• 前田俊明

    「1551」
  • 濡れて神戸

    濡れて神戸

    逢えば逢う程 苦しいと背中を向ける 肩が泣いてたあの時追いかけ 抱きしめてたら二人は一緒に なっていたのか悔やんでも 悔やんでも 却(かえ)らない神戸港は涙雨 あなたは遠い人妻(ひと)二人出逢った この店で面影傍(そば)に 酔いしれているドアーが開(あ)くたび もしやと思う未練な男に 風も冷たい愛しても 愛しても 却(...
  • 丹後雨情

    丹後雨情

    港をぬらして 降り出すしぐれやらずの雨なら いいものをきっと今頃 あのひとの船は岬の 先の先あとも追わずに 手酌酒港 丹後の 別れ雨私もしょせんは 砂丘の花よ根下ろすことさえ ままならずましてあなたは 旅のひといつか譲り寝 その癖もうれしかったわ 仮りの宿港 丹後の 別れ雨みれんは捨てても 傘忘れずに鏡につぶやく 送り...
  • ふれ逢い橋

    ふれ逢い橋

    枯れることなく流れる 小名木(おなぎ)川ポツリポツリと水面を 叩く雨幼な子をこの腕(て)に 抱きしめて女捨て 涙すて生きる女の しぐれ橋みんな過去から逃れて この街へ古い家並み連らなる 細い路地住む人のやさしさ ぬくもりにいやされて 励まされ暮らすふたりの さだめ橋川は流れる今日も 人の世の愁(うれ)い嘆(なげ)きを沈...
  • 九官鳥

    九官鳥

    ふたりの愛の 鳥籠から突然あなたは 飛び立った忘れられない 想い出のひとつひとつを 置き去りに悲しいね… つらいよね…知らんぷりした 九官鳥何か…何か しゃべってよおまえが好きだ 愛してるやさしかったあの人の 口癖をあなたの胸で 翼(はね)を休め未来(あした)の幸せ 夢みてたいくつ涙を 流しても青い空など 翔べないの悲...
  • ひまわりとタンポポ

    ひまわりとタンポポ

    運命(さだめ)という名の めぐり逢いそんな気がする ふたりですあなたの隣に いるだけで幸せなんです 涙でるほどひまわりのように 陽のあたる花では花ではないけれど…タンポポのように 微笑んであなたのそばに 咲いていたいの誰かを信じて 生きることそれが愛だと 知りましたあしたという日を 夢に見てこのまま離れず 生きてゆきた...
  • 因幡なさけ唄

    因幡なさけ唄

    生きるに下手な この人となんの因果で 暮らすやらひと旗あげるが 口癖でそんなあんたが かわいやのう…そばにいるわよ 一生そばに岩戸(いわど)港に 日が暮れる縁がありゃこそ ふたりの旅よカワイヤノー カワイヤノー浮草ぐらし いいじゃない今日が無事なら 倖せよ苦労をかけると 眸(め)で詫びるそんなあんたが かわいやのう…夢...
  • 八百八橋おんな節

    八百八橋おんな節

    ゴクリゴクリと のど鳴らし瓶を逆さに 呑み干したそんな酔いどれ この世に一人ええよ とことん ついて行く惚れて浮世川(うきよ)の 八百八橋(はっぴゃくやばし)渡る人生 アンアアアン… おんな節キセルみたいな へそ曲がりなんであかんの ええやんか人は上から 指さすけれど腕は負けない ひとやから苦労覚悟の 八百八橋そっと見...
  • 北のほたる酒

    北のほたる酒

    甘い水だと だまされたのかそこもおんなじ 苦い水ほたるほたるよ 飛んで来い竜飛岬の 津軽の恋はちょっとしょっぱい 味だけど飲んでみるかい 北のほたる酒蝉のようには 鳴かないけれど命燃やして 身を焦がすほたるほたるよ 辛いだろ濁り川には 住めないなんてきれいごとなど 言わないが酔えば泣きぐせ 北のほたる酒片手のばして し...
  • 天城越え

    天城越え

    隠しきれない 移り香がいつしかあなたに しみついた誰かに盗られる くらいならあなたを殺して いいですか寝乱れて 隠れ宿九十九(つづら)折り 浄蓮(じょうれん)の滝舞い上がり 揺れ墜ちる 肩のむこうにあなた…… 山が燃える何があっても もういいのくらくら燃える 火をくぐりあなたと越えたい 天城越え口を開けば 別れると刺さ...
  • 命くれない

    命くれない

    生まれる前から 結ばれていたそんな気がする 紅の糸だから死ぬまで ふたりは一緒「あなた」「おまえ」 夫婦(みょうと)みち命くれない 命くれない ふたりづれ人目をしのんで 隠れて泣いたそんな日もある 傷もある苦労積荷の 木の葉の舟で「あなた」「おまえ」 あぶな川命くれない 命くれない ふたりづれなんにもいらない あなたが...
  • 秋恋歌

