• 前田俊明

    「1551」
  • ありがとう…あなた

    ありがとう…あなた

    夕暮れの 交差点は家路を急ぐ 人の波しあわせそうな うしろ姿を見つめてひとり佇むありがとうあなた 愛してくれて幸せだった 昨日までおもいで達が 涙を誘う私を 私をいたわるように人はみな 生きる場所を手さぐりながら 生きていくあなたの代わりに なれる人などこの先きっといないわありがとうあなた あなたのそばで大人の坂を 登...
  • 星の川

    星の川

    母の匂いが 恋しい夜はいつもひとりで 子守唄あれから幾年 過ぎたやら数えて忍ぶ 春や秋きっと逢えると 手を合わせ仰ぐ空には 星の川古い手紙の 紙の束そっと広げて 読み返すいまでもこうして いれるのは迷わず生きて 来れたから夢があるから 辛くない見てて下さい 星の川声が聞きたい あなたの声を遠いふるさと 思う度眠れぬ夜に...
  • おんなの情歌

    おんなの情歌

    最後の夜に 夜になりそうで一番好きな 紅を引く女って女って ばかなの女って抱いてほしいと 言えなくてあなたの肩を 小さく噛んだ私を捨てて 捨ててゆく人の倖せなぜに 祈るのか女って女って ばかなの女って好きな男が できたのと切ない嘘を あなたにあげる最後の夜に 夜に身を投げて嵐のように 抱かれたい女って女って ばかなの女...
  • 未練の花

    未練の花

    あんな男と 言いながらあんな男が 好きなのよ心の傷に 咲く花はあなた一途の 未練の花よ激しく抱いて 抱いて揺さぶって散らしてほしい許したいから 帯を解き許さないわと しがみつく心の傷に 散る花はいのち燃やした 未練の花よ最後でいいの いいのその胸で泣かせてほしい思い出したり しないのは決して忘れや しないから心の傷が ...
  • 天道虫

    天道虫

    天(てん)にむかって 歩いていればきっと影踏む 事はない天道虫を 見るたびに君の言葉 思い出す儚くも ひたすらに天をめざして 翔ぶと云う天道虫は どこへゆくこの手で高く 放してやろう天道虫は 空へゆく君が微笑む君が微笑む 光りとなって思うようには 生きられないさ誰も同じさ 弱いのは自分の為に 泣くよりも他人(ひと)の為...
  • 人生夢桜

    人生夢桜

    夢という名の 根を張って空に大樹(たいじゅ)の 葉を伸ばすしょせん短い 人の世ならば望みひとすじ やり通す桜 咲け咲け 七重(ななえ)に八重(やえ)に命 咲け咲け 艶(あで)やかに女恋すりゃ 命がけ燃えて抱かれて 花になる添えぬ人だと 承知で惚れた泣いて尽くすも 悔いはない桜 咲け咲け 七重に八重に命 咲け咲け 艶やか...
  • 春の暦

    春の暦

    女の胸の 残り雪やさしく溶かして くれたひと大きな愛に 包まれて歩いてゆきます ふたり道逢えてよかった あなたに逢えて…世間に泣いた 傷ついた秋から冬への 曲がり角あふれる涙 手でぬぐい負けたら駄目だと 抱いたひと逢えてよかった あなたに逢えて…雪割草(ゆきわりそう)の 白い花いのちの蕾(つぼ)みを 咲かせますめぐった...
  • 越前恋情話

    越前恋情話

    泣いている 心 泣いている吹雪く越前 日本海瞼閉じれば 面影が冷えた躰に 絡(から)みつくあなた あなた 呼んでも 海鳴りばかりはぐれ鳥 一羽 はぐれ鳥何処(どこ)へ羽ばたき 帰るのか何度捨てよと 思っても愛の歳月(つきひ)は 千切れない荒れる 荒れる 波間に 未練が燃える逢えるわね あなた 逢えるわね叫ぶ越前 日...
  • 江戸風鈴

    江戸風鈴

    小さな音色が 風吹くたびにそっと心に 沁みわたる軒に吊るした 江戸風鈴が父はとっても 好きだった聞こえてますか…父さん今でも 鈴の音が日暮れの縁側 胡坐(あぐら)をかいて父は浴衣で 夕涼みうちわ片手に 江戸風鈴と冷えた日本酒(おさけ)が 似合ってた涼風揺れて…父さん面影 浮かびます明日(あした)の幸せ 願ったような音...
  • 秋燕

    秋燕

    夏も終わりの こぬか雨吐息に曇った ガラス窓軒先(のきさき)飛び交う 秋燕(あきつばめ) 秋燕(あきつばめ)もう旅立ちですか…どこかであの人 見かけたら伝えてください 待ってると肩に甘えた 幸せのあの日に も一度 帰りたい思い出せつない 秋燕(あきつばめ) 秋燕(あきつばめ)ねぇ愚かでしょうか…憎んでみたって なおさら...
  • 満天の星

