲き 夏には鳥が囀く秋には目冴えて 冬には雪が降るあーあーあー 美しき国よめぐる季節に人は心をひらき神々と酒をくむ忘れていても 深き闇から熱くよみがえるものがあるそれは 日本の魂男は仰ぎ見る 気高き富士の山女はあこがれる 桜の花の色あーあーあー すばらしき国よおれとおまえを生みし母なる大地神々の集う里流れる川...
  • こころの母は北斗星

    こころの母は北斗星

    夢路たどれば 母港そこは故郷 宝島北の夜空で 輝きながら男の試練を支えてくれるこころの母は 俺の俺の北斗星(ほくとせい)星の数だけ苦労していつも笑顔でかくしてた人のやさしさなくしたときはあの手のぬくもり叱ってくれるこころの母は 俺の俺の北斗星(ほくとせい)呼べど届かぬ面影に両手合わせて願い星しばれる涙まつ毛が凍る明日の...
  • 小春日和

    小春日和

    おまえの分だけ しあわせがあったらそれで いいと言うそんなあなたの まごころにわたしも真実で 応えます働きずくめの あなたの肩に小春日和の 陽が当たるやすらぎ いたわり 思いやりやさしさ今日も ありがとう照る日曇る日 ありましたそれが夫婦と 言うものさ笑顔で交わした そのまなざしに小春日和の 陽が当たるぬかるみ 坂道 ...
  • 拳

    裸一貫 やるぞと決めてぐっと握った 拳の中に意地もあるだろう 夢もまた辛くても 辛くても我慢がまんで 生きてみろきっと男が 磨かれる七つ転んで 八つで起きて苦労重ねた 拳のようなまこと強さを 知るだろう聞かずとも 聞かずとも我慢がまんを 語る手にそこに男の 価値もでる何があっても こぼすな愚痴を腹が立つ時ゃ 拳を振って...
  • 時雨月

    時雨月

    惚れて枕も 渇かぬうちに恋も半端な 三国越えみれん残して 旅路をゆけば山の紅葉の 間から泣いて見送る君の瞳のような 時雨月風に吹かれて 重なり合った落葉みたいな 恋だから義理は止そうと 指切りしても別れまぎわの ため息がうしろ髪ひく旅が荷になる 時雨月心つなげる 妻篭の灯り逢えぬ辛さを 誘うだけ旅が塒の さすらい稼業胸...