• 前田俊明

    「1551」
  • 男の懺悔

    男の懺悔

    おまえ無理して 倒れた夜に俺は芯から 眼が醒めた三日三晩を ほったらかしですまぬすまぬと 手に手を取れば滝の涙の 男のョ懺悔(ざんげ)寒いだろうね もう北国は捨てた故郷に 親もなく晴れて女房と 名のれぬままに尽くすおまえが 不憫でならぬさぞやつらかろ 男のョ懺悔おまえ身体に さわるじゃないか駅へ迎えに 来るなんて俺にお...
  • 心 ~こころ~

    心 ~こころ~

    心 心 心にきめた歩くこの道 ふたり道思い出ばなしに 涙をかくし強がる笑顔に 男の華を咲かせてあげたい 女の意地でそんなあなたに 惚れました命 命 命をかけて苦労分け合う ふたり傘ためいきばかりの 人生だっていつかはつかめる 倖せひとつ支えてあげたい 女の意地でそんなあなたに 惚れました夢を 夢を 夢をあなたと明日へこ...
  • 会津・山の神

    会津・山の神

    どんとそびえる あの山のよに立派になるのが 夢でした白い林檎の 花咲く丘で娘十八(むすめじゅうはち) 鍛えたのどを聴いてください 山の神 ひと節を…エンヤー 会津磐梯さんは宝の山よ…転ぶたんびに また起きあがる白河だるまの 心意気きっと目玉は この手でいれる会津魂(あいづだましい) 燃やした胸をほめてください 山の神 ...
  • わたしの門前仲町

    わたしの門前仲町

    黒船橋から 川面を見れば灯りに影を映して揺れてます人情深川なさけ町お不動様に 願かけて夢を託せば 春の宵大横川には 風に桜舞う真夏の太陽が 永代通りを今年も熱く燃やせば祭りの季節人情深川なさけ町水掛御神輿(みこし) 練り歩き祭りばんてん 夏の宵笑顔掛け声 空にこだまする好きですこの町が これから先も私をそっとやさしく包...
  • 棚田桜

    棚田桜

    上りの列車を ホームで見送ったあれから何年 たつのでしょうか永く冷たい 冬が過ぎもう雪解けの 季節です今年こそ… 逢えますね…棚田桜の 咲く頃にかならず迎えに 来るよと抱き寄せたやさしいぬくもり 忘れはしないふたり見ていた いつまでも水面(みずも)に映る あの桜信じれば… 逢えますね…棚田桜の 咲く頃に夜明けの朝霧 日...
  • 男の涙は三度だけ

    男の涙は三度だけ

    男の涙の ひとつめは親友(あいつ)のために 泣いてやれ真面目(まじめ)に真っ直ぐ 生きてるやつを世間はあっさり 爪弾(つまはじ)きそっと冷や酒 コップに足して黙って一緒に 泣いてやれ男の涙の ふたつめは女のために 泣いてやれ別れたおまえの 噂を聞けばせつなさかすめる 胸のうちかけた苦労を 心で詫びて幸せ祈って 泣いてや...
  • おまえに惚れた

    おまえに惚れた

    俺にきめろよ まよわずに言って振り向きゃ ついてくる惚れた 惚れたよおまえに惚れた肩を抱きよせ 眸(め)をのぞきゃ頬に紅さす おまえに惚れたあなた躰(からだ)に 悪いわと水でお酒を 割ってだす惚れた 惚れたよおまえに惚れた言葉づかいも 女房をきどる今夜の おまえに惚れた金じゃ幸せ 買えないと俺を泣かせる 憎いやつ惚れた...
  • 北の雪虫

    北の雪虫

    夜が凍(しば)れて 雪にかわればしゅるしゅると 胸が哭(な)くどうせのめない きついお酒がたまらなく ほしくなる北へ北へと あの人を追いかけていつか はぐれた 煉瓦(れんが)の都わたし雪虫 ひとりぼっちよ探して あなた鞄ひとつで 降りたあの駅アカシヤが 咲いていた恋のうす着に 季節ながれて札幌は 冬模様北へ北へと たず...
  • しぐれ川

    しぐれ川

    春にそむいて しぐれ川ふたりこぎ出す 情け舟抜いた指輪を 川面(かわも)に投げてこれでわたしは あなたのものとすがるおまえを 離しはしない着のみ着のまま ほつれ髪(げ)にせめてひとひら 花吹雪明日の夢さえ 見えないけれどこころ通(かよ)わす ぬくもりあれば生きて行(ゆ)けるとほほえむおまえにごり川でも いつの日か陽光(...
  • 遠花火

    遠花火

    下駄がからころ 後追うように浴衣の裾に 絡みつく夜空にひとつ またひとつ肩を寄せ合う 橋の上瞬間(とき)を彩る 遠花火(とおはなび)燃えて広がる 菊一輪も音と光の すれ違い川面(かわも)にひとつ またひとつ添えぬ二人に 似た運命(さだめ)消えて儚い 遠花火縋りつきたい 思いの丈を秘めて髪梳(す)く いで湯宿鏡にひとつ ...
  • 泣かせて大阪

