• 前田俊明

    「1551」
  • くんちのぼせ

    くんちのぼせ

    今日は宵山(よいやま) 赤獅子(あかじし)は唐津(からつ)くんちの ハナを切る粋(いき)な囃子(はやし)に 灯(あかし)も揺れてエンヤエンヤと エンヤエンヤと 町が舞うくんちのぼせの くんちのぼせの秋が来た鯛(たい)や兜(かぶと)の 曳山(ひきやま)が西の浜まで 曳(ひ)きこまれ砂地蹴(け)たてて 男が競うエンヤエンヤ...
  • 雨の思案橋

    雨の思案橋

    夜の丸山 紅(あか)い灯(ひ)ゆれておんな泣かせの 雨が降る手摺(てす)りにもたれて ため息ついて来ないあなたを 待ちわびる行(ゆ)こか戻ろか 思案橋どうする どうなる あぁ…なみだ恋愛の証(あかし)に あなたがくれた後生(ごしょう)大事な 簪(かんざし)よ別れを惜しんで 見返(みかえ)り柳肩に甘えて すがりつく行(ゆ...
  • 奥入瀬

    奥入瀬

    肩を射す 木漏れ日にふいにあなたが 笑ったようでときめくわ この胸が奥入瀬めぐり愛阿修羅の流れに 結んだ契りついてゆく ついてゆく どこまでも生きてきたから 生きてゆくから白糸の 滝あたり跳ねるカワセミ 命のしぶきお揃いの 指輪して奥入頼めぐり愛何かを目指して ゆく川のように迷わない 迷わない これからはきっとふたりで...
  • 一途

    一途

    指先 ひとつ 見ただけであなただって わかるのよその手に 私は支えられ生きてきたのよ この道をふたり 心 重ねながらあなたと暮らして いけたら…いい足音 ひとつ 聞くだけであなただって わかるのよどんなに 険しい 山道もうしろ姿が 道しるべふたり 愛を育てながらあなたと歩いて 行けたら…いいグラスを ひとつ 持つだけで...
  • 雨の裏町

    雨の裏町

    惚れたおまえの 涙のような路地の屋台の こぬか雨ふたり暮らして いた頃は気づかなかった やさしさが男ごころを 男ごころを また泣かす酔いにまかせて 指輪の跡を噛めば愛(いと)しい くすり指いつかあなたの 故郷(ふるさと)へ行ってみたいと 甘えてたなんで黙って なんで黙って 消えたのか白い襟足 かぼそい身体濡れていないか...
  • 落葉のブルース

    落葉のブルース

    風にカラカラ 転がる落葉俺も似たよな はぐれ者恋も希望(のぞみ)も 失くした身には侘(わ)びしすぎるぜ 路地あかり惚れていりゃこそ 背中を向けたあれも男の 身勝手か酒で洗った むかしの傷が醒めりゃこころで 何故疼(うず)く呑み屋横丁の 古びた椅子が男なみだの 捨て場所さ明日(あす)はこの眼に 見えないけれど抱いて生きた...
  • ふたりの縁歌

    ふたりの縁歌

    酒に酔うなら 手酌(ひとり)より好きなあなたと さし向かい苦労ばかりで 許せよおまえなによいまさら 水くさい口は悪いが 情(じょう)には厚い惚れて 惚れぬく… ふたりの縁歌他人(ひと)に踏まれて 泣いてきた俺も覚えが あることさもしもあなたに 逢えずにいたらそれは言うなよ 照れるから涙もろくて 不器用だけど惚れて 惚れ...
  • 母灯台

    母灯台

    世間の海へ 明日(あした)から一人で船出を するおまえ人生荒波 暗い海なんの負けずに 乗り越えろ無事を祈って ゝ 照らしつづける母灯台よ心配かけた 我が子ほど愛しいものです 母ごころ幼い頃から 今日までを想い出すたび 辛いけど涙かくして ゝ 照らしつづける母灯台よわたしの背丈 追いぬいて今では立派な 若者よふたたび故郷...
  • 雨の梓川

    雨の梓川

    雨に煙った 北アルプスよ遠くたなびく 湯の煙ひとり旅する この胸に浮かぶあなたの 面影が揺れて流れる ゝ 雨の梓川水の清さが 一途な恋を知っているよに 流れ行く指ですくえば 冷たさが恋の終わりを 知らせます冬も間近な ゝ 雨の梓川墨絵ぼかしの 安曇野平野ひとりたたずむ 別れ駅恋の忘れ路 信濃路にそっと微笑む 道祖神春は...
  • 雪のれん

    雪のれん

    追って行きたい 行かれぬ理由(わけ)を知って啼くのか ゆりかもめ港明かりも 凍てつくほどに北はしばれて 吹雪いて荒れる雪のつぶてが みれんに絡む女ひとりの 港の雪のれんかもめ通りの 小さな店でいくつ季節を 変えたやらひとりぼっちは 慣れっこだけどなんでこうまで 淋しくさせるふらりも一度 のれんを分けて笑顔見せてよ 港の...
  • 初雪前線

