• 前田俊明

    「1551」
  • 風暦

    風暦

    生きていたなら いつかは負けるそのときおまえが いないとつらいたった一言 この一言に辿りつくまで 長かった俺とおまえの 俺とおまえの 風暦いつも俺達 あぶない川を流されかけては 超えてきた苦労させたが おまえの他に惚れた女は いなかった俺とおまえの 俺とおまえの 風暦どこをどうして 歩いてきたかこれからどうして 歩いて...
  • 港

    ふり向けば人生は海を行く船か雨 嵐 波や風 限りなくあったその中で出会ったおまえは港おだやかなやすらぎの愛の歌いつの日も聴かせてくれたおれのおれの港さ若さゆえ無茶をして傷ついた夜も灯りつけ つつむよに待っていてくれた子守歌きこえるおまえの胸で泥のよに眠りつくおれだった明日へのちからをくれたおれのおれの港さいつの世も男は...
  • 君を信じて

    君を信じて

    待っていますと くちびるがうごいた列車の ガラス越しふるさと離れて もう二年君を 君を 信じていればこそかならず迎えに 帰るからふたりみつめた 目の中に心と心が 見えていた月日が過ぎても 変わらない君を 君を 信じていればこそ今夜も会えるさ 夢の中届くたよりの ふるさとはもうすぐにぎわう 夏祭り時どきおふくろ 見てくれ...
  • 花も嵐も

    花も嵐も

    泣いちゃいけない 涙をおふき泣けば見えない 俺の目が花も嵐も ふたりの旅路過去をわすれて 出直そうおまえは俺のおまえは俺の 俺の宝もの薄い背中を ふるわせながら俺のこの胸 すがる女(やつ)夢も涙も ふたりの旅路命かけても 守りたいおまえは俺のおまえは俺の 俺の宝もの窓をあければ 春告げ鳥が生きてゆこうと 歌ってる花も嵐...
  • 海峡氷雨

    海峡氷雨

    明日の船でも いいはずなのになんでこの手を 振りほどく涙を見るのが 嫌なのならば笑顔つくって 送るから…あなた最後の わがまま聞いて後を追う背に 海峡氷雨二人暮らしに 見付けた部屋は一人住むには 広すぎるあなたが残した 小さな合鍵が やせた女の 掌に重い…見たくなかった まぼろしなんて夢を濡らして 海峡氷雨春は遅れる ...
  • 片恋しぐれ

    片恋しぐれ

    日陰に咲いても 花は花叶わぬ夢の 口紅を差す陽差しの中を 寄り添って貴方と歩く 春はいつああ なみだ雨やら 片恋しぐれ花にも終りが あるように女の春も 短くて綺麗なうちに 強い手に散らされたくて 髪を解くああ しずく哀しい 片恋しぐれ夢ならいつでも 逢えるのに覚めればまたも 遠去かる貴方に愛の 届く日を祈って濡らす 抱...
  • 三日三晩

    三日三晩

    やっぱり 男だね根っから 漁師だね凍りつくよな 夜明けの浜であんた お立ちの酒を飲むZANZA ZANZA と 海が呼ぶDONDO DONDO と 波の華わたしゃ篝火 たやさぬように三日三晩 無事祈るやっぱり 女だね根っから 惚れてるね昨夜渡した お守り札の紐に黒髪 編みこんだZANZA ZANZA と 船は行くDON...
  • くちづけ

    くちづけ

    外は 遣らずの 小糠雨窓に ため息 夢しずくいいの いいのよ 今はひとりでもあなたとかわした くちづけがほおずき色の くちづけがきっと幸福 迎えにきてくれる右へ 左へ よろけたら遠く なるだけ おんなの道いいの いいのよ 肩が寒くてもあなたの優しい くちづけが命にしみた くちづけが紅をさす指 こんなに熱くする恋の 押し...
  • 三日月慕情

    三日月慕情

    苦労を楽しみ ここまで来たわきっと明日も 流浪ぐらし女の愛は 三日月慕情思いはぐれて ふり向けば月もひとりで わが身を削る誰かを不幸に させたくないのひとりあきらめ ひとりで耐える妻にもなれず 母にもなれず生きる女の つよがりの裏を知るのは あの月ばかり美人の涙は 笑顔に勝るこんなせりふは 男がつくる大切なのは 心じゃ...
  • 雪港

    雪港

    なぐる風 ゆする風怒涛さかまく 日本海雪のつぶてが 頬を打つ海の男よ 無口なひとよ好きというなら 荒波越えて熱い女を 抱きに来い海猫(ごめ)がなく 海がなく板戸たたいて 潮風(かぜ)がなく軒の氷柱(つらら)が すすりなく海の男よ やさしいひとよ夢で今夜も あんたを抱いてわたしゃ夜通し 添い寝する吹雪く空 荒れる海凍りつ...
  • 女酒