    秋恋歌

    盆もそろそろ 十日を過ぎて女ごころに 秋の風酔えばこんなに あなたが近いはぐれこおろぎ 軒で鳴きますあなた恋しい 酒ひとり駄目なわたしの わがままさえもきっと無理して 聞いたのね口の重さも やさしさでした膝にはらはら こぼれる涙わたし詫びたい あの頃をいつかもう一度 暮せたならば命預けて 尽くしたいひとりぼっちの 女を...
  • 花は泣かない

    花は泣かない

    諦めましょうと 心に決めてみんな忘れた 振りしても未練ぎりぎり 酒と添い寝じゃ侘しいね つれないね おんな花滲(にじ)むおちょこの 口紅(べに)悲し花は泣かないすがった背中の 冷たさまでも今じゃ愛しく ふりかえる咲いてぎりぎり 思い出すたび会いたくて 震えます ひとり花涙ためても こぼさない花は泣かないはかない夢でも ...
  • 雪うさぎ

    雪うさぎ

    お盆の上に まっ白な雪をこんもり もりあげてうさぎの形が できました南天の赤い実は 可愛いお目々サラサラこな雪 降る夜に雪から生まれたランラ ランラ 雪うさぎやさしいお目々が 大好きよ何かお話 しましょうかそれともあそびに 行きたいのいつまでもここにいて 私のそばに生きてるみたいな 気がします雪から生まれたランラ ラン...
  • 両家良縁晴々と

    両家良縁晴々と

    今朝はお山も 初雪化粧まるであの子の 花嫁姿兄(あに)さ夫婦の 代わりとなって二十と五年を 親子草祝ってくれてか 今日の日を両家良縁 晴々(はればれ)と何処(どこ)か伴侶も 兄さに似てる気づくものだよ その横顔に器量気立ての 笑顔の陰でどれほど泣いたろ 寂(さみ)しさにはじめて自分を 通す子にそれでいいんだ いいんだよ...
  • 露地裏・酒の川

    露地裏・酒の川

    いいじゃないかよ 追い越されてもそうぞ先にと 笑ってやれよ男同志の おまえと俺さ露地の匂いに 立ち止まり今日を忘れる 酒の川今の世の中 何でもありよなのに寂(さみ)しい 奴ばっかしさしょせん不器用 おまえも俺も楽をのぞめば あとで泣く他人(ひと)に下駄など 預けりょかまわり道して はじめて見える人の一生 そのまた裏も男...
  • 女の幸せ

    女の幸せ

    こらえきれずに 飲む酒が涙まじりの 味がする生まれた時から 運命(さだめ)の川に流れ流れて 辿り着く女の幸せ なぜ なぜ遠い苦労ばかりの 昨日今日せめて優しさ 抱きながら淋しい夜は はるかな空に母の母の 面影を女の幸せ なぜ なぜ見えぬ夢を追いかけ 負けないで越えてゆきます これからも辛さ重ねて 我慢の道をいいのいいの...
  • 女は生きる

    女は生きる

    裏町屋台で ついほろり涙を隠した つらい酒恨んではみたけど やっぱり駄目ね夜ごと窓打つ 風の声あなたもしやと 心が騒ぐよせばいいのに 意地をはり返した言葉が あだ情けごめんねとひと言 やっぱり駄目ね言えば良かった あの時にじんと切なく この身が痛い今度もいちど 生まれたら二度とはしないの 恋苦労優しさと思いやり やっぱ...
  • 九頭竜川

    九頭竜川

    大河(たいが)もたどれば 滴(しずく)から心の旅路も 一歩から二度とない 人生だから悔いなく生きたい ひとすじにあぁ…故郷の 九頭竜川よ明日(あした)に向かって 流れゆけ白山連峰(はくさんれんぽう) 光る残雪(ゆき)この俺見送り 朔風(かぜ)が吹く二度とない 人生だからやらねばならない 夢があるあぁ…故郷の 九頭竜川よ...
  • 露地裏しぐれ

    露地裏しぐれ

    心に隠した 恋の傷雨降る夜には 痛みます好きなあなたの ためだから私は大人よ 大丈夫「なんとかかんとか言っちゃってそのくせ泣いちゃって」胸に涙の 露地裏しぐれあなたに寄り添い ふるさとの話を聞くのが 好きでしたいつも幸せ すれ違いひとりになるのは 慣(な)れてるわ「なんとかかんとか言っちゃってそのくせ泣いちゃって」揺れ...
  • 私をどうするの…

    私をどうするの…

    檸檬(れもん)ひと切れ グラスに浮かべお湯割り作って くれる人どうするの どうするの私を酔わせて どうするの男と女の 笑顔が揺れて小さなお店の 夜が更けるつらい別れに なるだけだから恋などしないと 決めていたどうするの どうするの私を酔わせて どうするの男と女の 肩先触れてほんのりときめき 夜が更ける雨がいつしか 降り...