    初雪前線

    初雪前線 今年も聞けば涙が頬を 走ります東京に雪が 初めて降ったあの朝駅で 見送ったひとあゝあれがふたりの お別れなんてあれから時間は 止まってる寒い…恋しい… せつない…つらい…今も私は ひとりです初雪前線 今年も聞いてアルバム捲(めく)る 昼さがりあの日の笑顔 還(かえ)らぬ月日悲しみだけが 降り積もりますあゝあれ...
  • 花はこべ

    花はこべ

    風に吹かれて 散り急ぐ花を見てさえ 涙ぐむごめんよ…倖せ やれなくて思わずこの手で 抱き寄せりゃ白いうなじが 震えてたおまえは俺の おまえは俺の花はこべ夢を見させて 欲しいのと酔って背中で 甘えてたごめんよ…倖せ やれなくて男の弱さを 眸(め)で詫びりゃ髪の香りが 愛おしいおまえは俺の おまえは俺の花はこべいいの待つの...
  • ラブ・イズ・マイライフ

    ラブ・イズ・マイライフ

    ラブイズマイライフ ラジオから 流れる メロディラブイズマイライフ わけもなく 頬伝う 涙独りきりで 眠る日の 凍りついた あの時代(ころ)けれど 今は 安らぎと そばには あなたが いるのよラブイズマイライフ 雨がふる 季節の 恵みねラブイズマイライフ 人生は 美しい 旅ねラブイズマイライフ 心から ありがとう あな...
  • 隠れ雪

    隠れ雪

    罪の重さか ぼたん雪二人の行く手を とおせんぼ噂やつれの つらい恋夜にまぎれて 忍び発(だ)ち…たとえ地の果て どこまでも雪よ降れ降れ 二人を隠せ眠るあなたに 寄り添って手と手をつなぐ 仮りの宿雪見障子の 薄灯り心細さに 涙ぐむ…悔いはしません 悔まない雪よ降れ降れ この恋隠せ離れ離れに 汽車を待つ人目を避ける 北の駅...
  • 止り木暮らし

    止り木暮らし

    酒場の二階の 四畳半仔猫と一緒に 暮らしてる狡(ずる)い女に なれなくていつも幸せ 遠まわり咲いて淋しい おんな花いつか馴(なじ)んだ 止り木暮らし本気で惚れて 尽しても嘘つき気まぐれ 薄情け拗(す)ねるつもりは ないけれどしみてせつない 傷の跡雨がそぼ降る 裏通り胸も濡れます 止り木の花七つも年令(とし)を ごまかし...
  • 白川郷

    白川郷

    愛していても 解(ほつ)れて切れた二人を結ぶ 絆糸合掌造りの 白川郷へあなた忘れの おんな旅想い出捨てて 来たはずなのになんで未練が なんで未練が 後を引く気付かぬままに して来たみたい大事な愛の 無駄遣いぬくもり恋しい 白川郷でひとり今夜は しのび泣き別れた後で 初めて分かる男ごころの 男ごころの やさしさを見付ける...
  • 東京しぐれ

    東京しぐれ

    雨がひと粒 くちびるを濡らしてあなたを 想う夜東京しぐれに 追われるようにいっそこの町 捨てたならあなた捜して くれますか哀しい夢ですね あゝ恋みれん命すべてで 尽くすほど重荷になるのね 男には東京しぐれに あなたは消えてどこの軒端(のきば)で 雨宿り熱いお酒に 誘われて涙が止まらない あゝ恋みれんおんな心の 寂しさに...
  • 恋して 伊予

    恋して 伊予

    あの人を 忘れるための 旅に出てなおさら想い つのります伊予路 松山 坊ちゃん列車瀬戸の夕陽に 染められてぽつんとひとつ あかね雲恋して伊予 泣かずにいよ今でも好きな 人だから篝火が 川面を燃やす 鵜飼舟こころが熱く また燃える伊予路 大洲の 白壁坂はいつかふたりで 来たかった面影揺れる ひとり坂恋して伊予 ひとりでい...
  • 松山しぐれ

    松山しぐれ

    途切れた恋を ひとひらの雲に乗せてく ひとり旅お城山から 見下ろす町は遠く涙で にじみます生きてゆくのは 淋しくていつか濡れゆく 松山しぐれこころは澄みて 身は病みて庭の鶏頭 みつめてる子規のやさしい あのまなざしが胸に沁みます きしみます遠いあの人 想うたびまぶた濡れゆく 松山しぐれ緑に染まる かなしみは桜三里か つ...
  • 東京浮舟

    東京浮舟

    夜に流れる ネオン川女未練は 浮寝鳥(うきねどり)東京浮舟 おとことおんな酔って誰かに あまえていたい揺れてゆらゆら 心が濡れる噂話に 背を向けて肩に寄り添い 夜がゆく東京浮舟 おとことおんな帰りたくない 此のままずっと何故か今夜は 心が揺れる涙こぼれる ネオン川今宵一夜の 薄情け東京浮舟 おとことおんな侭(まま)にな...