    女酒

    寂しさに これ以上耐えきれず 呑む酒は愛しさと憎さのまじり合う女しか分からない 憂き世酒酔えば酔うほど あなたが目に浮かぶもう二度と 恋なんかしないわと 呑む酒はため息と悲しさまじり合う女しか分からない 忘れ酒酔えば酔うほど 溢れる涙雨この胸に 面影を偲ばせて 呑む酒は想い出と辛さのまじり合う女しか分からない 未練酒酔...
  • 吉野伝説

    これが今生の 別れならいっそ死なせて その胸で行く手さえぎる 恋吹雪肌が涙が 凍りますあぁ…散りにけり かの夢はあぁ…消えにけり かの人は忍び泣くよに はらはらと はらはらと吉野奥山 雪が舞う吉野山 峯の白雪踏みわけて入りにし人の あとぞ恋しきたとえ地の果て あの世までついてゆきたい どこまでもすがる衣を 引き裂いて恋...
  • 酔い惚れて

    酔い惚れて

    静かにお酒を 飲む人は女のこころを 暖める涙で暮らした 私にも幸せそっと くれました酔い惚れて いいですか酔い惚れて いいですねあなたの側にいるだけで夢を見れそな 夜だから小さな花にも 聞きました淋しくないのと 聞きました散らずに咲いてる 花だから幸せですと 言いました酔い惚れて いいですか酔い惚れて いいですねあなた...
  • 女の港町

    女の港町

    ふたりで暮らした あの部屋は汽笛が聞こえる 坂の町逢いたいわ 逢いたいわこんな夕暮れは…ふたつ躰が あったらとためいき残して 消えた人波止場の小雨に 泣きぬれて別れを惜しんだ 出船前せつないわ せつないわ何も言えなくて…盡しきれない 恋ひとつ女のしあわせ 夢ですか他人の空似と 知りながら涙でふりむく 石だたみあのひとを...
  • 竜飛岬

    竜飛岬

    女の胸の 傷あとを海鳴り飛沫が また揺するそそり立つよな 岩肌の竜飛岬は ああ 風ばかり遠く離れりゃ なおさらに未練深まる 別れ旅情を尽し 愛しても男はひき潮 波の花行く手さえぎる 海峡の竜飛岬は ああ 人もない女心の 行き止まり思いきれない ひとり旅ここからいっそ 見を投げてこの恋すぐにも 忘れたい夢も涙も 凍りつく...
  • あじさいの花

    あじさいの花

    ひとつの蛇の目を ふたりでさせば別れが切れない 運命が憎いあじさいの花 あじさいの花雨の重さに 耐えながら色も幾度も 変えて咲く優しいお前に よく似た花だよ苦労のくの字も 口には出さず笑顔で尽くした かぼそい肩よあじさいの花 あじさいの花肌に残り香 染めながら夢をくれたと つぶやいた可愛いお前を 忘れはしないよ女がひと...
  • 北の駅舎

    北の駅舎

    港の風が 吹きぬける寂(さ)びた運河の 坂の街旅の日暮れに 行き着いた小樽は淋しい 北の駅舎(えき)男は胸の 片隅に忘れられない 人がいる涙あふれる 想い出になぐさめられる 北の街港の月に 照らされた浜の酒場で ひとり飲む都会ぐらしの 傷跡に情けが沁みる 旅の酒去りゆく人も 来る人も風に背中を まるめてる生きる運命(さ...
  • 俺の花だよ月見草

    一で輝く 人生よりも次で実のなる 道がいい言葉三分で夢七分月を仰いで咲く花は俺の花だよ俺の花だよ 月見草やると決めたら 引く気はないぜわかるやつだけ 追いてこい負けて泣かぬが 情で泣く男心に咲く花は俺の花だよ俺の花だよ 月見草誰れに云われた 訳でもないが好きで選んだ裏通り昔かたぎの捕手育ち影でひっそり咲く花は俺の花だよ...
  • 港

    海鳴り聞いては 今日もまたあなたの声かと だまされる恋しくて恋しくて 港町あゝ思い出ばかりの この町捨てて海はいつでも 渡れるけれど二人を結ぶ 船がない見送ることさえ あきらめて泣いてたあの夜 霧の夜酔いしれて酔いしれて 港町あゝどんなに両手で ふさいでみても恋を引き裂く 別れの船の汽笛が耳に まだ痛い波止場を見下ろす...
  • 咲いて花になる

    咲いて花になる

    飲んで私を 困らす人も眠りゃ子供の 顔になる惚れて女 燃えて女 ひとすじに尽くしきれたら 尽くしきれたらそれでいい広い世間の かたすみでそばに寄り添い 咲いて花になる髪を切ったら 気づいてくれるそんな優しさ あればいい惚れて女 燃えて女 この人の悪い噂は 悪い噂は 聞き流す今の幸せ かみしめて情けひと色 咲いて花になる...