    泣かせて大阪

    夢と玩具(オモチャ)が あったなら周囲(まわり)が見えない 男(ひと)やからままごと遊びに あゝ飽きたなら行ってもええよ 若い娘(こ)に阿呆がつくほど 惚れたから許すことしか でけへんわ泣かせて大阪 こころの悲しみ流すよに新地の雨に 濡れたいのちょっとやんちゃで 我がままで半分子供の ままやから貢いでばかりの あゝ貯金...
  • ノラ

    ノラ

    やめて…下手な嘘 抱いて…今はただ雨にぬれたノラ 帰りついたあんた…いい女なら 割りきってあげるわ誰となく 惚れてないと駄目な 駄目な ひとなの…好きよ…好きよ…好き愛はひとり芝居だって…2つ上 あたし…損な年どうせ明日(あす)もノラ 街で悪戯(わるさ)するの…泣きおとしには もう懲りていたのにしおらしい 顔を見ればば...
  • ヘッドライト

    ヘッドライト

    北へ走ろう お前と二人北は雪どけごろだろう春もあるだろうそんなに泣くなよ今夜からは二人だけだよふり向けばつらいことばかりの東京は捨てたよ夜霧にゆれてる悲しみのヘッドライト夜が明けたら ドライブインでからだあたためてくれるお茶をのもうよもたれて眠れよ俺に遠慮なんかするなよもう二度と戻らない町には未練など持つなよ二人でたず...
  • 夕立

    夕立

    かなかな蝉(ぜみ)が 鳴き止んで突然夕立 降り出したずぶ濡れになり バス停でこの俺見送(おく)って くれた女(ひと)なつかしく ほろ苦く情けなく やるせなく夏が来るたびに この胸にあの日の雨が 降りしきるここには二度と 戻るなと怒っていたよな 夕立よ待っててくれと 言えなくてあれきり別れに なった女せつなくて 恋しくて...
  • 噂の港

    噂の港

    北をめざして 函館(はこだて)・小樽(おたる)西ゆく船に また乗りかえる白いうねりは 日本海うみねこみたいな あの男(ひと)だから言っておきたい ことがあるわたしは一途な 恋おんなあとでかならず 本物やるとあのときくれた 硝子の指輪嘘がキラキラ 光ってる許してしまえば おんなの敗けよ風の噂は おけさ島あいつが居そうな ...
  • 奥志摩の宿

    奥志摩の宿

    しぶき舞い散る 鴎がさわぐ泣けとばかりに 潮風(かぜ)が吹くひとり身を引く わかれ旅まるで真珠の 涙のようなここは英虞湾(あごわん) 奥志摩の宿舟が沖ゆく 想い出うねる夢のなごりが 身を揺らす忘れられない あの人を呼べば霧笛(むてき)が せつなく鳴いて波切(なきり) 浜島(はまじま) 奥志摩の宿波が岸うつ 海女笛(あま...
  • 越前ひとり

    越前ひとり

    あなたを忘れる 旅なのに日暮れの浜辺は 人の影もなく 淋しさばかり愛しては いけないと 私 はじめから知っていたのに ばかでした女の心に 舞い散る波の花命と決めた 恋を抱きしめて 越前ひとり誰にも言えない 恋だから時々逢えれば それで良かったの 幸せでした二人して 暮らす日を 私 欲しがっていつかあなたを 困らせたこの...
  • 酔いしれて

    酔いしれて

    小雨の中に あなたを残し別れも言わず 背中を向けて来たあなたの愛が 重荷だなんて冷たく私 傷つけた…幸せですか 今頃誰かとなぜかあなたが 気にかかる酔いしれて 酔いつぶれ 涙しみる夜グラスのお酒 ひと口飲めば心に浮かぶ あなたの笑い顔この手の中の 幸せひとつあの時私 捨てて来た…あなたと二人 暮らした歳月(としつき)二...
  • 夫婦桜

    夫婦桜

    お湯で焼酎 割りました今夜は呑みましょ ねぇ あなた昭和の生まれが 寄り添いながら苦労の重ね着 はらりと脱げば窓に 窓にまあるい お月さん夫婦桜は 今 花ざかり二人三脚 疲れたらたまにはゆっくり ねぇ あなたひと幕芝居の この人生をあなたがいたから 歩いて来れた惚れて 惚れてほろ酔い ふたり酒夫婦桜は 今 花ざかり「お...
  • 別れの朝

    別れの朝

    別れの朝 ふたりはさめた紅茶 のみほしさようならの くちづけわらいながら 交わした別れの朝 ふたりは白いドアを 開いて駅につづく 小径を何も言わず 歩いた言わないで なぐさめは涙をさそうから触れないで この指に心が乱れるからやがて汽車は 出てゆき一人残る 私はちぎれるほど 手をふるあなたの目を 見ていた言わないで なぐ...