    満天の星

    明日(あした)のことさえ 手探(てさぐ)りで肩寄せあなたと 生きてきた涙堪(こら)えて 見上げる夜空今は我慢の 茨道(いばらみち)頑張りましょう ねぇ あなた二人に煌(きらめ)く 満天(まんてん)の星口数少ない 人だけどそれでも心は あたたかい胸に隠した 口惜しさつらさ分けて下さい 私にも頑張りましょう ねぇ あなた静...
  • みそか酒

    みそか酒

    雪になりそな 裏町にひとつ灯りが またひとつひとつ良いこと あったならそれでいいのね 年の暮雪が ちらちら雪が ちらちら みそか酒箸を持つ手が ふれる度そっと 幸せ 感じてたそうねあなたは 左利き思い出すのよ 今日もまた雪が ちらちら雪が ちらちら みそか酒俺と一緒に 年越そう言ったあなたは どこ行ったおんなひとりの ...
  • 一人静の花のように

    一人静の花のように

    二度としないと 言いながら何度もお前を 泣かせたね責められるよりも 辛かった「信じてます」の あの言葉一人静の 花のようにうつむきながら ほほえんで酔って夜更けに 逢いに行くわがまま気ままの 俺だったさみしいと書いた はしり書き涙のあとが にじんでた一人静の 花のように黙って耐えて いたお前ふたり寂(さび)れた カウン...
  • 恋待岬

    恋待岬

    北の海は荒れて 波のしぶきが胸をうつ心みだれて このまま海に流されそうで 泣けてくるあんな男と世間は 噂をするけれど何があっても好きだからあなたをずっと 待ってます今日も汽笛遠く消えて あなたは帰らない“必ず帰るよ おまえの側(そば)に”あの日の言葉を 信じたのあなたの胸で 女のしあわせ知ったから雪に埋もれるこの町であ...
  • 信濃慕情

    信濃慕情

    あなたと歩いた 信濃路を一人で歩けば 冬の雨はぐれ鳥啼きながら霧の彼方へ飛んで行く私にはもう 帰る胸もない背中が濡れる 心も濡れる幸せ遠い 恋でした生きてることさえ 辛くなる思い出ばかりの 信濃川こぶし咲く夕暮れのからまつ林に陽が落ちてはらはらと 花びらが降りかかるあなたの胸に 甘えたこともはかない夢と 消えてゆく心も...
  • くれない紅葉

    くれない紅葉

    こころを焔(ほのお)が 染めるよに紅(あか)く彩(いろ)づく 花紅葉好きなあなたを 愛することに何の遠慮が いるのでしょ逢いに逢いにゆきたい 今すぐに女…一途な くれない紅葉(もみじ)湯の町しぐれに 肩寄せてそっと枝折(しおり)戸 あけた夜たとえ世間が 噂をしても今はこの恋 離せない誰も誰も見えない あなただけ情け…ひ...
  • 北陸旅情

    北陸旅情

    風に揺れてる 水仙に涙があふれる 越前岬あの日別れを 決めたけど忘れられない あなたのことが気比(きひ)の松原 三方五(みかたご)湖(こ)噂追いかけ ひとり旅汽車を乗り継ぎ 能登半島ふたりの想い出 瞼(まぶた)をよぎるあなたやさしい 人だもの愛の歳月(つきひ)を 信じているの七尾城趾(ななおしろあと) 見附(みつけ)島...
  • 嫁入り舟

    嫁入り舟

    むかし母さん この町に嫁入り舟で 嫁いで来たとあれから何年 たちますか たちますか紫あやめの 水郷を今日は私の 嫁入り舟が涙隠して ギッチラと行くもしも父さん 生きてたら目頭押さえ 涙ぐむでしょ娘のしあわせ 一番と 一番と寿提灯 先頭に彼待つ岸へと 嫁入り舟が波に揺られて ギッチラと行く語り尽くせぬ 思い出が涙となって...
  • 私とお月さん

    私とお月さん

    惚れていりゃこそ 許せないこともあります 女にはだから今夜は ひとり酒あなた恨んで 飲んでますどうぞ気にせず お早めにお休みなさいな エーエーお月さん空でのんびり してるよで日毎夜毎に 痩せてゆくほんにせつない 恋ごころ雲の間に間に 見え隠れ惚れた弱みと あきらめて一緒に飲みましょ エーエーお月さん風がすすきを 揺らす...
  • 寒すみれ

    寒すみれ

    雨がみぞれに いつしか雪に女の心も 寒さつのります書いてむなしい この手紙せめてひとりを まぎらわす抱いてください もう一度冬に咲く花 寒すみれドアの片隅 並べた傘があなたを探して 今も待ってます雪を払って 襟を立てふいに訪ねて 来るようで風の音にも 目を覚ます涙むらさき 寒すみれ夢を追いかけ この街離れ噂が絶えても ...