• 前田俊明

    「1551」
  • たそがれ本線

    たそがれ本線

    あなた忘れる 一人の旅は沈む夕陽が 涙を誘う線路づたいに 面影揺れてなにをいまさら 恋しがる窓の向こうは 紅い海誰が名づけた たそがれ本線帰るあてない 旅路の先は北は時雨か 山背の風か未練心を 断ち切るように波の谷間に 陽が落ちるきしむ列車は あかね色泣いているよな たそがれ本線いいえわたしが 望んだものは他人(ひと)...
  • 松江恋しぐれ

    松江恋しぐれ

    忘れるための 旅なのに未練がなぜか あとを引く夕陽せつない 嫁ヶ島(よめがしま)面影ゆれる うたかたよひとり出雲路(いずもじ) 松江恋しぐれ誓った夢の 想い出が消えては浮かぶ 宍道湖(しんじこ)よ水の都の 城下町別れがつらい うしろ影ひとり出雲路 松江恋しぐれ大橋川(おおはしがわ)の 欄干(らんかん)にあなたを映す 恋...
  • 谷中ほたる

    谷中ほたる

    谷中(やなか)の風は 片情けあなたを呼んでも 虚しくてひとり羅(うすもの) 夏の夜子猫の泣き声 だんだんにねぐらを探す 螢坂肩寄せ合った 寺町(てらまち)は木漏れ日やさしい 隠れ里粋な街並み 裏小路逢えない運命の みれん恋藍染川(あいぞめがわ)の 螢です上野の山に 鐘が鳴る今宵も淋しく 癒(いや)し酒いのち儚(はかな)...
  • 男道

    男道

    やると決めたら 悔はない浮世苦楽の じょっぱり人生何んの夢なき この世なら度胸千両の 命坂男一生 この道を行く惚れてくれるな 後追うな可愛いあの娘よ 花咲く枝に人は人なり 俺は俺真一字を 貫いて男一生 この道を行く怨みつらみは 誰もある負けりゃ地獄の じょっぱり人生敵は自分だ この俺だ己磨いて 何処までも男一生 この道...
  • 北の出世船

    北の出世船

    霧がヨー 霧がほどけた 夜明けの港波を蹴散(けち)らし 突き進む親父の後継(つ)ぐ 津軽の海で俺はでっかい 獲物(ゆめ)を釣る男度胸のヨー 北の出世船風のヨー 風の動きと 潮目を読んで舵(かじ)をきるのさ 竜飛(たっぴ)沖陸(おか)では気のあう 飲んべえ仲間沖に出たなら 負けられぬ男勝負のヨー 北の出世船意地とヨー 意...
  • 北海無法松

    北海無法松

    生まれ北海 荒波育ち酒と喧嘩は 他人(ひと)には負けぬ誰が 誰が 誰が呼んだか 北海無法松暴れ太鼓の 桴(ばち)さばき俺の出番だ 男…松五郎義理と人情の 男の世界生きて行くのさ 覚悟を決めて命 命 命知らずの 北海無法松浮かぶ面影 胸に秘めほろり涙の 男…松五郎増毛(ましけ)石狩 積丹岬(しゃこたんみさき)男磨いた 道...
  • 俺のこの胸で

    俺のこの胸で

    やつれたみたいだね 昔より背中の薄さを 抱きしめる東京へ発(た)った あの日から俺もおまえの 噂さがしてた泣くがいい泣くがいい 俺のこの胸でなんにも言わなくて いいんだよあの日があるから 今がある汽車が出た駅で 降る雪をひとり眺めて 俺も泣いたんだ泣くがいい泣くがいい 俺のこの胸で忘れたことなんか なかったよおまえに逢...
  • ふたりで一つの人生を

    ふたりで一つの人生を

    涙いっぱい かなしみにおまえは耐えて 咲いていた夜風が冷たい この裏町でおまえに逢っておまえに惚れてふたりで一つの 人生をいつもおまえの そばにいる未来(あした)の夢を 語りたい歩いて行けるさ 信じていればおまえに逢っておまえに惚れてふたりで一つの 人生を何があっても 守りたい連理(れんり)の枝さ 俺たちはこの雨上がれ...
  • 一途な女

    一途な女

    肩が寒けりや 体を寄せな夢が欲しけりゃ 瞼をとじろ町のはずれの この居酒屋がお前と俺との 情けのねぐらせめて飲もうよ コップ酒生れついての 馬鹿正直が渡る世間を 狭くする指におくれ毛 からませながら似たよな運命と お前は笑う笑う瞳が なぜ濡れる義理と人情 言葉にすれば古い奴だと 他人は言う俺は俺だと 小石を蹴れば真似す...
  • 倖せふたりづれ

    倖せふたりづれ

    背中の糸くず 取りながらあなたの後から ついてゆくこんな小さな 喜びを私は待って いたのです一人より二人 一人より二人笑顔が嬉しい 倖せふたりづれ一人じゃ重たい 荷物ならお願い半分 背負わせて同じ夢見て 寄り添ってあなたの邪魔に ならぬよに一人より二人 一人より二人ぬくもり嬉しい 倖せふたりづれ北風冷たい 冬の日ももう...
  • 薔薇のほほえみ

    薔薇のほほえみ

    人はみな哀しみに 転びながら涙の向こう側 倖せさがす人はみな傷あとを 胸に抱いて優しさを探す旅人嘆かない くじけない朝が来れば また陽は昇るくちびるに 愛の歌を心には 薔薇の花をこの大地に咲かせたい ほほえみの花を苦しみも裏切りも 過ぎてゆけばすべてが想い出に 愛しく変わるいつの日も前を見て 生きて行けば幸せはきっと来...
  • 哀愁の酒

    哀愁の酒

    恋がおんなの ともし灯(び)ならば夢はこの世の こぼれ花あなた…あなた… 淋(さみ)しいよ逢いに来てよ…お酒を飲むたび ほろほろと夜よわたしを 何故泣かす惚れた分だけ 憎んでみても肌がぬくもり 恋しがるあなた…あなた… 戻ってよ逢いに来てよ…こころの涙か しとしとと窓を小雨が 濡らす夜みんな夢だと あきらめるには愛しす...
  • モナリザの微笑

    モナリザの微笑

    モナリザ モナリザ モナリザの微笑この世は はてない 愛の花園あなたはいつも 嘘ばっかりよ泣き叫んで 投げつけたグラス拾いあげて まるで 台詞のように愛してるよと 言うあなたモナリザ モナリザ やさしげな微笑私が愛した つめたい男(ひと)よモナリザ モナリザ モナリザの微笑咲いては 散りゆく 愛の花園仮面をぬいで 心を...
  • おんな憂き世川

    おんな憂き世川

    なにを集めて ながれる川か世間谷間(せけんたにま)の 憂き世川うわさ・浮き草 面影・なみだいっそ私も ながしてほしいおんなって… おんなってながれて泣きたい ときがある右には坊やを 片手で夢を抱いてながれる 憂き世川水はどんなに 澱(よど)んでいても真珠色した 瞳(め)をしていたいおんなには… おんなには枯らしちゃいけ...
  • 巣鴨地蔵通り

    巣鴨地蔵通り

    知らぬ同士も 肩ふれ合えばそっと目旬(めくば)せ 応える笑顔ここは 独(ひと)りじゃないのよ巣鴨 地蔵通り胸が塞(ふさ)げば 誰かがきっと解(ほぐ)してくれます 悩みや憂(う)さを一度着けたら ワクワクするわ赤い下穿(したば)き おんなの気持ちみんな 青春してるよ巣鴨 地蔵通り愛のカラオケ どなたと歌う素敵なあなたを ...
  • 浮世草

    浮世草

    人目引くよな 蓮(はちす)の花は濁り水ほど 白く咲く街の隅でも この人とそんな生き方 したくなる涙いくたび 重ね着に越えたおんなの 浮世草どこか一つに 秀(ひい)でた人の人を見る目の 暖かさ夫婦(めおと)きどりで 交わす酒遅い小さな 縁(えにし)でも夢はここから 始まって実るとき待つ 浮世草雨にぬれてる 露地の灯(ひ)...
  • 裏町通りゃんせ

    裏町通りゃんせ

    ゆっくり飲んでね この雪だものそっとささやく 耳のそば空のとっくり 手で振ってすぐに熱いの 燗(つ)けるから押え切れない 胸の内おんな裏町 あぁ通りゃんせひとりで守った おんなの意地があの日逢うなり ぐらついてそうよ垣根を 越えたのも同じ雪降る こんな夜みんな訳あり 生きているおんな裏町 あぁ通りゃんせ一緒になろうと ...
  • まわり道

    まわり道

    桜の花のような小雪が ふりかかるお前のおくれ髪(げ)をこの手で なでつけるまわり道を したけれどめぐり逢えたら いいさ いいさ遅れてやって来た二人の春に 乾杯(かんぱい)を あ…川辺で子供たちが無邪気(むじゃき)に遊んでるお前はそれを見てかすかに 涙ぐむまわり道を したけれど夢が叶(かな)えば いいさ いいさ苦労の分だ...
  • 木曽川みれん

    木曽川みれん

    木曽の御岳さん 墨絵に霞む旅のおんなの 水(みず)木沢(きざわ)逢えぬあなたの あと追えば他人(ひと)は見るのよ 訳ありと行きつ戻りつ 迷いつつ妻(つま)籠(ご) 馬籠(まごめ)の 木曽川みれん多度(たど)のお山が 夕陽に染まる灯る情けの 宿あかり膝を崩せば 恋しさに酒もいつしか 燗(かん)ざましましてひとりの 寝化粧...
  • みちのく隠れ郷

    みちのく隠れ郷

    雪をいただく 鳥海山の麓流れる白雪川の 隠れ郷別れになれば 死ぬのも同じ一夜の逢瀬を 待ちわびて二重の帯を 抱きしめるしのび痩せした おんなを写しそっと励ます白雪川の 水鏡この眼を閉じりゃ あの日が浮かぶせつない気持ちが 火と燃えて今では命 賭けるひと迎え化粧の この手を止めて背伸びして見る白雪川の 隠れ郷まだまだ遠い...